2026/02/26 Thu
文化 生活
隊員Gのセントルシア日記_67 〜Reverse Culture Shock〜

娘の結婚式を祝福するために、1週間ほど一時帰国をしました。前回は、予想される逆カルチャーショックについてお話しましたので、今回は、その答え合わせをしたいと思います。まずは、季節感の混乱について。正反対の季節であるだけに、混乱もあるのではないかと、当初は予想していました。しかし、結論から申し上げると、常夏の暖かさから冬の寒さへの移行は、快適そのものでした。仲間の隊員にも、日本に一時帰国するならば、ぜひ冬を選ぶように薦めようと思います。それぞれの季節の良さを、対照的に再認識することができた、というのが正直なところなのです。具体的には、日本の冬を愛でるとすれば、「蚊に刺される心配が全くないこと」「寒い日のお風呂は、心も体も幸福感に包まれること」「家族で囲むお鍋は、格別の団欒であること」「羽毛の布団は軽くて暖かく、いい夢が見られること」など、挙げ出すとキリがありません。もちろん、そう言いながらも、寒さが身に染みる日には、熱いカリブの太陽へのあこがれを隠すことはできませんでした。

続いて、食卓の混乱について。これも混乱することなく、それぞれの気候や風土に応じた食材の豊かさをあらためて再発見することができました。例えば、日本の冬の野菜は、なんと瑞々しいことでしょう。おそらく、空気が乾燥しているので、余計にそんな風に感じるのだと思われます。水分をたっぷりと含んだ西洋ニンジンに包丁を入れた瞬間は、少し大袈裟かもしれませんが、感激して声を上げてしまいました。カリブ生活を体験したからこその再発見ですね。しかし、日本の果物は高価すぎました。みかん1個約80円、リンゴ1個約180円という価格に向き合って、まさに浦島太郎の感覚に陥ってしまいました。熱帯の島国のフルーツは、実りが豊かで、安価で、味もエキゾチックなので、喪失感が募りました。
そして、言語の混乱について。日本国内は極端で、一旦英語を使わないとなれば、必然性は一切ありません。すなわち、英語を使う必要が全くなくなるのです。私は、自身の英語力が後退していくのが怖かったので、奥さんに嫌がられるくらい、日本滞在期間中は毎日、意識してアメリカのABCニュースをリスニングするようにしました。また、オンライン英会話も短期的に契約して、スピーキング・スキルの体力維持に努めました。やはり、この環境下では、日本人の英会話力が伸び悩むのも、仕方がないことなのかな、とあらためて痛感することになりました。しかし、この第二言語である英語の状況に対して、第一言語である日本語の刷り込みは深く、1年間のブランクがあっても、全く混乱することはありませんでした。いくつかの漢字に対して、妙な違和感を感じてしまったのは、単なる老化現象であったのかもしれませんね。
今回の旅は、逆カルチャーショックというよりは、日本の良さ、セントルシアの良さを共に再認識する絶好の機会となりました。おそらくは、比較対象があるので、特に際立ったのではないか、と思われます。例えば、日本製の配慮のきめ細やかさには舌を巻きます。食品包装用ラップ・フィルムはくっつき具合が本当に良く、ティッシュ・ペーパーも驚くほど柔らかい、そして液体調味料の注ぎ口の工夫が秀逸で、一切容器を汚すことはありません。これらは、くっつきにくいラップや、少々硬めのティッシュ、注ぐたびにボトルの外側を伝う液体調味料に苦労した経験がないと、味わえない感覚だと思うのです。ところが、大阪の路地ですれ違う日本人の皆さんに比べると、セントルシアのローカル達はなんと元気で明るいことでしょう。もしかすると、冬の陰鬱さと、夏の開放感との違いなのかもしれません。しかし、私には幸福度の違いが、透けて見えるような気がしてならないのです。(日本と比べて)物質的には乏しくとも、心豊かに人生を楽しむセントルシアの人々と共に、2月22日の独立記念日を祝うため、カリブに戻る旅路に着きます。
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