2025/11/17 Mon
OJT生の活動日記
「センセイ」と「グローバルチルドレン」~OJT生の活動日記:第一弾~

「センセーイッ!」とスリランカで日本語が聞こえてきたら、先生でなくても思わず振り返ってしまいますよね?
はじめまして。JICAスリランカ事務所でOJT研修中の新人職員、大儀と申します。
クルネガラ県にある Wayamba Preschool Teacher Training College& Sakura Model Preschool では、渡瀬隊員(幼児教育)が「センセイ」と親しまれながら活動を行っていると伺い、先生に混じって活動を見学させていただきました
今日は、学習発表会に向けた初めての通しリハーサルの日でした。
学習発表会と聞くと、懐かしさがこみ上げてきます。かつては、親を含めた多くの人が集まることで緊張してしまい、少し苦手なイベントでした。でも、こうして久しぶりに思い出すと、なぜか恋しく感じるのが不思議です。
7クラスそれぞれが、ダンスや歌を披露してくれました。
ステージに立つと緊張してしまう子、自由に動き回る子、「こうやるのよ」とお手本を見せる子など、個性豊かで飽きることのない発表会でした。皆さんは、自分がどんな子だったか覚えていますか?

こちらは、渡瀬さんが担当する「グローバルクラス」の芸。
この子たちは、親の転勤などで海外に行くことが決まっているそうです。
「すべての親は、子どもたちをグローバルチルドレンに育てたいと思っているの」と園長先生。
日本の田舎で育った私にとって、スリランカの地方の幼稚園がここまで世界に目を向けていることに驚きました。
日本から協力隊員が来てくれることで、日本文化を知る機会が生まれ、それが子どもたちの視野を広げ、キャリア教育にもつながっているのです。
実際に、鳴子を持って踊る子どもたちは、渡瀬さんの指導力と準備力のおかげで、全クラスの中で最も完成度が高かったです。
渡瀬さんの活動を見ていて、日本人が途上国の地方の幼稚園で教えることは、単に異文化を伝えるだけではないと感じました。
子どもたちは肌の色や言語が違っても、日本で見ていた友達と変わらない懐かしさを感じます。
でも、どこか芸の完成度に違和感がある。それは、どれだけ計画的に遊びの機会が与えられているかという、外部的な要因によるもののようです。
幼稚園は、人生で初めて家以外の居場所となる場所。学びの第一歩です。
スリランカの幼稚園はまだ俗人的な運営が多く、先生のやる気や指導方法によって、子どもたちの成長に差が出てしまう。
日本では、毎日一定時間の遊び(日本では遊びを通じての学びを大事にしている)があり、発表会の準備も計画的に進められますが、スリランカでは短期間で練習されており、クラスによってばらつきがあります。日本で当たり前とされる「計画性」「やる気」、そして「コンプライアンス」といった教師の育成こそが、幼児教育隊員の活動の“味噌”なのかもしれません。
この施設には、幼稚園の先生を育成する学校も併設されており、学生たちは実習生として幼稚園で働いています。
この日の午後には、他地域から「障がい児・者支援」隊員の飯塚さんと、「幼児教育」隊員の大川さんが駆けつけ、先生を目指す学生たちに向けて障がい児教育のワークショップを実施していました。
ただ講義を受けるだけでなく、感想や意見を共有したり、実際に声かけの練習をしたりと、主体的に学べる工夫が凝らされた授業に、学生たちも真剣に参加していました。

日本では当たり前とされる教師の質は、実は当たり前ではない。
その技術やノウハウを伝えることこそが、持続的なグローバルチルドレンの育成につながる。
そして、その「当たり前」を伝え、浸透させることの難しさに、コミュニティで唯一の外国人として体当たりしていく協力隊員の力強さと、悩みながらも2年間を走り抜けるたくましさを、存分に学ぶことができました…!
追伸:
翌朝、協力隊員の皆さんと一緒にAthugala Rockに登ってきました。
街へと降りていく猿の群れとすれ違いながら息を切らして登った先には、ちゃんと絶景が待っていました。スリランカの広大な大地を見渡すことができて、大満足の朝でした。

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