JICA海外協力隊の世界日記

ウズベキスタン便り

小さな世界


執筆:大畑汀(JICA海外協力隊2023年度2次隊/青少年活動)




初めまして、こんにちは。タシケントの学校で活動をしている大畑汀です。





普段はクラブ活動の中で簡単な日本語や日本の文化を教えています。ひらがなやカタカナを使ったカルタや自己紹介の練習、日本の行事紹介や遊びなどをしています。



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わたしが関わった中でですが、日本について知っているウズベクの子どもは多くありません。

韓国や中国の挨拶は知っているのに日本の挨拶は「?」だったり、近い国なんだから日本語は韓国語や中国語と似ていると思っている子どもがほとんどでした。



かく言うわたしも、こちらに来るまではウズベキスタンのことはほとんど知りませんでした。どこにあるのか、何語が使われているのか、どんな顔の人たちが住んでいるのか、未知の世界でした。



わたしは運よくこの地に訪れることができ、生活するにつれてどんな国なのかを体感することができています。

ウズベク語とロシア語が混在した世界であること、隣り合った国(キルギスやカザフスタン)と言葉がとても似ていること、イスラム教を信仰している人が多いこと、夏はとても暑く冬は厳しい寒さがやってくること。

日本とは違うところを発見しては、驚いたり喜んだり。時には受け入れるのに時間がかかることもあります。

それでも、教科書やインターネット上の文章や写真ではなく、実際にこの目で見られることにありがたさも感じます。



しかし子どもたちは、今のところわたしを通してでしか日本を知ることができません。

だからいろんなことを伝えたいと最初は意気込んでいました。子どもたちに外国語で何かを教えるということは初めての経験だったのですが、これがなかなか上手くいきません。何かを教えたところで覚えられることなんてごくわずかだし、授業ではなくクラブ活動だからか「楽しかったらOK、別に覚える必要ない」といった感じで、本当に習得しようとしている子どもはごくわずか(このごくわずかな子どもには感動させられっぱなしです)。




「本当に学ぶ気があるのか…?」



とか



「わたしのウズベク語がもっと達者だったら違っていたのか…?」



とか落ち込むことも多々ありました。ウズベキスタンで生活し始めて1年半以上が経ち、赴任当初ほど一喜一憂することはなくなりましたが、今も子どもたちのスタンスとしてはあまり変わりません。



そんなとき、1人の子が「こんにちは」と言いながら当たり前のように手を合わせてきました。




「あぁ、またか…」



と思いながら、「日本では挨拶のときにその動きはしないよ、軽くお辞儀するんだよ」とその子にだけ伝え、その日はそれで終わりました。しかし翌日学校へ行くと、他の子たちもお辞儀をするようになっていたのです。彼らにとっては簡単にできることだから真似しているだけだと思いますが、日本語を覚えてきてくれたときよりもなぜだかとても嬉しくなりました。




ウズベキスタンでは、フォーマルな場や初対面、目上の方には胸に右手を当てて挨拶をしますが、仲のいい間柄では、ハグで挨拶をします。校内に入ると「せんせー!」と走ってハグしにきてくれることも、すごく嬉しいことのひとつです。

今ではお辞儀とハグがセットになったハイブリット型の挨拶をする子もちらほらいます。



小さなことですが、こうしてお互いの未知の世界を交換し、混ぜ合わせていくことも異文化交流なのかなと思った今日この頃です。


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