JICA海外協力隊の世界日記

ベトナム便り

♯49 世界遺産シリーズ⑨:胡朝の城塞

Xin chào mọi người!!!(皆さん、こんにちは!)

ベトナムの林です。

 ベトナムの世界遺産紹介も今回で最後になりました。任期中にベトナムの世界遺産を全て回ることを目標にしてきましたが、無事9か所全て訪れることができました(2026年4月末現在)。今回、私が最後に訪問したタインホア省にある「胡朝の城塞」をご紹介したいと思います。

【胡朝の城塞について】
「胡朝の城塞(Thành nhà Hồ)(以下、城塞)」は、タインホア省に位置し、1397年(後述する胡朝成立の3年前)に築かれました。ベトナムの歴史上、わずか7年間しか続かなかった王朝「胡朝」の都の跡でありながら、その高度な建築技術と独特の様式が評価され、2011年にユネスコの世界文化遺産に登録されています。

胡朝は、14世紀末の陳朝末期の混乱に乗じ、実力者であった胡季犛(ホー・クィ・リー / Hồ Quý Ly)が皇帝から禅譲を受けて、1400年に建国した王朝です。しかし、政権の成立過程から十分な支持を得られず、わずか7年後には中国・明の侵攻を受けて滅亡しました。この胡朝の滅亡によりベトナムは一時的に明の支配下に置かれますが、その後、黎利(レ・ロイ / Lê Lợi)が立ち上がって独立を回復します。このときの伝説として知られるのが、後にハノイのホアンキエム湖(還剣湖)に返された「神の剣」の物語です。

城塞には2つの大きな特徴があります。1つ目の特徴は、ベトナムの都城としては他に類を見ない大規模な石造りの城塞であることです。従来のベトナムの都城(♯40 タンロン城など)が主に土やレンガで築かれていたのに対し、城塞は近隣の山々から切り出された巨大な石灰岩のブロックを積み上げて建設されています。2つ目の特徴は、その独特な都市計画です。城塞は、東西約880m、南北約870mのほぼ正方形をしており、周囲には堀が巡らされていました。東西南北に城門が設けられていましたが、特に南門は3つのアーチを持つ巨大な門で、現在も比較的良好な状態で残っています。都市計画は、中国の宋学(新儒学)の影響を受けつつも、ベトナム独自の風土と東南アジアの伝統的な要素を取り入れており、東アジアの都市計画の新しい発展を示すものとして評価されています。

(写真:南門、こちらがメインの入り口となっています。)

【実際の様子】

 城塞は、ハノイから電車あるいはバスで約34時間のタインホア中心部から、さらに車で1時間程度にある場所です。加えて、ツアーなどはまだ組まれておらず、路線バスもないため、基本的にタクシーあるいは配車での移動のみになるため、アクセスは恐らくベトナムの世界遺産の中で1番悪いです。その分、まだあまりメジャーではないため、観光シーズンでも静かに観光を楽しむことができます。

実際に訪れると、城塞内部にあった宮殿や建物は、ほとんどが木造であったため、現在は残っていません。現在見ることができるのは、主に巨大な石垣の城壁と、四方に設けられた門(特に南門)の構造のみです。中でも城塞の中心となる南門(南側)は、巨大な石灰岩のブロックを積み上げて造られた美しいアーチ型の門で、上に登ることもできます。さらに、城壁の周囲には広大な田園地帯が広がり、城塞の内部にも農地や村が点在しています。当時の都市の広がりと、現在ののどかな風景との対比が印象的でした。

(写真:北門、西門・東門もこれと同じような大きさで残っています。)

皆様いかがでしたでしょうか?城塞は、アクセスは悪いですが、静かな田園風景の中で、600年以上前に築かれた巨大な石の遺構を間近に見る貴重な体験ができるので、ベトナム上級者の方々は、ぜひ訪れてみて下さいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 Hn gp li nhé!!!(またお会いましょう!)

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