2019/05/22 Wed
小さなお祭りの歌


Сайн байна уу?(サインバイノー:こんにちは)
モンゴルの長い冬も終わり、春が来て暖かい日が続くようになってきました。日本は元号が変わりましたが、モンゴルにいると平成の終わりも、新しい令和の時代の訪れも、あまり感じることができないのが少し残念です。
今日は開催から少し時間がたってしまいましたが、先日任地セレンゲで行った日本文化紹介イベントについてのお話をします。
きっかけは同任地の先輩隊員に誘われたことからでした。
その先輩隊員はセレンゲにある職業訓練校で活動をしていて、そこに来ている生徒が、外国の文化を紹介するイベントをやりたいから協力してほしいと言ってきた、とのことでした。
そうして、12月末から、発案者である一人のモンゴル人と、その先輩隊員と三人でミーティングをし、内容を練り始めました。
4月に行うことが決まり、モンゴルでも“日本といえば桜”というイメージがよく知られていて、季節もぴったりだということで、イベントの名前は「САКУРА БАЯР(サクラバヤル:桜祭り)」となりました。
モンゴルの人が知りたいこと、やってみたいことと、私たちが伝えたいこと、教えることができることをすり合わせるのにとても時間がかかりました。日本人二人でできることには限界があります。
そのため、モンゴルの他の任地で活動する隊員達に来てもらうことはできないか、文化紹介に使える物品を借りられるところはないかなど、たくさんの人に協力を仰ぎました。
その結果、日本大使館から、足りない物品を借りることができ、また、当日は他任地から十一人の隊員が手伝いにかけつけてくれることになりました。
開催する会場も、モンゴルに来てすぐに知り合った音楽家の人が、私たちの気持ちに賛同し、協力してくれたおかげで、この町で一番大きなホールのある会場を無料で使用させてもらえることになりました。
こうしてたくさんの人の力を借りながら、約4カ月かけてこの日のために準備をしました。
特に最後の一週間は、町の商店を一つ一つまわってチラシを貼ったり、パンフレットの印刷をしたり、必要なものの買い出しをしたり、大忙しでした。
前日には他の任地からも隊員が来てくれて、また、韓国のボランティアKOICAの友人も手伝ってくれて、ぎりぎりまで準備をしました。
ステージ上での講演で
・東日本大震災について
・日本の歌のライブ
・広島の原爆について
体験・販売コーナーで
・浴衣着付け体験
・茶道体験
・習字体験
・お手玉、けん玉体験
・お好み焼き販売
・駄菓子販売
・緑茶無料配布
展示物として
・日本の四季の写真展
・日本の観光地や文化についての展示
配布物として
・日本についてのパンフレット
・各体験コーナーについての紹介メモ
と、盛りだくさんな内容を用意しました。
そうして迎えた当日、同任地の先輩隊員と発案者であるモンゴル人、十一人の他任地の隊員、三人のKOICAの隊員、同任地の先輩隊員が日本語を教えている生徒達、会場のスタッフの方々、たくさんの人の協力のもとイベントを運営しました。
セレンゲでこのようなイベントを行うのは初めての試みだったので、お客さんがきてくれるのか不安でしたが、大勢の人が足を運んでくれました。
とくに最初の巡回先の学校の小中学生がたくさん来てくれて、とてもうれしかったです。


震災や原爆についての話を真剣に聞く姿、
浴衣を着てうれしそうに写真を撮る姿、
お茶を飲んで「苦い」といいながら、顔をしかめる姿、
お好み焼きをおいしそうに食べる姿、
日本文化を見聞きし、体験し、喜んでいるモンゴル人の姿をみながら、準備はものすごく大変だったけど、本当にやってよかったと思いました。
「いつか絶対に日本に行きたい!」
と言ってくれる子どもも何人かいて、
「いつか日本で会おうね。」と話をしました。
そんな会話が現実になる日が来るといいな、と心から思っています。
任地の二人では到底できなかったイベントを、たくさんの人の力を借りてやりきることができました。
そして、このイベントを通じてたくさんの人と出会い、知り合うことができました。


ただ、イベントを行いこの町のモンゴル人に喜んでもらえたというだけでなく、人との出会いと、たくさんの人の温かい協力の気持ちに心から感謝できる、とてもいい機会となりました。
この一回のイベントで終わりではなく、これからもモンゴルにいる間に、音楽隊員として、また一人の日本人としてできることを探して、たくさんのことを伝えていきたいなと思います。
それでは!
Баяртай.(バヤルテイ:さようなら)
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