2018/02/15 Thu
教育 活動
ごめんやけど廣瀬は教えへんで! さわやかNo,6
2018.02.15
〜教えない野球〜
チームが本格的に始まり,現在はチームの基盤となる部分を作っている段階。
様々な決め事や雰囲気を掴み,流れを体で覚える時期。
かといって,初の公式戦が2月の末に開かれると決まっているので,そうのんびりやってはいられません。
週の中でわずかしか取れない練習時間。そうした少ない時間の中でいかに無駄を省き,子どもの理解力を伸ばし満足感を与えることができるのか。
そうしたことを工夫する必要があります。
そこで私が心がけていることは“トップダウン”ではなく“ボトムアップ”の指導。
簡単に言えば,トップはトップではあるけども,トップが全てではなく,本来の主役たちの意見を吸い上げたり,方法を委ねるやり方。(ちょっとややこしくなりましたね。笑)
もちろん一般的には指導者と選手,どちらがその競技に関して精通しているか?と尋ねられると指導者の方がと答えることが多いケースにあるかと思います。
ですが,競技に対する新しい発想や,実際に子どもに理解を求める上で指導者が絶対か?というと
“場合によってはそうじゃないかも?”と思うことが指導をしていて多々あります。
見てもらいたいのが上の写真。
この写真,新チームが始まったものの,家庭の事情でチームへの合流が少し遅れた選手(写真中央の腕を組む男の子)が,今年度初めて練習に参加した日のもの。
練習はすでに数回行われていたので,すでに様々な決め事や約束事がチーム内でできていました。
しかし,この選手は1回目の練習なので分からないことだらけ。
普通なら,指導者である私が『次はこうやって,そうやって,ああすんねんで』と説明すべきかもしれません。
でも私は『さぁヒーローになれる出番やで!誰か説明してもらえる?』とその仕事を完全に他の選手にパス!!
そこで“よっしゃ!任せとき!”と出てきてくれたのが,(写真左側の)女の子。
これはベースランニング(効率よく走塁するための練習)の説明なのですが,1〜10まで,私がこれまで一回ずつ説明してきたことを完璧にレクチャーしてくれました。
説明をしている方も,説明を受けている方も笑顔。
“素敵な光景や〜”“おれよりも完全にポルトガル語を駆使した説明や〜(当たり前です。笑)”とビデオを回しながらその様子を見ていました。
これでいいと思うんです。
選手同士がお互いの言葉を使って,意見を交換しあい,自分たちに合った形を作っていく。
もちろんここぞという時は,指導者が熱を入れて指導しても良いとは思うのですが,基本はファシリテーターに徹して,チームの成長を眺めていたい。
もちろん我慢する時,歯がゆい時,時間が惜しい時,色々あります。
でも,その時間も発想力豊かな子どもたちが考えている時間やと捉えて待つことが,子どもの成長と自己肯定感の育成に繋がるはずだと信じています。
言われたことをただこなすよりも,自分の頭で整理したことを人に“理解してほしい”と思い伝えることで,説明者の学びはさらに深まる。
そこに『素晴らしい説明やったね。ありがとう』と指導者が一言添えれば,認められたこと・人の役に立てたこと・自分の理解が正しかったこと,全てを肯定的に捉えることができ,“次の機会も!!”と行動してくれるのです。
そして,そうした選手を一人,また一人とチームに作っていく。
そこまで持っていくことができれば,こちらは“ええ光景や〜”とポカーンと口を開けたまま,ビデオを回す余裕と時間が生まれます。そうした時間を多く作り,気付きの時間を増やし,ファシリテーションをしていくことが指導者の本来の仕事なのかなと私は考えています。
まだこのチームは駆け出しですが,そんなチームを作っていきたいと思っています。
〜まとめ〜
私たちの活動や指導や教育する仕事は少し特殊だと思います。
なぜなら,結果をすぐに見ることができないから。
“外国にまで来たからには何とか力にならないと!定められた期間内に結果を出さないと!”と,結果を急ぎがちです。
そうした焦りや求めるものの大きさから,押し付けや自分の型にはめて指導に当たってしまうということも少なくないと思います。
私も実際に“早く結果がほしい”と思ってしまうことがありました。
しかし,よくよく考えるとそれは自分の欲でしかないなと気付いたんです。
子どものためではないと。
結果は今すぐじゃなくて,何十年後に帰って来ればいい。また,形とした結果にならなかったとしても,その同じ時間を過ごす子どもの中に何かが残ればそれでOKと思うことで楽な気持ちになれました。
発想の転換で違った角度から,本質を見ることができるのでは?
心の余裕が表情や行動に現れる!!
ガミガミ怒鳴り倒して,イライラ感満載の顔は自分も疲れるし,子どもも見たくないはず。
できれば毎日最高の笑顔で子どもと接して,共に成長できたら最高ですね!
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