JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツの海と空の間で

養殖魚ティラピア

 前回投稿したアジの干物はその後何度か試作を重ね水産局の同僚に試食をしてもらったところ評判が良く、これを遠方の製氷設備のない漁村で広めたいという話に発展し少し先になりそうですが干物の作り方講習のワークショップを行う方針になりました。

 今回はティラピアの話。
ティラピアというのはアフリカ原産の淡水魚で海水の2倍の濃度の塩水にも対応でき、繁殖力も旺盛で餌も動物性タンパク質を与えた方が成長は早いものの植物性プランクトンだけでも飼育できるため簡易な溜め池などでも飼いやすくタイや東南アジアでも広く食べられている魚で、
身は白身で淡白な味で癖がなく食べやすいのですが何でも食べるせいか内臓に少し匂いがあり素焼き等でたまに匂いが残る場合があります。
バヌアツ、サント島には3年ほど前に持ち込まれ水産局を含む数か所で稚魚を孵化させ、現地農家に配り成長した魚を市場で売るという管理養殖を計画していて先日市場で売れるサイズの魚が水産局に持ち込まれました。
ただ、販路や販売計画は何も練られておらず従来通り野菜市場の前の路上で他の海産物と共に売るという計画しかなく、いつでも新鮮で必要な量を賄える養殖魚の利点が生かされておらず思案のしどころでした。

 持ち込まれた成魚の中に運送中のストレスによるものか弱っているものがいたのでカウンターパートへのプレゼンテーション用に貰い受け、淡水魚特有の骨の多さを解消するために半身をフィレにしてソテー、
残りの半身を匂いを消しやすい調理法である煮つけにしてみました。
調味料はこちらで容易で安価で入手できる醤油、紹興酒、生姜等。

 試食はソテーも和食風の煮つけへの反応もすこぶる良かったものの現段階ではそれほど多くのティラピア成魚が集荷されていない状況も踏まえ、しばらくはローカルレストランに狙いを定め、調理法を教えるためのワークショップの開催や事前注文を受けた場合活魚でのデリバリーサービスを行う等の販売方法を職員と一緒に考えました。
ローカルレストランではリーフフィッシュと呼ばれるシガテラ毒を含んでいる可能性のある魚も含まれ(シガテラ毒については後日改めて詳しく書きたいと思います)、それを素揚げしている提供しているので安全、且つバヌアツでは新しい調理法でティラピアの商機は十分あると考えられ、また同時に認知度の向上を図っていきたいと思っています。

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