難民支援記録ー30年後の平和構築をデザインする(近藤隊員は帰国しました。)

RSS

近藤 靖
神奈川県

タイプ/職種
青年海外協力隊
コミュニティ開発
派遣国
アフリカ
ウガンダ イシンギロ県カビンゴ
一言メッセージ
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の下で 生計向上活動に従事します。日本の先進技術を用いて平和構築を牽引します。

 

10月その1:難民の自立支援に向けた活動

2018.10.30

活動

こんにちは、現在ウガンダでは雨季ですが、東部・西部ともに降雨量が少ないようで、日中は暑い日が続いているように感じます。9月には長引いていたクリミア・コンゴ熱も収束したおかげで、任地で腰を据えて活動できました。この時期は社会調査(マーケティング)を実施しました。

1.生産の次の支援・販売を再考する

(写真はウガンダ事務所で販売されるクラフト製品。隊員が企画・商品化した。)

UNHCRの生計向上における活動目標は難民の自立支援です。そこへのアプローチとして農業であれば技術指導や種苗の配布がありますが、その後の生産物を売って収益をあげるという課題へのアプローチは定まっていません。

なのでこの先は我々提携機関が知恵を絞る所かもしれません。私はここでボランティアの立場を活かしたいと考えました。事業会社で営業していた人なら会社の規模、製品種別、BtoBといった業態に限らず多かれ少なかれ販売戦略を練るかと思います。

実際にウガンダ隊員もそれぞれにクラフト製品やトマトソースといった様々な製品を企画して販売しています。

1.農産物の消費者を調査する

(写真はスマホアプリを使った社会調査を行う難民コミュニティワーカー)

ではナキバレでの農産物の販売収益向上はどうするか?アプローチは多岐に渡りますが、まずは現在の状況把握として環境分析を始めました。誰が、いつ、どこで、どのように買っているか?こうした消費者の分析を手始めに、売り手である農家や、生産物の立ち位置を知ることがスタート地点だといえます。

今回はバイサイド(消費者や市場)の分析から始めました。

私が知りたかったのは難民の普段の食生活、一日の食費、食べ物を選ぶ際の優先事項です。調査計画を立てて、難民農家や難民コミュニティワーカー6人に調査方法を説明して、実際に調査をして頂きました。振り返ると、自分の調査をしつつ、職業訓練のメニューを一つ作れてしまったようで、なんとも面白いです。

3.最先端の技術を取り入れる。

調査ツールにはICTを導入したかったので、スマホアプリを選びました。某大学の研究者が調査に来た際に教えてもらったツールです。難民コミュニティワーカーも、スマホを使った調査は新鮮だったようで、調査をする嬉しさが伝わってきました。

写真はソマリア人経営のレストラン・搾りたてのフルーツジュースが1000シリング(約30円)で飲める。以下、5と関連します

4.思いがけない調査協力者へのインパクト

記事の分量の都合上、消費者調査の結果に関しては次回の記事でお話ししますが、今回の社会調査の最中、UNHCRによる社会調査の求人がありました。しかもスマホを使った社会調査、今の活動とドンピシャです。結果的に応募した難民3人のうち、2人が採用されました。彼らは現在、水・衛生分野における難民の意識調査に関わっています。自身が企画した職業訓練の効果をタイムリーで得られて嬉しかったです。

協力して頂いている難民のうち一人は家を建てている最中だと聞きましたが、それも今回の報酬で完成するのか、楽しみです。

5.難民の能力に気付く

今回、農家や農業普及員への社会調査を協力頂いて気付いたことに、半農半Xという考えがあります。農業しつつ、副業を通じて生計を維持する生き方で、日本にいた頃に学びました。当たり前かも知れませんが、それを実際に行うことは簡単ではないと思います。特にナキバレでは、求人倍率が高く、フォーマルな仕事は限られています。ならどうするか?仕事を増やしたら、斡旋したら、と口で言うのは簡単ですが、ウガンダ人でも仕事を得ることに苦労している中、難民には簡単でないでしょう。

その中で、支援機関の人間としては、既に実践されている人はいると思いますが、農業に加えて、自分の能力を活かした副業を通じて自立する難民が増えてほしいと思います。その為には、我々支援機関側が難民の能力や適性を知ることが大事ですが、残念ながらナキバレではこうした知識が集積されていないように感じます。それについてのアプローチは、今考え中です。また次回以降で、紹介できればと思います。

次回は社会調査(消費者調査)の結果と、赴任後1年経った隊員が行う中間報告に触れます。