JICA海外協力隊の世界日記

コスタリカ便り

中国人

小売市場の調査目的で1か月間インタビュー調査を行った。場所は地方卸売市場が建設されるグアナカステ県カリージョ市で、対象は太平洋沿岸部のホテルやレストラン、そして、町内にある食堂やミニスーパー、八百屋さんなどである。10分ほどのアンケートにほとんどのコスタリカ人は快く応じてくれるが、中国人が経営する食堂やミニスーパーを訪れると、どういう訳か口を閉ざし邪見に扱われてしまう。同じアジア人なのにと思うのだが、同行しているのが農牧省の役人だから??

コスタリカには大きく分けて台湾移民と、中国大陸からきた中国人と、二通りの中国人が住んでいるが、歴史的には台湾移民の方が古く、このグアナカステ県にも台湾政府が援助したテンピスケ川の河口にかかる近代的な“友情の橋”や“友情公園”などがある。しかし、10 年前のコスタリカ政府と中華人民共和国(以下、中国)との国交樹立にともない、台湾と国交を断絶している。その後、中国は中国人労働者丸抱えで、僅か 6カ月間でサンホセ市内にある サバナ公園に立派な国立サッカー競技場を完成させたことは、コスタリカ人にとって大きな驚きだったという。もちろん、この競技場は国交樹立と引き換えに無償でプレゼントされている。

新聞記事によると、中国がらみのプロジェクがある度に多くの中国人が残留し、現在の中国人人口は 9万人にのぼると言う。首都サンホセには、立派な中華門の奥に中国人街があり、広い遊歩道の両側には中華料理店や日用雑貨店が立ち並んでいる。私が住んでいるリベリアにも沢山の中国人が住み、中華料理店の他、スーパーマーケットや洋服店などを営んでいる。中華料理店内に繁体字で書かれた置物があるので「台湾出身ですか?」と聞くと、意外にも広東省から来たという。

コスタリカ人は、我々日本人に対して「チーノ(中国人)」とか、親しみを込めて「チニート」と呼び掛けてくるが、「チーノ」と言う場合は、好意的にとらえれば東洋人、そうでない場合は、差別的な意味合いと、「この成り上がり者がうまくやりあがって」といった羨望の意味合いが混じっているように私には思える。実際、厨房やスーパーなどで働いている中国人を見ていると、のんびりしたコスタリカ人と違い、実によく働いている。

私はコスタリカに来て 1年 9か月になるが、これまで一度も日本人レストランに行ったことがない。普段自分で料理しているためであるが、外食でもっぱら利用するのはSoda (ソーダ・大衆食堂) か、醤油味が恋しくなったら中華料理店である。国内どこにもあるのでありがたい。また、自炊用の日本食材は前述の中国人街で一通り揃うので大変助かっている。先日も定例のJICA報告会のあとに買い物をしてきた。

昨今、中国製セメントの輸入問題で、国立のコスタリカ銀行や政界は大揺れであるが、個人的には日頃の感謝の気持ちをこめて I like Chineseである。

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