JICA海外協力隊の世界日記

まるタイ日記

いろいろなジェンダー

LGBTが多いともいわれるタイ。しかし、男でも女でもない、あるいはそのどちらでもある人にとって、まだまだ環境が十分に整備されていないのが実情です。
うちの学校は、トイレが男女にしか分かれていないため、女子トイレで男子生徒に遭遇することもしばしばです。先日も、女子トイレから出てくるAちゃん(女の子になりたい男の子)と、すれ違いました。一瞬ドキッとしましたが、向こうは陽気に、「ヘイ!まる~」とあいさつしてきます。よく見てみると、Aちゃんのくちびるが赤く、香水のにおいもします。さては、女子トイレでお化粧していたな~と思っていると、Aちゃんもそれを察知して、はにかみました。
でも本当は、女の子になりたい男の子は、女子トイレを使ってはいけないことになっています。そのため、先日、厳しい先生に見つかってしまい、「男子トイレを使わなきゃダメでしょ!」と怒られていました。しゅんとして女子トイレから出てきたAちゃんに、「あなたは、心は男の子なの?それとも女の子なの?」と聞いてみたら、やはり、「女の子よ」と答えました。
タイのいいところは、こうしたLGBTが孤立するのではなく、むしろ、クラスの人気者になれるところです。わたしが女子トイレで出会うAちゃんにも、いつも女の子たちが付き添ってあげています。LGBTの周りには、必ず味方になってくれる人がいるのです。

学内では、女の子になりたい男の子たちが面白く女装する大会もあったりして、いかにもタイらしいなと思います。一方で、年配の教師の中には、「カトゥーイ(タイ語で「女の子になりたい男の子」の意味)は好きじゃない」と、やや嫌悪感を示す人もいます。でも、教育実習生や現役教師の中にもLGBTはいますし、男性に男性の恋人がいることも珍しくないので、世代が若くなるにつれて、次第に、寛容にオープンになっていくのではないかと思われます。
しかし、個人的には、やはり、学校にLGBTトイレを整備するべきだと考えています。性別は、2つだけではないのですから。いやいや男子トイレを使うのではなく、肩身狭く女子トイレを使うのでもなく、Aちゃんのような生徒たちも堂々と納得して入れるトイレがあったらいいな、と思うのです。

また、タイの高校生は、男女の仲がとてもいいです。あまりに親密すぎて、こちらがドキドキしてしまうくらい。たとえば、高校1年生。日本だったら、異性を一番気にする多感な時期ですよね。でも、タイの生徒は、男子生徒が平気で女子生徒に後ろから抱きついたり、寝台列車で女子生徒と男子生徒が平気で同じベッドに寝転んだりします。でも、彼らは恋人ではなく、ただの仲のいい友だちなんです。これが性別を越えた友情なのか、それとも、性に対する意識が日本とは違うのか…この背景に何があるのか、とても気になるところです。

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