子連れジャマイカ滞在日記

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フィネルップ 尚子
富山県

タイプ/職種
シニア海外ボランティア
日本語教育
派遣国
中南米
ジャマイカ キングストン市
一言メッセージ
9歳の娘を連れてジャマイカに赴任し、大学で日本語を教えています。人手もお金も足りない大学で、安く効率的に日本語を学ぶ方法を模索しています。

 

学内イベント

2019.12.03

人 文化 活動

 先週、前期授業が終わり、写真の整理を始めました。前期の目玉は、何と言ってもこの人、ミス・ルー (Miss Lou (1919年~2006年))。ミス・ルーの愛称で親しまれている詩人かつエンターテイナー、ルイーズ・ベネット(Hon. Louise Bennet Coverley)の生誕100周年を記念して、キャンパスでは、毎週のように様々なイベントが開催されていました。右の写真が先日のイベントでミス・ルーに扮していた女優。左の写真は、日本語副専攻のジェイソンさんと、足を切られてしまった元等身大のミス・ルー。

 ミス・ルーは、奨学金を得て渡英し、イギリスの王立演劇アカデミーを卒業した後帰国し、ジャマイカで日常使われているパトワという英語の方言を使って、精力的に詩を中心に幅広いジャンルで創作活動に打ち込みました。

 それまでパトワは、誤った英語だとされ、学校や公の場で話してはいけないと言われていたのですが、ミス・ルーは、イギリス英語では表現できないジャマイカ人の喜怒哀楽をパトワで表現して、「社会の言葉(パトワ)で、社会の真実を詩に詠み込める唯一の詩人」(ジャマイカ・インフォメーション・サービスのホームページより引用)として世代を超えて人々に愛され続けています。

 今でもユーチューブでは、彼女のテーマソング「Come mek me hold yuh hand (Come let me hold your hand (さあ、手をつながせて))」などを、パトワに誇りを持ち始めた観客と一体となって歌う彼女の姿が見られます。彼女はエンターテイナーとして多くの舞台に立ち、女優として数々の映画に出演し、テレビやラジオの長寿番組の司会を務め、ジャマイカやアメリカの大学で教鞭をとり、文化・芸術・教育・研究の分野で広く活躍しました。

 学生たちは、ミス・ルーのテレビ番組の再放送を見て育った世代です。ユーチューブでミス・ルーのテレビ番組や舞台を見ていると、彼女の温かさが伝わってきます。この人が亡くなって、ジャマイカ人は大きな喪失感を抱えている、ということも容易に想像できます。ジェイソンさんが、ミス・ルーの肩を抱いて、懐かしそうに、それでいて寂しそうに顔をほころばせるのを見て、どうして学生たちがミス・ルーの話をするときに、幸せそうで、でも悲しそうな複雑な表情をするのかが分かりました。

 右の写真は、超実写映画『ライオンキング』の「スピリット」を歌うビヨンセ(オフィシャル・ビデオのスクリーンショット)。左の写真は、先日の成績優秀者の表彰式の余興でビヨンセの「スピリット」を熱唱する歌手。彼女の足元のふわふわ絨毯のようなものは、学部長の頭。

 写真しかお見せできなくて残念ですが、驚くべき歌唱力でした。この前のめりになっている学部長の頭が証明していますが、観客は身を乗り出して聞き入っていました。この地味な服装のお姉さんが舞台に上がって来た時、私はてっきり、事務のお姉さんがマイクの調整をしに来たのだと思ったのですが、歌い始めてびっくり。初めて聞いた曲がこんなに印象に残ったのは初めてでした。

 この日、日本語プログラムの成績優秀者として表彰されたのは、去年、交換留学生として独協大学に1年留学していた、ジョーバンさん。初めて話したとき、名前が聞き取れなくて、「えっ?冗談?」と聞き返したら、「常磐線のジョーバンです。」と教えてくれました。それ以来、彼の名前も顔も忘れたことはありません。今年のスピーチ大会でも、ゲストスピーカーとして日本での生活について面白く話してくれて、観客からの質問が止まらなくなり、スピーチ大会参加者がかすんで見えてしまったほどでした。日本語プログラムでは、ほぼ毎年、このように突出してできる学生が現れて、いろいろな場面で活躍してくれます。

 このように優秀な学生を輩出し続けるためにも、日本語プログラムでは、メキシコの国際交流基金から日本語専門家の松田先生をお招きして、教師向けセミナーを開催しました。写真は、私が生まれて初めて作成したセミナーのポスター。学科のコンピューターの専門家、マコックさんが、無料のイラスト作成ソフト「インクスケープ(Inkscape)」の使い方を親切丁寧に教えてくれたので、ポスター作成デビューが果たせました。 

 大学では最近、フリーソフトの使用が奨励されていて、大学のコンピューターには、ワードなどの有料ソフトは搭載されていません。それでも有料ソフトで作成されたポスターにそう引けを取らないんじゃないかと思うのは作成者だけでしょうか。

 セミナーには、ジャマイカ工科大学の先生もいらしてくださり、日本語教育関係者が一堂に会して、議論に花が咲きました。今学期から非常勤講師として授業を担当しているケニールさんも、初めてのセミナー参加であったにもかかわらず、具体例を挙げて質問したり、意見を述べたりと、今後の成長が期待される積極性を示しました。セミナーの内容は主に、敬語の教え方とレベルの違う学生のいるクラスでの教え方。どちらもかなり妥協して教えている自分が引き締められました。