JICA海外協力隊の世界日記

ルワンダかけはし通信~ブホロ ブホロ

TICAD7@横浜に参加!

ルワンダから日本に帰国し、日本の超先進的な生活に慣れてきました。

帰国直後は、電車の速度に慣れず若干酔ったり、水が水道からじゃんじゃん流れるのを不思議に感じたり、どのお店も物で溢れかえっていて買う商品を選べなかったりしましたが...。ついこの間まで住んでいたルワンダの生活とベースが全く異なる為、「帰国の飛行機の中で60年位タイムワープしてたんだろうか?」と思ってしまう程です。

今一番閉口しているのが、日本の夏の暑さ!!ルワンダのからっと爽やかな気候を、とてもとても懐かしく感じています。

さて、今回最後の記事は、丁度8月に横浜で開催されたTICAD7について紹介したいと思います!

■TICADとは

TICADとは、Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略であり、アフリカの開発をテーマとする首脳級の国際会議で、1993年に日本が立ち上げました。

・共催者:日本、国連、世界銀行、国連開発計画(UNDP)、アフリカ連合委員会(AUC)

・参加者:アフリカ諸国に加え、国際機関、ドナー諸国、民間企業、市民社会等

今回第7回は、開催地は日本の横浜で、8/28~30の3日間開催されました(第6回はケニアのナイロビにて開催)

◇参考

①第7回アフリカ開発会議

https://ticad7.city.yokohama.lg.jp/

②外務省サイト

https://www.mofa.go.jp/mofaj/afr/af2/page1w_000185.html

■きっかけはアフリカ開発銀行

今回私は、アフリカ開発銀行(African Development Bank=AfDB)のアジア代表事務所のサポートスタッフとしてTICADに関わりました。

アフリカ開発銀行とは、世界銀行やアジア開発銀行と同様の国際開発金融機関の一つです。アフリカ開発銀行グループはアフリカ地域の加盟国へ開発資金の提供、持続可能な経済開発や社会的進歩の為の技術支援をしています。資金源は加盟国政府や先進国の資本市場から資金調達をしています。主にアフリカ政府に融資していますが、民間事業にも出融資可能、という機関です。

最優先分野として、『The High 5s』という指針を掲げています(①エネルギーへのアクセス②食料増産③工業化④地域統合⑤生活の質の向上)。

◇AfDB概要

・本部:アビジャン(コートジボワール)

・加盟国:アフリカ域内加盟国54+域外加盟国26=計80ヵ国

・AfDBグループの払込資本:2018年末時点で約69億米ドル

・在外事務所:日本、韓国、中国、インドの4ヵ国を代表するアジア代表事務所が東京に所在。その他アフリカ各地に事務所がある。

◇参考(アフリカ開発銀行)

https://afdb-org.jp/

AfDBとのきっかけは、ルワンダから帰国直前、自身のキャリアを考える上でアフリカ開発銀行に問い合わせた所、幸運にも職員の方からご返信を頂き、帰国直後に面会させて貰ったことからご縁が繋がりました。その後、大阪に戻ってからルワンダやアフリカとの繋がりが格段に減る中、TICADが今年は横浜で開催されると知り、「折角だから見に行こうかな」と考えていた所、奇遇にもアフリカ開発銀行の方から「TICADサポートスタッフを募集しているのだが、当該スキルの人がなかなか見つからなくて困っています。もしよければ手伝って貰えませんか...」とお声掛け頂き、渡りに舟で、サポート業務という形でTICADに関わる機会に恵まれました。どこにチャンスがあるか分からないものです!

人手が本当に足りない、という事で、丁度表敬訪問で一緒になったベナンの同期隊員にも声を掛けた所、彼女も「折角の機会!」と快諾。2人でサポート業務をする事になりました。

■会場付近の様子

会期中は、アフリカ各国の関係者がみなとみらい駅や会場やホテルに集まっていました!アフリカ全土から集まっており、非常に華やかで、アフリカ各国の文化をぎゅっと横浜の一角に凝縮したような、とても面白い雰囲気でした。

私は2年間東アフリカのルワンダで生活していましたが、やはり東アフリカとその他とでは文化圏が異なる為、服装や言葉や接し方等どことなく違う雰囲気のアフリカが感じられ、非常に新鮮でした。

知り合い同士も多いようで、ガードマンに囲まれながら道のど真ん中で再会の抱擁をしている偉い役職だろう人々もよく見かけました(挨拶が多くてなかなか真っ直ぐ歩けず、皆さん集合時間に遅れがちだ、という話も聞きました)。ルワンダではよく見かけた光景で、懐かしく思いました。が、何も知らずに訪れた一般の方々は驚いていました。

駅や会場までのルートにはのぼりやポスターが掲示されており、TICADを宣伝していました。

【写真①:駅前にはポスターや電子サイネージが、会場前にはパネルが】

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■業務はひたすらサポート

私の業務は主に以下2つでした。

①期間中、近くのホテルに暫定的な特設事務所を設定。ここのサポート業務。

②サイドイベントに出展しているAfDBのブースにて、ブースのセッティング及びAfDBの紹介。

①特設事務所のサポート業務

アジア代表事務所の職員は7人います。が、今回TICADに際して本部のアビジャンを始め、各国から職員が30人以上大集合。そしてAfDBのアデシナ総裁の面会に同行したり、他国・他機関とのアポイントメントを調整したり、TICADでの登壇者を案内したり、資料の準備をしたり、突然の会議に対応したり、メディアの取材対応を調整したり...、と、職員やゲストが入れ替わり立ち替わりで特設事務所は混乱しがちに。日本人職員だけでは手が回らないので、私はそうした職員の方々の更に後方支援する業務でした。誰が職員かゲストか分からない中、日本語、英語、フランス語、スペイン語...が飛び交う中で、今何が求められているか、次に何が必要か状況を見極めながらサポートするのはなかなか刺激的でした。

落ち着いている時間帯もありましたが、突然大波が来ては潮が引く...といったような感覚で、常に緊張感がありました。

合間で、「総裁が〇〇国、△△国の大統領と面会したいそうなので、至急連絡を取ってくれ」「〇〇国の大統領は、既に東京へ向かわれたそうです」「では首相とは面会出来るか確認してほしい」「△△国は外務大臣ならいらっしゃるそうです」「そうか...。ちょっと総裁に確認してくる」等という会話が聞こえ、ハイレベルな会談をしている雰囲気を感じました。

②「日本・アフリカビジネスEXPO」でのAfDB紹介

折角TICADに参加しているのでサイドイベントの雰囲気も感じたかった為、ブース担当と交代して半日だけブースに立って、AfDBの紹介業務もしました。

ブースに立ち寄られた方々は様々で、一般の方、国際機関職員、これからアフリカ進出を検討していて相談をしたい企業、AfDBは知らないが情報を得たい企業、国際協力に関心のある学生...etcと色々でした。

アフリカ系の人はほぼAfDBを知っている様子でしたが、日本人の認知度はまだまだ低い様子。ブースに立ってAfDBの業務概要を説明していましたが、それ以外に、「若者の雇用に関する施策はあるか」、「スタートアップへの投資トレンドはどうなっているのか」、「今アフリカってどんな感じなのか」という質問を受ける事もあり、そういう時は「私見ですが...」とJOCVでのルワンダの経験を具体的にしていました。そうすると、「なんと、あのルワンダに行ってたんですか!」、「奇跡の国って言われてますよね!」、「iPadを(教育機関で)配っていると聞きました!」...と、予想外の反応。私の知る範囲でのビジネスやICT分野での知見を話すとそれにも非常に高い関心を持って貰いました。

帰国してからルワンダに対するこういう反応はあまり経験しなかったので、「ビジネス分野では、やはりルワンダは注目度が高い国なのかも...」と興味深く感じました。

【写真②:上_African Allianceゾーン(セッティング前)/下_AfDBのブース(セッティング後)】

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■他のブースの様子

特設事務所での業務が主だった為、殆どブースを回る時間はありませんでしたが、それでも合間をぬってブース見学。

【写真③:日本・アフリカビジネスEXPOの会場入り口】

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ブースエリアは「外務省エリア」と「JETROエリア(=日本・アフリカビジネスEXPO)」とがあり、私の担当はJETROエリアでした。ここは一般企業、市町村、学校法人、アフリカ各国の大使館、国際機関等の団体が出展してアフリカビジネスについて紹介しており、予想以上に大変盛況でした。

【トップページ&写真④:どのブースも大盛況!】

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もちろんルワンダのブースも発見!美味しいコーヒーを頂きました。

【写真⑤:ルワンダブース】

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ABEイニシアティブの奨学金プログラムでルワンダからの留学生を多く受け入れている神戸情報大学院大学のブースにも立ち寄りました。

◇ABEイニシアティブプログラムとは

https://www.jica.go.jp/africahiroba/business/detail/03/index.html

【写真⑥:神戸市と、神戸情報大学院大学のブース】

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全体として、ビジネスEXPOのような雰囲気でした。

アフリカへのビジネス分野で、こんなにも多くの企業が関わっている、もしくは関わろうとしている事を実感でき、非常に興味深かったです。

他にも、ビジネス、環境、農業、再生エネルギー、スポーツ...といった様々なテーマ、及び各アフリカの国々のセミナーやシンポジウム等も開催されていたようです。

また、ルワンダでお世話になったJICA職員の方々とも偶然再会し、色々繋がりを感じました。

■所感諸々

TICADは、日本及びアフリカ各国において、お互いの可能性に触れ、示す貴重な機会だったと思います。一方で、今回会議の場で会ったアフリカの人々は、私がルワンダの任地で会った人々とは経済レベルに大きな乖離がある事を痛感しました。TICAD開催・参加に当たっても大きな予算が動いているはずで、「その予算の0.01%でも別の処へ回せれば、いくつの小さなプロジェクトが動かせるだろうか...」と、ふと考えてしまいました。

JOCVの2年間は「ルワンダ国内からルワンダ」を見る視点でしたが、今回TICADに参加し、「日本からのルワンダ、及びアフリカ」という俯瞰した視点で見る事が出来、非常に勉強にもなり、楽しかったです。

そして改めて、「やはり2年間ルワンダで活動していた事」は大きいと感じました。自分の言葉で語れる経験、というのは、自分の中で非常に大きな財産だな、と思いました。

TICAD終了後、ルワンダの配属先のボスに写真を送ると、「Oooo good!!!!」という感嘆の反応が返ってきました。ルワンダと日本が連携している事を伝えられてよかったです。

【写真⑦:スタッフTシャツとIDカード】

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■最後に

ルワンダへ行くまでは何も知りませんでしたが、行ってみてルワンダがICT立国を目指しており、帰国してからは日本のビジネスのラストフロンティアとして注目されているアフリカにおいて、起業しやすい国のトップに入っていたルワンダ。ルワンダで、まさにビジネストレンドを目の当たりにしていたようです。変化の渦の中に居られた事は幸運だったと思います。

これからも、どのような形になるかは分かりませんが、ルワンダ及びアフリカのかけはしの一助になっていきたいと思います。

さて、この32回目の投稿をもって、最後のルワンダかけはし通信となります。

拙い言葉ではありましたが、少しでもルワンダや活動の雰囲気を感じて頂けたなら幸いです。

何事もブホロブホロ(=少しずつ少しずつ)。

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