JICA海外協力隊の世界日記

薬剤師のウガンダ秘境滞在日記

AMR対策

 今回は私の活動の1つ、AMR対策について報告させていただきます。

 AMRとは薬剤耐性(Antimicrobial Resistance)という意味で、抗生剤(抗生物質)の不適切な使用によって病原体が変化し、薬が効きにくなったり、効かなくなってしまうことです。

 薬剤耐性は世界的な問題であり、WHOや保健省などが各国で対策に取り組んでいます。日本でも2016年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が制定されています。

 薬の種類の少ないウガンダでは、もし菌や寄生虫が薬剤耐性を獲得してしまうと本当に治療方法がありません。

 また検査もできないので耐性をもっているのかどうかの確認をすることもできません。だから耐性菌が知らないうちに拡散されてしまう可能性もあります。


 耐性菌は『医師の指示通り適切に服用しないこと』例えば、良くなったから飲むのをやめたり、取り置きしたり、家族や友達にあげたりすることで発生してしまいます。

 またウイルスには抗菌薬が効かないので、一般的なウイルスによる風邪に抗生剤は必要ありません。

 抗生剤が不適切に使用されることで耐性菌のリスクだけではなく、薬の在庫切れの問題にもつながります。風邪などの抗生剤が必要ない患者さんが薬を貰うことで、薬が在庫切れになり、本当に必要な患者さんにわたせなくなる危険があります。

 このようなことを患者さんと医療者の両方に知ってほしくて、上のようなポスターをつくりました。

 左が患者さん向け、右が医療者向けです。


 ウガンダでは「風邪」という言葉の代わりに「マラリア」と言ってるかのように、体調が悪くなったらみんなマラリアに罹ったと言います。

 マラリアは血液検査をして確定診断をしなければならないのですが、患者さんの自己判断や医師の経験則で検査なしに治療薬が処方されることが多くあります。

 カプチョルワ県できちんと検査されてマラリアだと診断されていたのは僅か40%でした。

 そこでポスターにはマラリアのことを載せています。日本のAMR対策と違うところですね。

 上の写真のように病院とヘルスセンターに掲示しました。
 興味をもって読んでもらったり、わかりやすいというコメントをもらえました!

 私の活動がカプチョルワの医療の質の向上に少しでも貢献できていたら嬉しいです。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。ケイタボン!(現地語でありがとう)

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