JICA海外協力隊の世界日記

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最終回!サモアンジャパーニーズになる

 いよいよ明日私は、健康で無事に1年8か月の任期を終えサモアを出国することになりました。今月は嬉しい涙・感謝の涙・寂しい涙でいっぱいです。サモアに来る前に、JICA駒ケ根訓練所で語学を中心としたトレーニングを受けますが、思ったように語学が習得できず、辛い時期もあったため、最終的にサモアに行ける事が決まってから、駒ケ根研修所で嬉しさのあまり泣いてばかりいました。よく同期隊員に「泣くな」と言われていました。サモアにいる間は、サモア人に良くしていただいたので泣くことを忘れていました。3月に入り、様々な活動や生活の一コマが終わりを告げるたびにまた、涙の日々が続いています。私は首都隊員であり、病院に勤務していたので、厳しい環境で暮らすサモア人や昔から続く伝統的なサモアの生活にどっぷりと浸かることはできました。しかし、サモア人の生活や文化の中でやってみたい事は、サモア人にお願いしてさせていただく機会に恵まれました。有り難い事に、出国前日までサモア人のお友達はサモアで案内しておきたいガイドブックには載っていないような場所に連れて行ってくれています。

 さて、1年8か月の間にサモアで学んだキーワードはこちらです。

 第1位 「家族の大切さ」です。大洋州に共通していると思いますが、日本と違い大家族です。家族がみんなを支えて生活しています。介護施設はサモアにはほとんどありません。なぜなら、家族が高齢者やこども世話をするので必要ないのです。必ず誰かがそばにいてくれるので、一人で生活するような事はありません。また、食事も決まった時間に家族が集まって食事をします。日本も昔はサモアと同じように生活していたと思いますが、環境が変わり、このような生活は難しくなっています。しかしサモアでは、週末はサモア人のお家に行って家族と一緒に過ごしていました。そして、サモアの伝統料理を食べたり作り方を学んだり、文化について聞いてみたりしていくと、サモア人との距離はぐっと縮まります。サモア人に今日泊まりたいと言っても、来る人拒まずなので、困っていたら助けてくれるので、泊めてくれます。それくらい体も大きいですが、懐も大きいのです。

 第2位「仕事の方向性」です。日本ではがむしゃらに働き、時間に追われる仕事を行っていました。サモアでは頑張り過ぎず、できる事をするくらいの仕事量で日本に比べると緩いのですが、忙しい時にも歌を歌たったり、踊ったりして心にゆとりがあります。時々急に何も言わずに消えたり、休んだりするのは困りますが、それについて誰もとがめたりしません。技術や知識の向上は難しいため、私達がお伝えしていく必要はあると思います。しかしここで間違ってはいけないことは、日本のやり方を押し付けないことです。その国のやり方があるので、私達は技術や知識を提供しますが、その中でサモア人ができる事を自分達で選びアレンジしていき、定着させることが重要ではないかと考えます。この考え方は来る前と今では大きく変わっている点でもあります。

 第3位「日本を好きになる」事です。サモア人はサモアが大好きです。「あなたはサモアが好きですか。」と質問をすると「大好き!」と答える人がほとんどです。そのくらい、みんなが幸せなのかもしれないと思います。「みなさんの幸せは何ですか?」私は、発展途上国はお金がないから幸せではないと以前は思っていました。しかし、彼らには大切な家族がたくさんいるし、自給自足できるくらいの食べ物もあり、素晴らし風景や文化も残っています。経済力が高い事が幸せであるとは言えないと感じました。そのため私も日本に帰ったら、サモアで学んだ大切な事を踏まえて、日本がもっと好きになるように色々と考えようと思います。    

 最後に、サモア来る前と今では大きく考え方が変わりました。サモアに来る前は、自分の能力を発揮して、少しでもサモア人のために頑張ろうと思って来ました。しかし、思いだけでは何も変えることはできません。自分がサモア人と共に生活や活動をし、毎日少しずつ積み重ねた信頼関係がある時にこそ、活動の幅が広がると感じました。大きな変化を起こせる隊員もいるかもしれませんが、私はコツコツと積み重ねてベースを作る作業までで活動が終わってしまいました。サモア人に伝えるよりも、サモア人に教えてもらった事の方が多いかった気がします。

 しかし、サモア人に言われた有り難い言葉がいくつかあります。「あなたはジャパニーズではなく、サモアンジャパニーズよ。」「あなたが歯科衛生士として担当してくれて良かった。」「いつでも泊まりにきなさい。あなたの帰る場所はここにある。」「あなたにさよならは言わない。また帰ってくるから。」この言葉を聞けただけで、言葉では伝えきれなかったのですが、気持ちは伝わったのではないかと思います。

 約1年に渡り、サモアの魅力についてお伝えしてきました。是非、今後協力隊を目指す方、サモアは本当に素敵な国ですのでエントリーして下さい。一番の魅力はサモア人の人柄と包容力です。また、今後サモア隊員になる方、サモアでの生活や活動を楽しみにお越しください。さらに、このブログを読んでサモアに来たいと思って下さった方、このブログを参考に色々と体験してください。この写真は、サモアで一番夕日が美しいサバイイ島のファレアルポで撮影しました。サモアンジャパニーズらしくラバラバに身を包み、サモアで愛飲したバイリマビールを片手にサモアの美しい海と空、サモアで最高の魅力がぎっしり詰まり過ぎた一枚です。読者の皆様ブログを読んで下さり本当にありがとうございました。

 Fa´afetai tele lava(サモア語です。ファアフェタイ テレ ラバ)

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