2017/04/01 Sat
活動
避難所評価で学校訪問


災害時の緊急避難先である公立の学校を訪問し、避難所として適当であるかどうかを判断する適性評価を実施しました。
なかなか行くことのない山間部の様子を知るとともに、ジャマイカにおける防災のあり方の実際を目の当たりにすることができました。
ジャマイカには数多くの公立の学校があります。
公立学校なので旅行者の足が向かないような山間部にも点在しています。
教会や公設市場やタクシー乗り場などと同様に、地域にとって重要な機能を果たしている場所です。
学生さんが運動するためのスペースや授業をするための教室もあり、電気・ガス・上下水道にデスクトップPCが何台もある部屋まで完備されています。
観光業のおかげで開発が進んでいるジャマイカの沿岸部ならともかく、のんびりとヤギが歩いている横を抜き身の鉈を携えた農家の方々がロバを駆って通り過ぎていく山間部にも、設備の整った公立の学校があるというのはすごいことだとつくづく思います。
そんな設備の整ったジャマイカの公立学校は、日本と同様に、災害発生時の緊急避難先に指定されています。
2月から3月にかけて、私の活動先の上司であるセント・アン教区災害コーディネーターと一緒に、年に1度の避難所評価を実施するため、教区内の各地にある公立学校を訪問しました。


普段私が活動している沿岸部のセント・アン教区事務所から、ピックアップ・トラックで上り坂を登っていくこと、標高にして実に930メートル。
山間部では空気が冷たく澄んでいます。
そこに住む人たちは農業に従事している人たちが多く、路上で特産品を販売しています。
レタスやキャベツ、白菜といった高原野菜の畑もそこかしこに見られ、そこで働いている人たちは車の中の私と目が合うと、片手を挙げて気さくに挨拶してくれます。
避難所評価を実施する際の評価項目は様々です。
避難所である学校の管理責任者との連絡手段が確立されているか、施設の耐久性、敷地内の集合場所が看板で明示されているか等、日本でもお馴染みの内容もあります。
ユニークなものとしては、雨が降らない時に備えて、雨水を集めるタンクが設置されているのですが、そのタンクが地震で転ばないよう固定されているかというものがありました。
評価項目だけではなく、タンクに施されているペイントもユニークです。
日本では家庭菜園が趣味の方が水道代を浮かせるため、雨どいとポリバケツを繋いで雨水を貯めたりしていますが、水不足対策としてほとんどの公立学校が実施しているのも興味深かったです。
教育省の方針でそうなっているのかどうか、今後機会があれば是非とも関係者に聞き取り調査をしてみたいところです。


ボランティア活動にとって一番大きな収穫だったのは、避難所評価を通じて問題点が浮き彫りになったことです。
例えば、10年以上広域災害に見舞われていないという幸運のためか、実際に避難所で被災者を受け入れるための手続きが避難所運営の実務を担うであろう地域住民に共有されていないままになっています。
誰が避難所の開設を決定するのか、どのように住民の皆さんに周知するのか、どの避難所では何人の住民を受け入れるのか、避難物資の必要性を伝えるためには誰がどこに連絡すればよいのか等、避難所を運営するためには事前に決めておかなければいけない内容が多くあります。
こうした手続き・手順を誰が整備して、避難所運営の担い手に周知するのかも含めて、明確にしておくべき事柄が多いことに気付けたのは、避難所評価を現場で実施したからこそ。
避難所評価で見たことを元に評価項目の見直しを提案することで、避難所運営の重要性に目を向けてもらうきっかけとするという見通しも立ちました。
次に山間部の学校を訪問するのは来年ですが、1年といわず半年以内には避難所評価について教区災害コーディネーターに提案できるよう、準備を進めていきたいです。
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