2017/11/05 Sun
人 活動
帰国研修員フォローアップセミナー


JICA帰国研修員のフォローアップセミナーに参加しました。
日本から帰国して間もないジャマイカの帰国研修員の発表に刺激を受けるとともに、思わぬ相手から思わぬ申し出も頂くなど、とても実りある一日となりました。
10月中旬、キングストンのJICAジャマイカ支所のオフィスに顔を出した時のこと。
ジャマイカ支所の現地職員として長く勤務しているローナさんとオフィス近くのカフェテリアでばったり会ったので一緒にご飯を食べていました。
夏の休暇の旅行先の話などの後に、ローナさんが最近取り組んでいる仕事のことを教えてくれました。
「近いうちに、日本で技術研修を受けたJICA帰国研修員のフォローアップセミナーを開催するので、最近はその準備で忙しいんですよ」
「そうなんですか。今回はどんな人が日本で研修を受けてこられたんですか?」
「いろいろな組織の人が行きました。ケンイチ、あなたの職種である防災に関連した組織の人たちも研修に行っていますよ」
「そうなんですね。タイミングが合えば是非ともセミナーに参加したいところなんですが」
「それはいいアイデアかもしれません。ボランティア調整員さんに聞いてみますね」
私としてはただの雑談のつもりでしたが、ローナさんは思っていた以上にアイデアを実現する力にあふれる人だったようです。
セミナー準備の傍ら、JICAジャマイカ支所内の内部調整を済まして、私が参加できるように取り計らってくれました。
さすがに、「2日後にセミナーをやるから明日中にキングストンに来れるか」と電話で聞かれた時には驚きましたが、そこはご愛嬌。
その翌日に、キングストンのオフィスに顔を出してセミナー当日の予定を聞くと、私がこなすべき仕事を手際よく割り振ってくれました。
最初に話を聞いてから実際に参加するまで、わずか2週間という業務上のスピード感と、調整や指示出しの手堅さの両方を持ち合わせている方にはジャマイカではなかなかお目にかかれません。
前々から思っていましたがJICAジャマイカ支所勤続数十年のローナさん、凄腕です。


当日は、セミナーの会場であるジャマイカ中部の都市マンデビルへ移動。
手配されたマンデビル行きのマイクロバスにはJICA関係者だけではなく、たくさんの人が乗り込んできます。
ジャマイカ計画庁(Planning Institute of Jamaica:PIOJ)の二国間協力担当マネージャーさんまでバスに乗って来た時には驚きました。
彼女は日本を含む様々な国とジャマイカの間の技術協力を一手に統括しているマネージャーさんで、私たちJICAボランティアがジャマイカに来ると表敬訪問させてもらった相手。
ジャマイカ政府の高級官僚なのですが、気を遣って下さって冗談を交えて気さくに話しかけてくれました。
そんな偉い方と冗談を交わしながらバスで移動すること2時間強。
マイクロバスはいよいよマンデビル市内へ到着します。
会場であるホテルの会議室についてから、ばたばたと準備すること30分。
参加者も集まり、どうにか無事にセミナーを開始することができました。
セミナーの正確な名前は「Technology Transfer Seminar and Follow-UP Cooperation Programme」というもの。
ジャマイカ側参加者として、前述のジャマイカ計画庁のマネージャーさん以外に、政府機関から幹部級の官僚の方がちらほらお見えになっていました。
発表者の顔ぶれは、コーヒー栽培組合の役員に観光関連の団体の世界遺産のPRを主に担当する職員さん、電力会社のマネージャーさん、そしてゴミ分別・削減プロジェクトの担当者さんなど様々。
防災・災害対策隊員である私としては、防災関係の研修を受けてきた方の発表が気になるところ。
セント・ジェームズ教区の災害コーディネーターであるシンクレアさんは小島嶼国(Small Island Developing States:SIDS)の防災対策について研修で学んだ内容を発表してくれました。
セント・ジェームズ教区はジャマイカ第二の都市で有数の観光地でもあるモンテゴ・ベイがある教区です。
小島嶼国の主な産業は観光業であることが多いので、セント・ジェームズ教区からシンクレアさんが研修を受けに行ったことは長い目で見て大きな意味があるのではないかと感じました。


個人的に最も印象的な発表だったのが、ジャマイカ消防隊のパイクさんの発表です。
ジャマイカ消防隊では、JICAジャマイカ支所の支援を得て、2016年より小学校の課外活動としての防災クラブ「Fire Wardens Club」を設立し、小学生を対象とした防災知識の普及活動を準備をしてきました。
パイクさんは、「Fire Wardens Club」がいよいよ本格始動するのを報告したのですが、その内容が私が小学校で実施したかった活動とほとんど同じだったのです。
「配属先の上司の承諾を得て、小学校の先生方の了承を取り付けて、子どもさん向けの研修の内容を考えて、協力者も募って・・・」と考えてばかりで、なかなか実行に移すことができていなかった私は発表を聞いて唖然としてしまいました。
ジャマイカ消防隊の方とどうやったら協力できるかという方向で、自分のボランティア活動の内容を考え直す必要を強く感じました。
半日のプログラムもあっという間に終了。
大急ぎで片付けてマイクロバスに乗り込んでから約2時間。
日没前にキングストンに着き、参加者のみなさんが少しずつバスから降りていきます。
ジャマイカ計画庁の二国間協力担当マネージャーさんは去り際に、
「今度あなたの活動しているところを見に行かせて下さいね」
と言ってくれました。
それを聞いたローナさんも
「それはいいアイデアですね。ケンイチの活動を知ってもらうチャンスだから、是非来てもらったら?」
と後押ししてくれます。
配属先の上司の意向も確認する必要があったので、その場で返事はできなかったのですが、意図していなかったところで是非とも仲良くしたい相手と交流を深められるという、思ってもみなかった結果に。
参加して良かったと心から思えるセミナーになったのでした。
参考:
小学校における防災教育プロジェクト実施報告-2016年度フォローアップ事業-
https://www.jica.go.jp/jamaica/office/information/event/170607_01.html
(2017年11月4日閲覧)
JIS News Friday October 27, 2017(注意:音が出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=srvt7f97oF4&feature=youtu.be&t=141
(2017年11月4日閲覧)
Fire Wardens school clubs introduced
http://www.jamaicaobserver.com/career-education/fire-wardens-school-clubs-introduced_115316
(2017年11月4日閲覧)
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