JICA海外協力隊の世界日記

ザンビア起業家の喜怒哀楽

ザンビア起業家たちの未来

  最初にご相談があったのは、1年前のことでした。私費で私立の高等学校を設立したいので、計画を支援してもらえないかとの依頼でした。

1. 小中高一貫校の設立支援

 話を聞くとザンビアでは、高等学校が不足しているため希望する若者の半分程度しか高等教育を受けられず、また公立校は教師の経験やスキル不足で十分な教育ができていないとのこと。 自分は上質で授業料も安価な私立高等学校を設立し、人材を育成したい、また無料で地域コミュニティの開発・産業支援をしていきたいとのことでした。

  私は、デザイン学校設立を支援した経験を生かしながら、数ヶ月ほど毎週ビジネスブランの作成・変更を繰り返し、学校立地の市場調査、校舎設計、実行計画案作成などを支援しました。  経営の安定化と生徒の初等教育からの一貫性を促進するため、小学校から高等学校までの一貫校とすることを今年4月に決定し、5月より予定地で建設を開始しました。既に、 校舎の一部も出来上がり、2017年1月の開校を目指しています。オーナーは、今後ザンビア国内数か所に学校設立を計画しており、将来が大変楽しみです。

2.公共交通手段の改善

  ザンビアの首都ルサカには地下鉄や通勤電車などの公共交通手段がありません。一部の官公庁や企業は公用車や自家用車を保有していますが、一般市民はミニバスと呼ばれる小型バスの利用または徒歩です。

  それでも朝8時前後と夕方5時前後はラッシュアワーとなり、各交叉点で渋滞が発生しています。ザンビアでは、2輪車をあまり見かけません。アジアやアフリカの周辺国で利用されているバイクタクシーや自転車の利用も一部の地方都市を除くとほぼ皆無です。理由は、危険だから、中古自動車の価格とあまり変わらないからと言われています。 しかしながら、これらは他のアジアやアフリカ諸国も同様ですので、真の理由のように思えません。 最近、アジア製の125ccのモーターバイクが1,000米国ドル未満の手ごろな価格で発売されるようになり、一般市民でも手の届くくらいになってきています。 私が支援する起業家やモーターバイクの販売店がバイクタクシー利用拡大に乗り出そうとする動きも出ています。地下鉄や電車などの公共交通が整備される前に、モーターバイクの普及が急速に進むかもしれません。

3. 起業家たちの喜怒哀楽と未来

  今年は、雨季が例年通り11月に始まりました。過去2年間雨量が少なかったため、農作物の生産が減少し、水力発電用の水も不足して計画停電が実施されました。また銅の輸出価格の下落により、ザンビア経済の成長率が鈍化しましたが、天からの恵みで来年は力強い経済成長が期待されています。

  私がザンビアに派遣されてからの2年間で約400社と面談し、経営相談やビジネス戦略立案などの支援をしてきました。その内の約70%は老若男女を含む起業家で、彼らの事業達成への情熱や喜怒哀楽を共有してきました。ただ、彼らを受け入れる産業や人材を育成するためのキャパシティ―が不足しているため、官民が連携して人、物、金、情報、迅速を一体化した産業育成プログラムの開発がザンビアで望まれていると思います。

  最後に、2年間ご支援いただいたJICAザンビア事務所、在ザンビア日本大使館、ザンビア開発庁、ザンビアの起業家、日本企業の皆様に御礼を申しあげます。 多大なるご支援をいただき本当にありがとうございました。

澤村 ザンビア 首都ルサカより

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