JICA海外協力隊の世界日記

モロッコ便り★ハムドゥリッラー

羊犠牲祭☆Eid Adha

Mabrouk Aid!! イードおめでとう!!

先日91日は日本語では羊犠牲祭と呼ばれるイスラム教のお祭りでした。

「羊犠牲祭」この言葉を初めて聞く方も多いと思います。

イスラム教には、以下の2つの大きなお祭りがあります。どちらも祝日となります。

Eid Fiter

イスラム暦9月(ラマダン月)の30日間行われる断食が終了した時に行われるお祭りです。ラマダン明けの記事に投稿したものになります。イスラム暦101日から行われます。

★Eid Adha

イスラム暦1210日から行われます。牛や羊を神様に捧げるお祭りで、日本的に言うと「犠牲祭」となります。モロッコでは、羊を生贄とすることが多いので、羊犠牲祭といいます。

今回は、この羊犠牲祭についてご紹介していきます。

モロッコでは、文字通り、神アッラーに羊を生贄として捧げます。基本的には、1家族が1頭の羊を用意します。家によっては牛などの他の動物を用意することもあります。

羊犠牲祭が近づくと、羊の市場ができたり、スーパーの一角に羊販売のテントができたりします。

私は今年2回目の羊犠牲祭。去年は配属長の医師の家、今年は同僚の助産師の家に招待いただきました。1枚目の写真は同僚が用意した羊。羊犠牲祭の前は、各家族が羊を購入し、家に置いておくので、羊の鳴き声や暴れる音が聞こえ、獣の臭いが漂います。

屠殺は午前中のうちに行います。お祈りをした後、喉を切って息が絶えるのを待ち、その後皮を剥ぎ、内臓を取り、夕方または翌日まで吊るしておきます。喉を切るのは一家の主または肉屋さん。喉を切り屠殺した後の処理は、肉屋さんに来てもらって行うことが多いようです。同僚が呼んでいた肉屋さんは、11520頭ほどの屠殺を頼まれていたそうです。

屠殺は、ベランダや家の中、庭、駐車場など家庭によって様々です。喉を切った後、羊は最後の力を振り絞って暴れるため、血があちこちに飛び、出血量も多く、恐ろしい光景になります…私は子どもとともに遠巻きに恐る恐る見ていました。屠殺の時間は家により少しずつずれます。隣の家のベランダで羊の屠殺が始まると、同僚のおとなしかった羊が急に落ち着きなく動き始めました。自分がこれから生贄になるのだということを羊も理解しているのですね。何ともいたたまれない気持ちになりました。

日本にいた時には、きれいにパック詰めされ精肉売り場に売られている肉しか見たことがなかったので、命をいただいている実感が乏しかったように思います。羊の屠殺を見たり、同僚とともに取り出した内臓の調理をしながら、内臓にまだ温かみがあることを感じたり、命をいただくとはこういうことなんだなとしみじみ実感しました。モロッコの子ども達は幼い時から生活の一部として学んでいるんだということも分かり、とても大切なことだと感じました。

羊犠牲祭1日目は、内臓を中心にいただきます。

肝臓、心臓、胃…炭火でバーベキューのように焼いたり、タジンという煮込み料理にしたりして食べます。炭火を使う時には、2枚目左上の写真のような風を送る道具を使います。そして、串に刺したレバーなどを焼き、みんなで食べます。普段は羊の臭いが気になるという隊員でも、羊犠牲祭の時の羊は美味しいと感じる隊員が多いようです。私は、羊肉は普段より臭みがなく美味しいかも、と思えましたが、去年も今年もレバーだけは美味しいと思えませんでした…意外なことに、心臓が1番美味しかったです。

羊犠牲祭は、日本のお正月に近い雰囲気があり、親戚が集まりみんなで羊をいただきます。私は、同僚の両親の家に連れて行ってもらい、ご家族に温かく受け入れてもらえてとても嬉しかったです。大勢でワイワイ賑やで楽しい1日でした♪

羊犠牲祭の2日目は、「ズムズム」と呼ばれる水遊びの日だそうです!

羊犠牲祭の前から、子ども達は「これで遊ぶんだー♪」と水風船を嬉しそうに見せてくれていました。当日、外に出ると、水風船やペットボトルを手にした子どもが大勢路地にいました。水風船を投げたり、ペットボトルの水をかけたり、海に入った後のようにびしょびしょの子ども達。「ともかもやる~?」とふざけて水風船を投げる真似をしてきます。出かける用事がなかったら参加したかったな…

この水遊びの習慣は私の任地だけだそうで、地域ごとにこういった違いがあるのは面白いなぁと感じました。

日本ではイスラム教徒に出会う機会がほとんどなかったので、今回の羊犠牲祭のような宗教的行事を知ることはとても興味深いです。現地で生活をし、親切にしてくださるモロッコ人がいるからこそできる経験であり、ありがたいなぁと感じます☆

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