JICA海外協力隊の世界日記

マーシャルのゴミから見える世界

その10:ゴミ堆肥(Compost)への取組み

 この国はサンゴ礁からできているため、いわゆる土がほとんどありません。地面を掘ってみるとサンゴ礁が細かく砕けた砂(いわゆるコーラルサンド)が地面を覆っていて、さらにその下にはサンゴ礁が現れます。写真はコーラルサンドで覆われたMAWCの敷地内で試験的にゴミ堆肥を試作して、カボチャなどの農作物を栽培している「Compost試験農場」(後述)です。

 コーラルサンドでは農作物を栽培するのには不向きで、結果的にはマーシャルの人たちが野菜を食べる習慣が根付かない原因にもなっていると考えられます。一方、ゴミ削減の有効手段の一つとしてGreen Waste(ココナッツの落ち葉、剪定枝葉等々)などの有機分解性のゴミから堆肥(いわゆるCompost)へのリサイクルが挙げられます。現在、私が取り組んでいるテーマの一つがCompost生産システムの早期立ち上げです。農地のほとんどないマーシャルで肥料となるゴミ堆肥を作るというのは何だか矛盾したことのように思えます。ところが、こちらに来て気づいたのですが、野菜など農作物を作りたくても栽培するための土そのものがほとんどないという現状です。そこで、土作りとしてゴミ堆肥を用いるという発想の転換が必要だと考えました。

#01 Compost生産基地の現状

 現在、MAWCではCompost生産基地を建設中です。また、Compost生産には欠かせない設備として破砕機があります。これは、Green Wasteなどを細く砕いてより容易にゴミ堆肥へ発酵しやすくするためのものです。現在、日本政府の援助を利用して、破砕機を導入しようと取り組んでいます。写真はLaura地区で進められているCompost生産基地建設工事の状況です。

#02 土のないマーシャルでCompost作り

 MAWCでは先述の通りCompost試験農場と称して、収集されてくるGreen Wasteと廃コプラ(乾燥ココナッツのカス)を用いて先行試験的に農作物を栽培しています。先日、私の大学時代のサークルOB会有志の方たちが私の職場を訪問してくれた時、たまたま試験農場の耕作土を掘り返してみました。すると、とても小さなミミズを発見することができました。おそらくコーラルサンドでは生息するのは困難と考えられるミミズですが、ゴミ堆肥があるおかげで生息できる環境ができてきたと考えられます。まさに、ゴミ堆肥による土作りの第一歩が確認できたといえるかもしれません。

 とても小さなミミズですが、大きな一歩だということを早速職場のGM(所長)にも説明して、共に喜んでいただきました。写真は試験農場で発見された『小さいけれど、大きな価値のあるミミズ』です。

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