JICA海外協力隊の世界日記

ベトうし日記

牛たちにおいしい水を その3

 二人の若い獣医師が私の話に興味を持ってくれました。

 詳細は省きますが、簡単に言うと私の改善案は石灰か重曹で中和するというものでした。一人がpH試験紙を翌週には入手し、もう一人と牧場にあった施設の消毒などに使う石灰を使ってどれくらいの比率で溶かせばちょうど中性になるか、早速地下水を中和する試験を行いました。また中和前の水を牛たちがどれくらい飲んでいるかも測りました。同僚はあまりに牛が飲んでいなかったという事実に驚いていました。

 彼らもこの問題を重く見たようで、ここまでは迅速に事が進んでいきました。

 ただここで問題が発生。

 ベトナムでは石灰は毒だと考えられているらしく、上司が牛に石灰入りの水を飲ませることはできないと言っているそうなのです。消毒に使われるものイコール体に悪いと考えられているのかもしれません。もしくは食品衛生上、たとえ成分が同じでも飼料添加物として売られているものしか牛に食べさせてはいけないという決まりがあるのか。

 若い獣医師が上司を説得してみるというので、私も石灰に関する資料、たとえば日本では食品添加物として使われていることなどをまとめて彼に送りました。重曹が手に入ればそんな手間もいらないのですが。とりあえず今は彼が上司を説得するのを待つしかなさそうです。

 許可が出たら試験的に牛に飲ませ、生産性や牛の健康状態の変化をみて、それも子牛、乳牛、肉牛でそれぞれの状況を調べて。非常に面白い仕事になりそうなのにここでストップしているのが本当にもどかしい。

 任期残り3ヶ月で見つかった改善課題。やる気のある若い獣医師が積極的に取り組んでいます。

 残り2カ月、職場の上下関係が厳しいベトナムでは、上司を説得し自分の意見を通すことは難しいかもしれません。もし許可が下りてもおそらく試験の序盤までしか私は付き合えないでしょう。それでも一度動き出せば同僚たちがうまいことやると思うのですが。

 うーん、もどかしい…。

 ここまで読んでいただいた方には尻切れトンボで申し訳ありません。進展があればまた続きを書こうと思います。

 

 補足)

 後日、石灰で中和した水を飲ませられないと言っていた上司と直接やり取りしたところ、やはり工業用の石灰だからということでした。石灰自体が毒だというわけではないが、工業用の石灰には石灰以外に何が入っているか分からないからとのこと。ちなみに私たちが言っている石灰とは牛舎や車両消毒に使うために牛舎においてある石灰です。どこかに食品用石灰や重曹はないものか。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ