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サモアでの歯科衛生士としての活動その④

 今回のテーマは【~活動~サモアでの歯科衛生士としての活動その④】についてご紹介します。

 いよいよ帰国まで1週間となりました。私の歯科衛生士としての公衆衛生活動も最後のプログラムを19日の月曜日に迎えました。

 今回も新たな人材育成を行うため、セラピストで一番仲の良いウフィにお手伝いしてもらいました。今回も前回と同様、まずは日本の歯科健診の方法を日本人歯科医師の芳我先生から学び、むし歯を抑制するお薬を塗ってもよいと家族から了解を得ている子どもにはお薬を歯に塗る方法を伝授しました。さすが、病院でもテキパキと動きのよいウフィはすぐに方法を理解し、分からない事は芳我先生に確認するなど、なかなかよい動きをしていました。私は、カウンターパートの現地歯科衛生士のタギに健診票の記載方法と補助について今回は助言を行い、自らはなるべく手を出さないようにしました。なぜなら、私の後任はすぐには来ないため、これらのプログラムを新しいボランティアが来るまで現地スタッフが実施しなければならないからです。

 その後、いつものように歯垢が分かるように歯に染色液を付けて、手鏡を見て汚れを確認させてから、自分で工夫して歯磨きをしてもらいました。今回でまだ4回目のプログラムですが、何度も行っている児童は少しずつ歯磨きが上達しているように感じました。しかし、Year2と言えば日本の小学1年生に当たります。まだまだ自分だけでは上手に歯は磨けません。そこで、タギ・ウフィ・私の3人で子ども達11人のお口の中を点検しながら歯磨きの最終チェックを行いました。

 Year2になって大きなプログラムの進展は、日本から輸入してもらったフッ素の粉を溶かして、フッ素のうがい薬で毎週1回うがいを行うことを始めました。WHOもこのうがいを推奨しており、正しい歯磨きとフッ素のうがい液でうがいすることで、むし歯予防効果がさらに上がります。その効果は3~4年後にならなければ現れませんので、継続管理してもらうのはYear2の先生です。オレンジの服を着た先生がYear2の担任で、今回は薬液の作成から10ml測ってコップに薬液を入れることも行ってもらいました。Year2の先生にもこれらの事を説明し、毎週子ども達の為にフッ素のうがい薬を作り、お昼休みにできるかを確認しました。「こんな素晴らしいプログラムをしてくれてありがとう。実施するわ。」と快く返事をいただきました。

 この小学校には3月から新しくJICAのボランティアが着任しました。その為、今回のプログラムを見てもらい、彼女にもお手伝いいただけることになりました。これで、なんとか小学校での継続管理はできそうです。

 さらにもう1つ、子どものやる気を維持するための工夫を行いました。芳我先生のご厚意で、うがい用のカップを一人ずつにプレゼントしました。子どもは大喜びです。また、昨年1年間むし歯が全く無かった児童に表彰も行い、子どものやる気を促しました。今年度は、すでにむし歯があるけれども、今回の歯科健診からむし歯を1年間作らなかった子どもにも表彰しようと決めました。

 サモアの子どもの素敵な笑顔をむし歯で絶やさないために、このプログラムを始めました。自分は1年8か月しかサモアに滞在できないため、ベースを作る事で活動は終了してしました。最後に校長先生とお話ししました。「他の学年にもこのプログラムを行って欲しい。最終はこのプログラムを行ってどうしたいの?」と質問されました。私は、「日本で行っているむし歯予防の方法を紹介し、それをベースにサモア人がやりやすいように改良し、将来は全部の公立の学校でもこのようなプログラムが行えるようになって欲しい。」と、返答しました。「あなたがいなくなったらこの事業は誰がするの?」と聞かれましたが、「大丈夫です。3か月後にタギが先生に連絡します。」とお伝えすると、タギは「3か月後に点検に行きます。」とサモア語で伝えていました。その返答を聞き、私は嬉しくなりました。初めタギは、「チエさん頑張って。私は何もしないから。」と、プログラムが始まる前に心が折れそうな返答をされましたが、徐々にプログラムを重ねていくうちに、自らサモア語で私の媒体を使い説明してくれたり、準備を手伝ってくれたりと変化を感じました。最終的には日本人ではなく、サモア人が行わなければならないものであるため、私がサモア語や英語が流暢で無かった事が功を奏し、たくさん手伝ってくれました。私は媒体などを作って指導方法を伝授し、それを使ってサモア人が自分でアレンジする過程まではできたように思います。これからも他のスタッフを引き連れ、継続した人材育成ができれば良いなあと思います。6年後、むし歯の無い児童がたくさん増える事を願い、私の最終プログラムは終了しました。

 さて、いよいよサモアでの病院の活動も残り1日となりました。みんなから寂しいよと声をかけてもらっていますが、一番寂しいのは私です。そんな訳で、次回は病院での最終日についてお伝えします。優秀の美は飾れるのか・・・お楽しみに!

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