サバーイサバーイlaos日記

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大竹 恵実
(栃木県)

ボランティア/職種
青年海外協力隊
助産師
派遣国
アジア
ラオス ヴィエンチャン市特別市
一言メッセージ
看護師3年、助産師5年の経験の後、青年海外協力隊としてラオスにやってきました。日本の医療との違いに衝撃の連続でしたが、ラオスの良いところに目を向け、“助産”というものを見直す良いきっかけとなっています。

 

ラオスのお産後の習俗「ユーファイ」

2018.09.20

文化 生活

多くの国や地域で無事な出産を祈って多くの儀礼や習俗が生まれ、また固く守られてきました。

日本でも、昔は、「産の忌き」といって出産前後に守らなければいけないことがたくさんあったそうです。例えば、妊娠中に火事を見ると生まれてくる子にあざができる。たこや揚げ物は妊婦に有害なので食べるとお産がうまくいかなくなる。また、お産の時は出血することから、妊婦は生と死を彷徨っていて、産後の母親の身体は子供と同様、あの世のけがれが残っているとされ、不浄のものと扱われたため、神棚や神社に近づくことはご法度とされており、また一定期間、周囲の人々と隔離されたりもしていました。今では、日本では、一部の地域を除き、このような習俗は姿を消しています。

しかし、ここラオスでは、そのような習俗が色濃くまだ残ってるのを実感します。例えば、「ユーファイ」。産後ベッドの横で火を焚き、ベッドの下には炭火を適宜交換し、24時間体制で産後の身体を温め続けます。このユーファイには、子宮を乾燥させ、筋肉を休める効果があると言い伝えられており、私の配属先の地域では、多くの方が行っています。

ラオスの病院では、出産後の翌日もしくは、当日に退院し、自宅で産後過ごします。産後3日目のお母さんの自宅に訪問したときのこと、このように、ベッドサイドで焚火をし、ユーファイを行っていました。

家族が交代で薪をくべ、常に日を絶やさないようにしており、部屋に入ったときは、およそ室温30度くらいの熱気を感じました。

また、ユーファイとともに、産後の習俗で残っているのが、「カラムキン」と呼ばれるフードタブーです。訪問した産後のお母さんも、白米と塩と独自ブレンドのハーブティーのみ摂取しているということでした。徐々に、食べられるものも増えていくようですが、牛肉やアヒルの肉、生のフルーツ(地域によって制限するものが違うようですが…)などを数か月間制限することが多いようです。なので、産後、しばらくたつとみるみる痩せて10㎏ほど体重が落ちて再会する産後のママさんも多いです。

ただ、赤ちゃんが飲む母乳はお母さんの血液すなわちお母さんの食べるものからできており、栄養のあるおいしい母乳を作ってほしいと願う助産師のこちらとしては複雑です。カラムキンは、産後の母親に必要な脂質・タンパク質・鉄分やビタミン・カルシウムなどの微量栄養素の摂取も妨げるとも言われています。

しかし、長らく信仰・習俗として言い伝えられてきたことを一気にがらりと変えるは難しいです。以前から、このユーファイとカラムキンに関しては様々な支援団体から改善の声があげられていて、本人とご家族に病院を退院するときの指導で話していると、「ユーファイはあまり煙、強くしすぎないようするね。カラムキンはしないで、なんでも食べるよ。」などと少しづつ改善が浸透しているのかなと感じる場合も多いですが、実際におうちに行ってみると、実際はまだ根強く残っているという印象です。

ただ、産後、身体を冷やさないようにすることは医学的にも理にかなっているし、家族が常に傍にいてユーファイの火を交代で変えたり、ハーブティーを作ってくれたりと、なんとも温かい人々(&気温)は後世に残したいなと思う雰囲気です。

ユーファイにおいては、火傷しないようにあまり強く炊きすぎないように、赤ちゃんが暑そうにしていたら、「別の部屋で授乳してね」、とアドバイスすること、また、カラムキンに関しては、それぞれの状況に合わせて徐々にバランスの良い食事を食べられるよう説明、また赤ちゃんの発育状況のチェックしていくことなどが、地道に今できることかなと思います。

ラオスの人たちの暮らしや思いを知りながら、自分にできることを少しづつ考えていけたらと思います。