JICA海外協力隊の世界日記

ジャマイカよ、めざせコミュニティ防災 2016-2018

大雨・洪水被害

5月16日、ジャマイカ各地で大雨・洪水警報が発令されました。


私の任地でも、山間部にある川があふれて、床上浸水の被害が出た地域がありました。

今回は被災した地域の状況を手短にお伝えします。

ハリケーンシーズンを6月に控えて、そろそろ準備に取り掛かろうという5月中旬、ジャマイカ全土を大雨が襲いました。

事前の注意報で、洪水の被害が出る恐れのある地域は水・食料の備蓄や避難所の開設をするようにと、政府機関から発表がありました。

5月16日の朝になると、天気予報のとおりに大雨が降り始め、一日降り続きました。

その日のうちにジャマイカ各地で洪水被害が発生しました。

雨が降り始めた当日から、私の配属先であるセント・アン教区事務所は状況を確認するため、教区の全地域に職員を派遣し始めました。

状況が落ち着き始めた5月18日に、私も上司である教区災害コーディネーターの状況確認に同行させてもらいました。

向かった先はダグラス・キャッスルという地域で、セント・アン教区の最南端の山間部に位置しています。

幅10メートル前後の川が地下に流れ込んでいるため、水が豊富で高原野菜の栽培に適している地域です。

雨が降ると流木が地下への水の通り道を塞ぐので、すぐに水があふれてしまうということで、地域で洪水対策を実施しようとしていた矢先に、洪水の被害が発生してしまいました。

道が突然水の中に続いている光景を目の当たりにした時はショックを隠せませんでした。

すっかり水に囲まれてしまった家には、まだ人が取り残されているものもありました。

地域の人たちは木材とポリ容器で作った即席のいかだで、数百メートル先の水につかっていない道路の向こう岸へ食料を運んでは、向こう岸からレタスや白菜を運んできていました。

早速、セント・アン・教区事務所から持ってきたゴムボートを膨らませて向こう岸に渡りました。

居合わせた人に確認すると、孤立している地域には300人程度の住民が取り残されているとのこと。

一部の人からは、

「まあ前にもこういうことあったし、前の方が酷かったしね。こういう地域なんだよ。どうにかこうにか、水が引くまでのんびりやっていくよ」

との、頼もしいコメントも聞くことができました。

地域の人たちが取り残された家の人たちを救助に行かないのが不思議だったのですが、ボートに乗って移動するとすぐにその理由がわかりました。

どこに障害物があるのかわからないため、うかつに道以外のルートを通るわけにはいかないのです。

流木に当たったのか、折れた標識のポールが水面から数センチだけ顔を出しているのに気付かなければ、私たちのゴムボートにも穴が開いていたかもしれません。

状況確認を終えた後の帰路の途中で、倒れたばかりの大木が道路を塞いでいるのに出くわしました。

前回の記事でもお伝えした通り、大雨が降る度に倒木が発生している現状では、発生した箇所の倒木をどうにかして切り拓くことしかできません。

倒木が発生した後に、チェーンソーを使用できる人を急いで雇うと、どうしても人件費が高くつくということなので、複数の教区合同での年間契約による経費削減を提案するつもりで準備を進めていたのですが、こうも倒木が頻発するのなら、できる限り提案を急ぐ必要があると感じました。

山間部の洪水対策についても、ハリケーンの季節が本格的にやってくる前に何らかの提案をするつもりです。

山間部の大雨・洪水被害は以上のような状況でした。

一日も早く水が引き、地域の人たちがいつもの生活で取り戻せるようになることを願ってやみません。

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