2017/07/12 Wed
人 文化 活動
子どもさん向け防災教育授業
6歳から18歳までの子どもさんを対象としたサマーキャンプにて防災教育の授業を実施させていただきました。
防災の話だけを聞くためだけにサマーキャンプに来たわけではない子どもさんたちに、防災について興味を持ってもらうにはどうすればいいのかを考え、実践する良い機会となりました。
JICAには、国づくりの担い手となる開発途上国の人材を「研修員」として日本国内で受け入れ、技術や知識の習得、制度構築等をバックアップする「研修員受入事業」という制度があります。
日本で普及している技術を学びつつ、日本とJICAについて、理解を深めてもらう機会として活用されています。
ジャマイカからも、毎年一定数の研修員が日本で研修を受けています。
これらの研修員たちは、日本から「帰国」すると、「JICA帰国研修員」という扱いになり、「JICA帰国研修員」の同窓会組織を通じてJICAの事業にかかわっていくことになります。
私の配属先の同僚も、日本で研修を受けたことのある「JICA帰国研修員」であり、いつも金閣寺をあしらったペン立てを使っていたりします。
私をボランティアとして受け入れたのにも、そうした背景があってのことなのかもしれません。
ジャマイカの「JICA帰国研修員」の同窓会組織では、年に数回さまざまな企画を実施しています。
その企画のひとつとして、ジャマイカ研究所(Institute Of Jamaica)の子どもさん向けサマーキャンプとの連携・協力があります。
サマーキャンプの講師を同窓会から派遣して、日本文化に触れてもらい、参加する子どもさんにも日本について知ってもらおうという狙いで行われているとのこと。
このサマーキャンプで日本を紹介する授業をしたいという声が一部のJICAボランティアから上がったことから、防災・災害対策隊員である私も声をかけていただき、つい先日授業を実施してきました。
今回私が担当させていただいたのは6歳から8歳までの子どもさんの授業と、13歳から18歳までの子どもさんへの授業の合計2コマです。
6歳から8歳の子どもさんは全部で10人くらい。
人数も少ないのでじっくり授業ができるかなと思ったのですが、みなさんとにかく元気で、椅子に座って話を聞くのも大変なお年頃。
子どもさんに帯同しているジャマイカ人の先生方の協力でなんとか椅子に座ってもらったところで話をし始めるのですが、私の英語がわからないと言われてしまいました。
普段はジャマイカ人の大人の方に、私の英語を「聞いてもらっている」のだと思い知らされました。
早い段階で、言葉での説明から地震時に素早く頭を守るために実際に体を動かしての練習に切り替えたから良かったものの、危うく授業が成り立たなくなるところでした。
このくらいの年齢の子どもさんに、防災・災害対策について興味を持ってもらうための工夫を良く練る必要があることを痛感しました。
一方、13歳から18歳までの子どもさんは、年齢こそ子どもさんという区分であるものの、見た目は成人とほとんど変わるところがありません。
みなさんどことなく大人びていて、クールな印象。
人数も19人と多かったので、車座で全員が全員の顔を見えるようにして、一人ひとりの反応を確認しながら授業を進めていきました。
災害の種類について簡単な受け答えをしてもらったところ、思った以上に集中して取り組んでいるように感じられたので、思い切ってグループワークをやってみると、活発な議論がそこかしこから聞こえてきました。
洪水で避難勧告が出た際に、家から避難所へ何を持っていくかを考えてもらったのですが、必ず持ち出すべき物品についても、かなりはっきりした考えを持っていることが窺えました。
その後、避難所の受付で自分たちのグループ全員を登録する手順を、劇の形式で発表してみてもらったところ、受け答えがしっかりしているだけでなく、学生さんならではの斬新な視点を提供してくれました。
始める前に考えていた以上に学びの多い授業となりました。
このくらいの年齢層の子どもさんに向けた防災教育の内容については、とてもよい手ごたえを得ることができました。
全体として振り返ってみると、良い面と悪い面の両方で学ぶところがたくさんあり、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
今回の経験を生かすべく、任地に帰ったら早速子どもさん向けの防災教育の実施案を作りたいと思います。
また、JICA帰国研修員同窓会や、JICAボランティアが参加できるよう貴重な時間を割いて調整してくださったJICAジャマイカ事務所のボランティア調整員さん、そしてJICAボランティアを代表して全体の調整役を担ってくれた方々のおかげで今回のような機会をいただくことができました。
ジャマイカでの生活にも活動にも慣れてきたことですし、今後は「機会を与えられる」側ではなく、「機会を作り出せる」側となるべく、積極的に活動に新しい物事に取り組んでいきたいです。
SHARE