JICA海外協力隊の世界日記

Dive into Jamaica

ジャマイカの魚市場と見えてくる問題点

ジャマイカの海沿いでは漁業が盛んで、私の住んでいる地域のジャマイカ北部では道路沿いに漁村が点在しています。

中でもよく見られる水産物は写真の様にイセエビからタコ、アジといった日本人に馴染みの深い魚が捌かれています。イセエビはこちらでは頭から尻尾まで幹竹割にしてホイル焼きにするのが有名な食べ方です。写真では漁業者の方が切り身にする為にフエダイ(Snapper)に切れ目を入れているとこです。キリスト教的にはイカタコといった頭足類はDevil fishと呼ばれ食べないと言われていますが、ジャマイカではタコは市場でよく見かけます。しかし、一方でイカに関しては殆ど市場では見かけません。一部の地方では食べられているということなのですが、まだ水揚げされている所は見たことがありません。

この写真は恐らくギンガメアジの仲間のHorse-eye Jackという魚だと思います。ジャマイカの水産現場を見て思うところとして、魚のサイズが全般的に小さい気がします。ジャマイカ人もそれを感じていて、年々小さく獲り辛くなっているといっていました。

イセエビや貝類に関しては禁漁期が設けられていて違反すると罰金が課せられます。しかし、監視体制不足で密漁も多いらしく、現在大きな問題になっています。また、魚に関しては特に漁獲制限は設けらておらず、それを注意喚起するメッセージも存在しません。

小さなサイズの魚を獲るということは水産資源として非常に大きな痛手を負う事になります。生殖可能なサイズ(いわゆる子供が産めるサイズ)まで大きく成長しないとそこまで成長にかかった餌のコストがそのまま無駄になるからです。日本における漁獲制限はこういった観点からそのサイズが決められています。

しかし、ここジャマイカの漁民は基本サーチアンドデストロイ。見つけ次第全部根こそぎ取っていってしまいます。

その大きな原因の一つがこちらの漁民の当事者意識が低い事や宗教観という点が挙げられます。ある漁民が「魚は神からの贈り物だから俺らはいくら取っても良いんだ。むしろあんたらの方が海を汚して魚を獲り辛くしているんだ」とすごい剣幕でがなりたてられた事が先日ありました。

その方は「たまたま」文字が読めて我々の着ていたTシャツに書かれていた文字から研究所からきたという事がわかったらしいです。しかし、漁業従事者の多くは非識字者が多いらしく一緒にいた同僚が彼が「字を読める事」に驚いていました。

これは日本でも釣りをする方には有名なオニカマス(Great Barracuda)の解体中の写真です。こちらは魚種に関わらず魚はポンド当たりの量り売りです。そのため日本では考えられない様な安値でハタやアジが買えてしまいます。これもジャマイカの水産に関する大きな問題であると感じます。貴重な水産資源が安価で取り放題。しかも当事者意識が低い現状では魚が段々と小さくなっている現状にも納得してしまいます。

ジャマイカでは漁獲制限や取締りの強化、そして漁民に対する啓発活動などを水産資源保護の為に行わなくてはいけない大きな転換期を迎えている様な気がします。

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