モロッコ便り★ハムドゥリッラー(髙野隊員は帰国しました。)

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髙野 友花
(神奈川県)

ボランティア/職種
青年海外協力隊
助産師
派遣国
中東・欧州
モロッコ エルジャディーダ県エルジャディーダ市
一言メッセージ
モロッコで助産師として母子保健活動をしています!現地の文化を学びながら、自分にできることを少しずつ取り組んでいきます!

 

学校での母子保健啓発活動

2018.02.13

活動

 日本は記録的な寒波が襲っているようですね。モロッコも今年は雨が多く、寒いです。とは言っても、私の任地では日中の気温が15度近い日もあります。そのせいか、先日職場で春の訪れを感じる光景を目にし、思わず写真を撮りました。桜かな?と一瞬思いましたが、同僚に聞いたところ、おそらくアーモンドの花とのこと。私の任地でもこの時期に咲くことは珍しいようです。暖かい春が待ち遠しいです。

 さて、先日、ずーっと行いたかった学校での母子保健啓発活動を行うことができました。

 大学、中学で活動させてもらいました。啓発活動を始めたきっかけ、活動の様子を紹介したいと思います。

 私が啓発活動を行いたいと思ったきっかけは母親学級等で保健センター、特に村落部を訪問していた際に出会った人々とのやりとりからでした。

いくつかの例を紹介します。

①妊婦健診をしたいとやってきた男性。でもどこを見ても妻はいません。彼は妻を家に置いてきていました。妻なしで妊婦健診ができると思ったようです…(モロッコでは避妊のためのピルは女性手帳があれば本人でなくても夫や子ども、友人が変わりに受け取ることができます。それと同じ感覚だったのかもしれません)

3か月以上月経が来ていないにも関わらず、病院は行ってないという女性。妊娠しているかは分からないと。村落部なので病院に行くにも移動手段の確保、交通費の捻出が大変だという面もありますが、病院に行こうという彼女の意識が薄い印象を受けました。

③妊婦健診に来ず、出産の時だけ病院に行く女性。初めての妊婦健診が妊娠78か月の女性。

④早産の危険があり、入院が必要にも関わらず、家族の理解が得られず入院できなかった女性。(入院費は無料ですが、薬代や交通費が支払えないのかもしれません) 

 これらの原因と考えられることとして、費用や移動手段の問題もありますが、母子保健の知識、妊娠・出産に対する知識や意識の問題も影響していると私は感じました。また、モロッコでは、特に村落部では男性優位で女性に決定権がないことも多いようです。そのため、男女を対象に、命の大切さを知り、自分や他人を尊重する気持ちを持ってもらうこと、妊婦健診や施設分娩の大切さを知ってもらうことを目的として啓発活動を企画しました。

 大学生に対しては、公立大学の文学部で実施しました。公立大学なので、保健省が作った保健室があり、そこに医師と看護師が1名常駐しています。私が「啓発活動をしたい」と同僚と話していたところ、文学部の校医はいい人でやる気のある人だから興味を持つと思うよ、と紹介してもらい、1か月ほど彼女とともに準備をし、実現しました。

 打ち合わせをしましたが、機材が揃っておらず、部屋を変更し、予定時間より30分遅れてのスタート。学生さんは授業の空き時間で参加してくれていたので、人の出入りが常にあり参加者数の把握が難しかったですが、約40名参加してくれました。男子学生が来てくれるか不安でしたが、1/4程度は男子学生もおり、積極的に発言してくれる姿もみられました。啓発活動は2枚目の写真のようなスライド、動画を使用しながら、私がフランス語で話をし、医師がアラビア語で補足してくれました。

こうした方がいいと教育的になるのではなく、なるべく参加型で、そして何よりも感じてもらう機会を提供したいと思っていたので、視覚に訴える資料を多用してスライドを作りました。超音波の写真、受精から誕生までのビデオ、胎児がお腹の中で指しゃぶりをしている動画など、写真や動画をたくさん盛り込みました。出産の流れの説明の際には、手作りの胎児と骨盤模型も使用しました。大学では、すでに出産経験のある参加者もおり、初めて胎動を感じた時の気持ちなどを共有してくれました。3枚目の写真が大学での活動の様子です。

 中学校への訪問では、管轄が私の配属先とは異なるため、まずは教育省に許可をもらう所からでした。書類のやりとりに時間を要するモロッコ。依頼状を出してから許可をもらうまでに約2か月要しました!根気がいりますね^^;

 母子保健担当官の同僚とともに訪問し、中学生はフランス語があまり理解できないことと、静かに聞くことが難しい面もあり、ほとんど同僚にアラビア語で説明してもらいました。思っていたよりも学生達の反応は良く、なかなか先に進まないほど積極的に多くの質問がありました。男子学生も多く、約40名のうち1/3程度はいました。モロッコでは中学生と言っても留年している人もおり、16歳、17歳の学生もいます。

 

テーマとしている「命の尊さを知り、自分も他人も尊重する気持ちを持ってもらう」ということは、実際にやってみると難しかったです。私は助産師なので、妊娠・出産の話を中心に、この世に産まれてくることは簡単ではないことを理解してもらい、だからこそ命は大切にして欲しいというメッセージを伝えました。こういった授業は日本でもしたことがなく、ましてや言葉の壁もあるので不安でしたが、興味を持って聞いてくれ、積極的に質問もあり、参加者のアンケートには、「胎児の成長過程が理解できた」「妊婦健診の大切さが分かった」「命は神様からの贈りものであり、女性が妊娠・出産をすることは簡単ではないから、男性も協力することが重要だと思った」「出産に対する恐怖心が軽減された」等の声があり、勇気を出してやってみて良かったなと思いました^^

これから未来を担っていく子ども達に、命の尊さ、自分や周りの人を尊重することの大切さが少しでも伝わり、何か感じてくれていたらいいな…と願っています☆