JICA海外協力隊の世界日記

Madamadamadagascar!

マダガスカルの障害者

世界には約 10 億人の障害者がいると推定されており、その約 8 割は途上国に住んでいるそうです。彼らは、教育、保健、労働など多岐にわたる分野で参加を阻まれることから、多くが貧困に直面していると言われています。マダガスカルも例外ではなく、技術や能力があっても障害を持っているが故に差別を受け、仕事が見つからないという話をよく耳にします。生活保護等の制度がある日本とは異なり、途上国ではサポートが不十分なために、経済の後退は障害者を含む社会的弱者に、より大きなしわ寄せが及ぶことを意味します。
この度、子どもの学費や、日々の食費すらも捻出することが難しいという、障害を持ったお母さんのお話を受け、障害者が教育と雇用の機会を得られるように活動している「Graphav Vmsv」という障害者組合とともに、自立支援のためのプロジェクトを立ち上げました。

(写真上:耳の聞こえないお母さんがワオキツネザルの刺繍を施したランチョンマット)

「Graphav Vmsv」では、活動の一環として手話や裁縫などの教室を開いています。私は休日に日本語教室を担当させて頂いているのですが、その際にお母さんたちが、繊細な刺繍の施されたテーブルクロスやランチョンマット等とても素敵な手芸品を作っていることを知りました。しかし個人で作業をしているために、糸や布などの材料費が賄えず、作業が止まってしまうこともあるそうです。また、せっかく技術があるのにそれを販売する機会に恵まれず、趣味に終わってしまっています。

そこで、今回は個人的な活動として、クラウドファンディングで集めた資金を元に製作所兼販売所を建設し、差別のせいで働くことすらできなかった彼女たちが、支えあって働ける居場所を作るというプロジェクトを実施しました。製作所にはミシンを設置し、シャツや帽子、バッグなど、彼女たちの刺繍を活かした商品作りが行えるようにします。更に製作した商品は、道路に面した人通りの多い製作所兼販売所にて販売することを計画しています。障害を持つお母さんたちが自分の技術の価値を知り、自信を持ってもらうきっかけを作りたいと考えました。

現在、クラウドファンディングでご支援いただいた日本の方々に、障害を持つお母さんたちが作った手芸品を御礼の品としてお送りしている最中です。手芸品の他、「Graphav Vmsv」メンバーたちが覚えたての日本語も交えてしたためたお礼の手紙も同封しています。

支援者の方の一人から、
「ただの募金ではなく、シャツとか送ってもらったらコチラこそ本当嬉しいもの。夏もバリバリ着るよ! マダガスカルにちょっとだけだけど貢献したシャツだぜ!」という大変嬉しいお言葉をいただきました。
クラウドファンディングを通して、家族や友人を含む、今まで自分が関わってきた多くの方からご支援を頂き、本当に有り難く思っています。それと同時に、日本で生活している多くの方々が少なからず国際協力に関心を持ちながらも、なかなか支援をするキッカケをつかめていないことを知りました。その思いを、支援金という形で今回のプロジェクトに託してくれた方々に良い結果を報告できるよう、また、マダガスカルの障害者と日本の支援者を繋ぐ懸け橋となれるよう、メンバーとともに頑張っていきたいと思います。

※本文中に出てくるクラウドファンディングにかかわる活動は、JICAは全く関与しておらず、隊員個人の活動です

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