JICA海外協力隊の世界日記

Madamadamadagascar!

マダガスカルの伝統工芸

マダガスカルでは、思わぬ場所で素晴らしい手工芸品を作る職人に出会います。
活動先の農村部でB&Bを営むラコトンジャザカ夫妻は、蚕を養殖し、その糸から紡いで作ったスカーフを草木で染め、宿泊客に対しお土産品として販売しています。
マダガスカルの中でも私の任地のある中央高地では養蚕業が盛んで、19世紀には、かつて中央高地を中心にマダガスカルを支配していたメリナ王国が、家蚕によるシルク織物の生産を拡大し、それを輸出産業にまで育てあげようとしたという歴史があります。
その上に、インドネシアから染色技術が伝わり、各地域の季候や植生に応じた天然染料を用いた織物文化が育まれてきました。野蚕絹を天然色素によって染めた織物は、王侯貴族や首長などの特権階級に属する人々が衣服として身につけていたとのことです。絹の織物は、古くからマダガスカルの象徴だったといっても過言ではありません。

ラコトンジャザカ夫妻は、B&Bに泊まりに来た観光客に対し、絹織物についてよく理解してもらえるよう展示部屋を設けています。

絹の種類には以下の2種類があるそうです。(写真上)
・家蚕絹:人が桑の葉を与えて家の中で飼い、長い年月をかけて品種改良を重ねてきた蚕からとったもの。
・野蚕絹:野外で自生する蚕からとったもの。
白い糸が家蚕絹、茶色っぽいものが野蚕絹。現在では家蚕絹の方が圧倒的に流通量が多いそうです。


また、草木染についても詳しくお伺いしました。(写真上参照)

明るい緑色のものはパッションフルーツの葉、深緑のものはキク科のイアリーの葉、ピンク色のものはマダガスカルでハイビスカスと呼ばれている植物の紅色の葉を、紅色のものはハイビスカスと木を混ぜたもの、青色のものは藍を用いて染色されているそうです。茶色のものは野蚕絹をそのまま使用し、染色していません。茶色のもの以外は全て家蚕絹を使用しているそうです。

今回、5月20日ににマダガスカル北部の町マジュンガで行われた「日本祭り」にて、彼らのシルクスカーフを販売させてもらいました。マダガスカル人にとっては少し高価なようですが、他任地のJICAボランティアや職員の方からは「肌触りが良い」「色が綺麗」とご好評いただき、計11枚販売することが出来ました。

1月から7月までは観光客が殆ど来ず、B&Bの収入がないというラコトンジャザカ夫妻さん。マダガスカルの伝統文化が残る素敵なB&Bなので、今後広報活動をサポートする等力になれたら、と考えています。

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