JICA海外協力隊の世界日記

バングラデシュ便り

01_建築局の変わり者

アッサラム アライクム!(こんにちは!)2025年度3次隊、建築隊員の水上です。

着任して1ヶ月半。バングラデシュの首都ダッカにある「住宅公共事業省・建築局」が私の配属先です。私はなんと、18代目の隊員です。ここでは100名以上の建築士たちが、公共建築物の設計に励んでいます。皆さんとてもフレンドリーで、15年以上前の先輩隊員の名前を覚えている方もいるほど!これまでの絆を紡いできてくれた先輩方には感謝しかありません。

私の経歴は、これまでの先輩たちとは少し違います。 配属されてから「日本でどんな仕事をしていたの?」と聞かれるたび、私は説明に頭を悩ませていました。バングラデシュは世界屈指の人口過密国。もし大地震や大火災が起きたら、甚大な被害が出てしまいます。だからこそ、避難所にもなる公共建築物の「安全性の確保」は命綱です。

日本での私の仕事は、設計図面や工事現場をチェックする「建築検査」でした。 「建築」と聞くと、多くの人が華やかなデザインを思い浮かべますよね。同僚たちも同じです。でも日本には、「建物が法律のルール通りに安全に作られているか、第三者のプロが厳しくチェックしなければならない」という決まりがあります。建物のクオリティを上げ、人々の命と暮らしを守るためです。

バングラデシュでも、日本のような「検査」が始まったばかり。同僚たちにとってはまだ馴染みがなく、「イメージが湧かないなぁ」と言われ続けてきました。歴代の先輩隊員の多くは設計そのものを手伝っていたため、チェック専門の私は、彼らにとってかなりの「変わり者」に映ったはずです。

「イメージできないなら、実際に私の仕事を見てもらおう!」

そう思い立ち、日本での仕事を紹介し、それがどう彼らの役に立つのかを提案するセミナーを企画しました。直前の大雨でメインモニターが壊れるアクシデントもありましたが、同僚たちの助けもあって無事にスタート。70名を超える仲間が集まってくれました!

  セミナーの様子

正直に言うと、「検査」は建築士から嫌われやすい仕事です。「間違いを粗探しする存在」に見えてしまうからです。確かに「法律でダメだから直してください」と言うのは簡単です。しかし、それでは設計者は心を閉ざしてしまいます。

私がやりたいのは、ただの間違い探しではありません。 「ここをこう変えたら、もっと素敵で安全になりますよ!」という未来への提案です。「ダメ出しをしたいんじゃない、一緒に建物をより良くしたいんだ」という想いを、どうやって伝えていくか。一緒に取り組んでいくか。行動を変えていくか。これからの課題です。

 会場の様子

同僚からは、「都市部と農村部でルールが違う。学ばなければいけない。」「もっと詳細を聞きたい。」という前向きな意見が聞かれました。これからも一つ一つのプロジェクトに携わりながら、建物の「地震への強さ(耐震性)」や「火事への強さ(防火性)」など、バングラデシュのルールの中で、より良い建築を目指して提案を積み重ねていくつもりです。ゆくゆくは、みんなで話し合うワークショップも開きたいと考えています。

日本での経験をバングラデシュの未来へ繋ぐために、絶賛試行錯誤中!これからも同僚たちと手を取り合い、建築に向き合いながら、一歩ずつ前に進んでいきます。

アバル デカ ホベ! (またね!)

水上 俊太(2025年度3次隊/建築/ダッカ県南ダッカ市)

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