2026/10/13 Tue
活動
03_『世界ハビタット・デー』と建築局の挑戦

アッサラム アライクム!(こんにちは!)2025年度3次隊、建築隊員の水上です。
突然ですが、毎年10月の第1月曜日が何の日か、ご存知ですか...?
正解は、国連が定める『世界ハビタット・デー』と、国際建築家連合(UIA)が定める『世界建築の日』です。2026年は10月5日(月)でした。恥ずかしながら、日本にいた頃の私は「ハビタット……何かの呪文かな?」というくらい、全く知りませんでした(笑)。 ですが先日、バングラデシュのイベントに参加したことで、世界とつながる特別な体験ができたのです! 今回は、その熱気にあふれた現地の様子をお届けします。
「住まい」と「建築」を考える特別な一日
大まかに言うと、『世界ハビタット・デー』は「世界中で人が増えすぎて、ちゃんとした家に住めない人が増えている問題」をみんなで考える日。 そして『世界建築の日』は、「その問題を解決するには、建築の力が必要だよね!」ということで同じ日に制定されました。行政による「仕組みづくり」と、専門家による「モノづくり」がタッグを組み、誰もが安心して過ごせる街をつくろう!という日です。 今年のテーマは、国連が「すべての人に適切な住まいを」、UIAが「住まいは人権。建てよう」でした。
バングラデシュは、世界有数の人口密度を誇る国です。アジア開発銀行などの報告によると、都市部では現在600万戸の適切な住宅が不足しており、2030年には1,050万戸にまで拡大すると予想されています。(なんと東京都の全世帯数を超えるレベル!)誰もが安心して暮らせる住まいをどう確保するか。まさに国を挙げた大ピンチなのです。
首相も登壇!大きな展示会と、小さな革命
10月5日からの3日間、国内最大の会議場で巨大な記念イベントが開催されました。オープニングセレモニーには首相も駆けつけ、省庁のトップたちが熱い議論を交わします。ブースエリアには行政だけでなく、建設会社や設備会社など157もの企業・団体が集結しました。入場無料で一般の方も多く集まり、会場は汗ばむほどの熱気に包まれました。
そして今回、私が活動する「住宅公共事業省・建築局」も歴史上初めてブースを出展! 私たちの職場は、主に国の公共建築(公務員住宅など)のデザイン(意匠設計)を担当している部署です。今回はそのデザインを紹介したのですが...。 実はこの出展は、ただのイベント参加ではありません。建築局にとって歴史的な「小さな革命」だったのです。
国内最大の会議場
パネルディスカッションの様子
ブースエリアの様子
トップダウンからボトムアップへ!若手建築士の挑戦
バングラデシュは超トップダウンの社会。行政組織も例外ではありません。 おまけに縦割り社会なので他省庁との交流も乏しく、一般の人からは「建築局? で、結局なにをしている部署なの?」と思われることもしばしば……(泣)。
この現状に「ちょっと待ったー!」と立ち上がったのが、同僚の若手建築士4人でした。 「このままじゃダメだ!」 「自分たちの仕事を知ってほしい!」 「もっといろんな人と交流して、学びたい!」 熱い想いを胸に、なんと建築局長へ突撃・直談判! その情熱に心を動かされた局長から、見事にブース出展の許可を勝ち取ったのです。トップダウンの国で起きた、見事な「ボトムアップ」でした。
そこから1ヶ月、慣れないイベント準備に大奮闘。ブースのデザイン、3D模型、ポスター作り……東奔西走の日々が続きます。 そして迎えた初日の朝。設営作業がようやく終わったのは……なんと午前3時。同僚が「前日の準備、無事に終わったよ〜!」と爽やかに報告してくれましたが…… それ、「前日」じゃなくて完全に「当日」ですからーーー!!(汗)
一番人気だったのは「3Dプリンターで作った20階建て公務員住宅のパノラマ模型(高さたった15cm)」! 来場者のみなさんは「自分がドローンになった気分!」と大はしゃぎで、スマホをかざして撮影していました。
出展ブースの様子
会場を沸かせたパノラマ模型
挑戦の果てに掴んだ、3つの大きな収穫
3日間のイベントを終えた同僚たちからは、疲れの中にもキラキラとした達成感があふれていました。彼らが語ってくれた「3つの成果」がこちらです。
- 交流の輪が広がった! 他省庁や民間企業の人たちと名刺交換をしたり、「建築局で働きたい!」という熱い建築学生たちに仕事の魅力を伝えたりと、自分たちも大きな刺激を受けた。
- 「受け身」から「自分ごと」へ意識が変わった! 他団体の最新技術に触れ、「安全で環境に優しく、30年・50年先も人々を守れる建物を自分たちの手でつくるんだ」というプロとしての強い責任感が芽生えた。
- 建築局としてのイニシアチブに目覚めた! 「ただデザインするだけじゃない。安全面や環境問題について、他の省庁や学校にも自分たちから働きかけていこう!」というリーダーシップに目覚めた。
おわりに
「ボトムアップの直談判」から始まり、「午前3時(当日)設営完了」という山あり谷ありの挑戦(笑)。ですが、若手たちの熱意は上層部の心をも動かし、建築局に新風を吹き込みました。 世界の街と暮らしを支える、建築の力。バングラデシュの未来を明るく照らす若手建築士たちの挑戦は、始まったばかりです!
アバル デカ ホベ、バロ タクベン!(またお会いしましょう、お元気で!)
水上 俊太(2025年度3次隊/建築/ダッカ県南ダッカ市)
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