JICA海外協力隊の世界日記

ブータン便り

ブータンの国家プロジェクトに行ってみた(Ed Sheeranライブ)

Kuzuzanpola! 隊員の岩井です。
今回はブータンの国家プロジェクトであるGeleph Mindfulness City事業のとあるイベントに参加してきました。

Geleph Mindfulness City(GMC)というのはブータン南部のGeleph地区に新しい都市を作ろうという国家プロジェクトです。
公式サイト: https://gmc.bt/
GMCは特別な行政区とし、単なる経済都市を目指すのではなくマインドフルネス(心の健康)な都市を目指しているようです。新たな国際空港の建設やスマート農業の実施が予定されていたり、南・東南アジアへの投資の窓口としての働きが期待されているようです。

そして去年の11月、突如ビッグニュースが舞い込んできました。GMC事業が興行主となり、なんとあの世界的アーティストEd Sheeranがブータン初の国際ライブを開催するとのこと!発表された時は所属先にいたのですが同僚と大興奮でした。

チケットは最も高くて8,600ニュルタム(100$)でした。最も安いチケットは10$相当でした。これはブータンの経済事情を考慮してのことだと思います。
ライブ当日は大きな混乱もなく大興奮のまま終えました。いやぁ~、最高でした。

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さて、ここまで読んでこのように思った方もいるでしょう。「羨ましい」と。特に国外にいるブータン人にとっては今回のライブは強烈な羨ましさを感じる機会だったと思われます。
これは完全なる私の意見・憶測ですが、今回のエドシーランライブの狙いの一つはこの”羨ましさ”だと考えています。どういうことかというと、ブータンでは賃金が低いため出稼ぎとしてオーストラリアやカナダ、アメリカに行っているブータン人が数多くいます。特に2023年は出国ラッシュだったようです(参考記事Reuters)。今回のライブは羨ましさを活用し「ブータンにいてもライブのようなエンターテイメントを楽しめるよ」、「ぜひみんないつかブータンに戻ってきてね」という暗黙のメッセージを投げかけたものだと私は解釈しています。
インターネットが発達し、SNSが普及し、自国と他国を比べて世界との差に気づき幸福度が下がったとの説があるブータン。寧ろ今回のライブはその逆、他国がブータンを羨ましいと思わせた機会になったと思います。
もちろん他にも狙いはあり、小さな国でも国際ライブを開催できるということの証明や失業率に苦しむブータンの若者への活力になることが挙げられています(参考記事Kuensel)。

一外国人の勝手な意見ですが、毎年は無理でも数年に一度は今回のような大規模なイベントが開催され、ブータン人の地元愛を強化させる機会となり、国外にいる数多くのブータン人が戻ってくるきっかけになればと思います。

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