2025/04/28 Mon
ブータンの空の下で
〜再び動き出すブータンでの物語〜


皆様こんにちは。
ブータンで柔道隊員として活動していました福井勇貴です。
今回を入れた残り3回の私の世界日記も多くの方々に見ていただけると幸いです。
今回は、私がブータンで「約1年の任期延長を受けて行った2年半目の活動」について書かせていただきたいと思います。前回は2023年10月-24年2月までの活動について紹介しましたが、今回は24年3月-9月までの私の活動について紹介させていただきます。
まず、初めに、冒頭にも記載しましたが、私の当初の任期は24年4月7日まででした。しかし、ブータンオリンピック協会およびブータン柔道協会の強い要望もあり、JICA Bhutan事務所との協議を経て、任期終了2ヶ月前に約1年の延長が決定しました。延長後の任期は、25年3月20日まで。この延長が決定した時、私はこれからの1年新たな気持ちで自分のできることを全力で取り組んでいこうと決めて残りの期間がスタートしました。
数日後の2月中旬、私の高校時代の恩師から連絡があり、岐阜県の小学校を対象としたオンライン講座に協力して欲しいとの連絡をいただき実施しました。この出前講座では、JIC Aとは?国際協力とは?私のブータンでの活動についてお話しさせていただきました。
実際に恩師との事前打ち合わせをした際に、恩師からは、「実際に現地で活動している生の声を小学生に伝えたい、そして少しでも広い視野を持って今後生活して欲しい」という思いを伝えていただき、小学5.6年生にもわかりやすい講座を開きたいと思い、準備をしたのを今でも覚えています。
私自身、この出前講座をすることができて本当によかったですし、貴重な経験になったなと感じます。
出前講座終了後は、4月20日から香港で開催されたAsian Judo Championshipsへの出場が決定していた為、次なる目標として、この大会での勝利を目指し、日々稽古やトレーニングに励んでいました。
次の大会で私たちが勝利を残すためにはどんなことをしなければいけないのか?協会としてのサポート、選手たちに対する技術面について、この大会までの期間、私は多くのミーティングを選手たちと実施しました。
そして、4月17日、私たちは台湾に向けてブータンを出発し、同日深夜に台湾に到着。今回は、余裕を持って大会に臨めるよう、余裕のあるスケジュールを組みました。
そのため、台湾到着後は、現地でのトレーニングや事前練習にしっかりと取り組むことができました。
入念な準備のもと、20日には2名のブータン代表選手が大会に出場しました。
結果は、両選手とも健闘しましたが、1名は初戦敗退、もう1名は2回戦での敗退という結果となりました。帰国後は、今後の国際大会に向けて反省会を行い、改善点の共有や次への課題について話し合いました。
国際大会が終わったからといって、私たちの活動が一息ついたわけではありません。帰国から約10日後、私たちは柔道場近くにある学校を訪問しました。ブータンでの更なる柔道の普及も目的として、生徒数およそ1,000人の通う学校で柔道デモンストレーションを実施しました。
実際に私たちが行ったデモンストレーションは、礼から始まり、回転運動、柔道アクロバティック、投げ技の披露、セルフディフェンスを行いました。
柔道普及活動が終わり、私たちの大きなイベントがひと段落し、通常の稽古・トレーニングに戻りました。
また、5月から段々と夏模様になり温かくなり始めたので、平日のトレーニングではランニングを中心に、ウエイトトレーニング、パワーリフティングに力を入れて取り組みました。
6月中旬には、コーチ陣、シニア選を対象にした、アスリートサイクル、メンタル講習を実施しました。どんな風に自分のモチベーションを向上させながら、トレーニンング、稽古に励むのか?その方法などについてパワーポイントを用いて説明しました。
この講習から、以前から取り入れていた、目標シートにも力を入れて活動を行っていました。講習会後、私たちは毎年恒例となっている Summer Judo Camp をスタートさせました。ブータンの学校の夏休みは、例年およそ3週間。その限られた期間を最大限に活かし、参加者全員が柔道に集中できるよう、朝から夕方まで充実したプログラムを組んで取り組みました。このキャンプを通じて、柔道の楽しさや奥深さ、そして仲間と一緒に取り組むことの素晴らしさを、少しでも感じてもらえたのではないかと思います。
Judo Campが始まり2週間が経過した7月13日に私たちは、National Summer Judo Tournamentを開催しました。この大会では、ブータンの南の地方のゲレフからも柔道クラブが参加し大盛り上がりの国内大会になりました。
また、Judo Campに並行して私たちは、7月18日に台湾で開催されたTaipei Asian Judo Open2024への出場が決定していましたので、勝利に向けた準備を行っていました。
国内大会から一夜明けた14日、私を含む4名の代表チームが台湾に向けて出発し、翌日の15日の夕方私たちは、台湾に到着しました。
到着後チェックインを済ませて部屋に向かおうとしている時に、ある異変に気づきました。
それは、私たちが予約を申し込んだホテルではなく少し料金の高いホテルに通されていたということでした。
それから部屋に入りすぐブータン柔道協会側と電話相談をし、ホテル予約を管理していた大会運営側との交渉をして、運営側にミスがあったということで、当初のホテルの料金と同じ料金で、このホテルに一泊させていただけることになり、翌日からは、当初予約していたホテルに行くという流れにしていただきどうにか一件を落着させることができました。
ブータンに派遣されてから、ありがたいことに海外への引率の機会が多く、そのたびにいくつかのトラブルに直面してきました。そうした経験を通して、今回のトラブルでも冷静に運営側と交渉し、解決に導く力を身につけることができたと感じており、自分自身の成長を実感しています。
そんなこんなあり、翌日からは現地で調整トレーニングと稽古をして万全な状態で試合に挑みました。それから数日が経過して、18日3名の選手が大会当日を迎えました。
結果は、善戦はしましたが、2名が一回戦敗退、1名が準々決勝で敗退しました。
準々決勝で敗退しましたが、敗者復活戦もありました。しかし、敗者復活戦も敗れ7位でこの大会を終えました。あと一歩というだけに私も選手以上に悔しい気持ちがありましたが、この試合で自分の出せるベストを出して戦った選手たちを誇らしく思いました。
帰国して、すぐにSummer Judo Color Belt Testの日程が決まっていましたので、7月27日にSummer Color Belt Testを開催しました。
Color Belt Testが終わり、香港で開催された国際大会、Summer Judo camp、台湾で開催された国際大会まで休みがなく、走り抜けたので1週間半のオフを取りました。
オフが終わり、8月8日から通常稽古、トレーニングを再開しました。
23年6月ごろから、私たちブータン柔道協会に対してブータン国営放送がドキュメンタリー制作のために1年間密着取材を行ってくれていました。そのドキュメンタリーは、24年8月中旬にブータン国営放送にて、30分の特別番組として放送されました。このドキュメンタリーのリンクを掲載させていただきますので、もしお時間があれば多くの方々に見ていただけると嬉しいです。
https://youtu.be/M8BIzizxTxI?si=P9LnB3Rzpx97M8DS
8月17日からは、ブータン柔道協会初となるユースの国際大会の開催、運営をしました。
この大会では、インド、タイ(プーケット柔道クラブ)が参加してくださいました。
初めてのユース国際大会運営で不慣れな部分もものすごく多かったですが、無事に大会を終えることができて運営メンバーとしてとても嬉しく思います。国際大会が終わり、約1ヵ月後の9月22日からタイで開催されたThailand International Judo Tournamentに出場すべくこの講習会中も私たちは強化トレーニングを実施してきました。前回大会にも出場しましたが、今回は、前回大会以上の成績を残すべく稽古、トレーニングに励んできました。
そして、9月19日に私は、4人の代表選手とともにタイに向けて出発しました。
到着後は、現地での事前トレーニング、稽古を行い万全な準備を行って試合に挑みました。
結果は、出場した全員が1.2回戦で敗退し、敗者復活戦のチャンスがあった選手もいましたが、惜しくも敗退し昨年の結果を超える成績を残すことができませんでした。
この国際大会への引率が私のブータン代表チームとしての最後の国際大会引率にはなりましたが、結果以上に選手がブータン代表としてプライドを持ってこの試合まで厳しい稽古やトレーニングに励んできました。結果は1.2回戦敗退という内容にはなりましたが、結果以上にこのチームで戦うことができたことの嬉しさ、選手を勝たせることができなかった悔しさ、責任感はありますが、ものすごく貴重な経験をすることができたと思います。
現在、これまで代表選手として活動していた2名の選手が、代表選手としてはこの大会を機に引退し、コーチとして新たな柔道場を設立し指導に励んでいます。
そんな彼らを私は一番近くで指導していたからこそ私は誇り高く思いますし、今後更なるブータンにおける柔道の普及に励んで行ってほしいと思います。
というような感じで、今回の「約1年の任期延長を受けて行った2年半目の活動」について、を終わりにしたいと思います。
次は、任期も残すところ半年となった3年目の活動について、お話ししていきたいと思います。
今後も少しでも多くの方々に見ていただけると嬉しいので、よろしくお願いいたします。
また過去2年間分の私の詳しい活動内容がNPO法人JUODsさんのウェブサイトにて記載されています。今回少しお話しさせていただきました、インド合宿から詳しい活動報告が掲載してあります。
もしお時間がある方は、そちらも見ていただけると幸いです。
-JUDOsカディンチェ柔道日記リンク-
https://judos.jp/category/activity/publicity/report/bhutan/
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