2025/12/12 Fri
ボリビア 活動 生活
#100 隊員OVに独占インタビュー【助産師/小野】

記念すべき第100回目の投稿となりました!!祝
「隊員OVに独占インタビュー」
今日のインタビュイーは2022年度2次隊の小野さんです♪配属先のNGOにて助産師として活動されました。
特に活動に悩んでいる方、ぜひ最後までご覧ください。
Q.1 協力隊参加後の現在は何をしていますか?
帰国後は、コールセンターや救護施設の立ち上げ・運営を行っている企業で看護師として勤務しています。具体的には、官公庁が運営する救急相談センターで勤務する看護師さんへの研修実施やセンターの管理を行っています。
Q.2 ボリビアでの活動/生活の中で印象に残っていることは?
私は、2年間コチャバンバ県ティキパヤ市にあるNGOで助産師として活動していました。妊娠期から2歳までの1000日間の関わりの大切さをテーマに、両親学級の運営などを行っているNGOですが、保育園、小学校を併設しており、私の主な活動内容は母親学級の運営と生徒の健康管理、衛生教育でした。
活動の対象は、地域の母親と子ども、その家族、NGOのスタッフ、近隣の医療機関のスタッフと多岐に渡りました。活動の中で思うように進まなかったことの一つに医療者間での知識・技術の共有が挙げられます。
人は、自分と異なる考えに触れた時、拒絶反応を起こすことがあります。これは、ボリビアに限ったことではありませんが、どこにあるかも知らなかった国から急に来て、聞いたことも無いことを話す助産師の話など拒絶されることも珍しくありませんでした。
そんな2年間の活動を通して、印象に残っていることは数えきれませんが、その一つに、大きな変化はもたらせなくても、遠い国から来た協力隊という存在が世界変える小さなきっかけにはなれるかもしれないと感じた出来事があります。
日本の医療現場では、患者さんとその家族が自分達の健康を自分達で守り、コントロールできるよう関わるのは、極一般的なケアであり、腕の見せ所でもあります。それは、妊娠出産というWell-beingを追求する分野においては、より色濃いものです。私は、自分が担当する両親学級の中で妊娠や出産に関するセルフコントロールをよくテーマにしていました。そのため、両親学級に参加してくれたお母さん達は、自分で陣痛をコントロールしたり、楽な姿勢を見つけたりと自身の出産に主体的に取り組む姿勢を持ってくれていました。
しかし、悲しいことに、出産中はベッドに仰向けになることが当然であり、患者は医療者がケアをしやすい姿勢を保つべきだと考えている医療者がボリビアにはまだ存在します。そもそも、出産は医療者がコントロールするものという考えを持っている場合もあるように思います。
そんな中で、自身の出産を通して、出産に主体的に臨みたいという思いを医療者に一生懸命伝えてくれたお母さん達がいました。その中の一人は、看護師であったということもあり、私の活動を大いに助けてくれました。私の帰国後、彼女はそのNGOで採用され、母親学級の運営を担当しています。
助産師としての活動の成果は、数値にして目に見えるかたちにできるものはそれほど多くなく、私のもたらした変化は非常に小さなものだったかもしれません。知識の浸透や技術の定着は、2年間ではやりきれなったことの方が多いです。
しかし、地球の反対側からやって来た一人の助産師を通して、今まで触れたことの無い考えや技術に触れ、それを自分のものにし、発信してくれお母さん達がいたことも事実です。その数は多くありませんが、私の伝えたことがお母さん達から医療者へ、医療者から他の患者さん達へ繋がってくれたとしたら、いつの日か私の活動が身を結ぶ日が来るかもしれません。
多くの「かもしれない」がいつか現実になり、誰かの世界を少し良くするきっかけになってくれたらいいなと、活動を終えた今、思っています。

Q.3 後輩隊員(現在活動中〜これから隊員になる人も含めて)にメッセージをお願いします!
協力隊を通して得られる経験は、様々ありますが、自分の想像を超えることが次々起こるのが魅力の一つです。
迷っているなら、一歩を踏み出してみてください。
自分の想像を超える刺激的な時間が待っていると思います。
現役隊員の方々は、日々の活動の中で戸惑いや葛藤が尽きないかもしれませんが、一見止まっているように感じる日々が、振り返ってみると実はとても有意義な時間だったりもします。
全ての出来事、全ての出会いを全力で楽しんで下さい。
【インタビュイー・写真提供】
小野 衣美(2022年度2次隊/助産師/コチャバンバ県ティキパヤ市)
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