JICA海外協力隊の世界日記

ボリビア便り

#243 児童養護施設の子どもたち【青少年活動/杉浦】

こんにちは。ラパスの児童養護施設で活動している杉浦里佳です。

今回は、児童養護施設で約2年間活動をしてきて感じたことを書こうと思います。

「児童養護施設」と聞くと何を思いますか?孤児?かわいそう?ネグレクト?

その他、人によって様々なイメージや考えがあるのではないかと思います。現地の人に「児童養護施設で活動をしている」と話すと「児童養護施設にいる子どもたちはかわいそうだ」とよく言われます。でも、本当にそうなのでしょうか。「かわいそう」という言葉で片づけられるほど、簡単でありかわいそうなのでしょうか。

私の配属先は、NGOによって運営されている女子のみの児童養護施設で、5歳から18歳(18歳で退所)までの約50名が施設で暮らしています。施設で暮らしている子どもたちの背景は様々ですが、貧困、ネグレクト、親のアルコール依存、身体的・精神的・性的暴力、親との死別など、1人1人が異なる経験をしています。

2024年のある統計によると、ボリビア全土では約5,025人の児童・青少年が施設で暮らしているそうです。また、児童遺棄率は近隣諸国では0.05%であるのに対し、ボリビアでは0.68%以上とかなり高い数字となっています。

成人前に親族や実の親が子どもを迎えに来ることは少なく、この2年間、約60人近くの子どもたちを見てきましたが、私が配属先で実際に見たケースは3人です。一方で、経済的な理由などから一緒に暮らすことは難しくても、子どもたちの多くが定期的に親族と面会をしています。

皆さんは児童養護施設で暮らしている子どもの数を見て、何を思うでしょうか?

私は、この数字を1人1人の権利が守られている子どもの数だと思います。

施設に入る前までは十分に守られていなかったかもしれない以下の権利が、保護されることによって守られているからです。

・生きる権利(衣食住が確保され、医療を受けられること)

・育つ権利(教育を受け、自分らしく成長できること)

・守られる権利(暴力や虐待、搾取などから守られること)

少なくとも私の配属先の子どもたちは、学校に通い、友達と過ごし、栄養が考えられた食事とおやつを食べ、宿題をして、それぞれのベッドで寝ます。時には、そこで働く大人と喧嘩をしたり、叱られたり、心配されたりしながら、学校のことや将来のことなど、さまざまなことに悩みながら日々を過ごしています。そして、学校の長期休暇には旅行に出かけ、クリスマスにはプレゼントをもらいます。そこにあるのは、笑ったり、泣いたり、悩んだり、怒ったり、誰かに心配されたりしながら過ごす、どこにでもいる子どもたちの日常です。

もちろん、実の親から十分な愛を受け取ることが出来なかった子どもたちは施設にたくさんいます。それでも、この2年間子どもたちと同僚と過ごす中で、施設にもまた違った形の愛情があると感じています。血のつながった家族ではないにしても、それぞれの立場から子どもたちの事を日々考え、将来を心配し、社会に出たときに困らないよう、生きていく力を身につけてほしいと願いながら接している大人たちがそこにはいます。実の親からの愛情に勝るものはないのかもしれません。それでも、どんなことがあっても愛をもってそばで見守ってくれる人がいるというのは、そこに血のつながりがないとしても、素敵なことのように感じます。

この約2年間、児童養護施設という場所で子どもたちと関わる中で、私が一番強く感じたことは、「児童養護施設にいる子どもたち=かわいそう」というわけでは必ずしもないということです。むしろ、そのような見方や言葉が子どもたちを傷つけることさえあると思います。確かに、1人1人の過去を見ると胸が痛みます。出来ることなら、実の親から愛情をしっかり受けて育って欲しかったと思います。しかし、悲しいことにそれが叶わなかった子どもたちがいます。

だからこそ私は、この約2年間を通して、そういった子どもたちを「かわいそう」という言葉でひとくくりにするのではなく、どこにでもいる1人の子どもとして、1人の人間として愛情をもって接することが大切なのでだということを、子どもたちや同僚から教わりました。

文責 杉浦 里佳(2024年度2次隊/青少年活動/ラパス県ラパス市)

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