JICA海外協力隊の世界日記

ボツワナ便り

「自由な」ボツワナの結婚式 ― 共に喜びを分かち合うマウンの暮らしから ―

Dumela !

ボツワナのマウンでコミュニティ開発隊員として活動している田中です。

任地のマウンに来て3か月が経ちました。ここは世界遺産オカバンゴ・デルタの玄関口として知られていますが、実際に住んでみると、都会的な便利さと豊かな自然、そして何より人々の温かさが共存している、非常に過ごしやすい街です。おかげさまで、毎日楽しく充実した生活を送らせていただいています。

さて、前回はボツワナの「お葬式」についてご紹介しましたが、今回はその対極にあるお祝いの場、マウンで「結婚式」に参列した際のお話をお届けします。

招待状もご祝儀も不要?驚きの「オープン文化」

私が参列した結婚式でまず驚いたのは、日本とのスタイルの違いです。一言でいうなら、式は「町全体のお祭り」。

日本では招待制でご祝儀を持っていくのが一般的ですが、こちらは驚くほどオープンです。招待状がなくても「幸せはみんなで分かち合うもの」と、誰でも温かく迎え入れられます。その規模も凄まじく、現地の方に聞くと、参列者が200人、多い時にはなんと600人にもなるそうです!

これだけの人数になると、もはや新郎新婦の知り合いかどうかすら怪しいところですが、そんな細かいことは気にせず、誰でも温かく迎え入れて食事を振る舞う。そんな懐の深い文化を肌で感じることができました。

式が終わり、披露宴へ……と思いきや、5時間の「余白」

結婚式が始まり、無事に誓いを立てて、次はいよいよお待ちかねの披露宴へと移るのですが……ここからが驚きの始まりでした。なかなか次のプログラムが始まらないのです。

後から分かったことなのですが、遅れた原因はなんと「新婦さんのメイク」! 人生最大の晴れ舞台、最高に美しくありたいという新婦さんのこだわりを尊重して、大勢の参列者みんなで待つこと、気がつけば5時間が経過していました。

時間通りに進まないこともありますが、それも含めて誰もピリピリせず、温かく自由な雰囲気があるのが面白いところ。参列者たちは焦る様子もなく、お喋りをしたり、ゆったりとした時間を過ごしたりしています。最初は彼らの大らかさに感銘を受けていた私ですが、さすがに5時間が経過する頃には空腹が限界に。一緒に参列していた別の友人も「正直、お腹が空きすぎて、もう集中できなくなってきた……」とポツリ。現地の人もやっぱりお腹は空くんだ!と、妙な親近感が湧いた瞬間でした。

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歌とダンスが主役!全員で作り上げる披露宴

ようやくバッチリ綺麗に仕上がった新婦さんが登場し、披露宴が始まると、会場の熱量は一気に最高潮へ。入場シーンから独特で、新郎新婦も参列者も、音楽に合わせて軽快にダンスをしながら会場に入ってきます。

日本の結婚式のように静かに進行を見守るのではなく、参加者全員で一緒にお祝いを作り上げていく雰囲気がとても印象的でした。女性たちの高い歓声(ウルレーション)が鳴り響くエネルギッシュな光景を見ていると、5時間の待ち時間の疲れもどこかへ飛んでいってしまいました。

また、今回はとても近代的なスタイルの結婚式で、新郎新婦の華やかな「お色直し」もありました。純白のウェディングドレスから、さらに洗練されたカラードレスへと着替える姿は、本当に美しかったです。

伝統とモダンが混ざり合う、参列者の装い

会場を見渡して興味深かったのが、参列者のみなさんのファッションです。
ボツワナには「レテイシ」と呼ばれる布がありますが、今回の式では、その布を使った伝統衣装を着ている人が4割、華やかな洋装のドレスを着ている人が6割ほどでした。

大勢が集まる会場は、伝統を重んじる装いと現代的なファッションが綺麗に混ざり合っていて、マウンの「今のスタイル」が垣間見えて新鮮でした。

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空腹の先に待っていた「至福のバイキング」

式の盛り上がりが落ち着くと、お待ちかねの食事が始まります。今回はケータリングが用意されており、整然と並んだ料理がバイキング形式で振る舞われました。

牛肉を叩き潰した伝統料理「セスワ」や、主食の「パパ」など、現地の誇る味がずらりと並びます。5時間の空腹に耐え抜いた反動で、気づけば私のお皿には山盛りのご馳走が……。隣の友人のお皿もやはり同じく山盛りで、二人で顔を見合わせて「おいしいね!」と笑い合いながら食べました。 コミュニティのみんなと美味しい料理を分け合うその時の一体感は、長い時間待ったからこそ味わえる格別なものでした。

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3か月目の景色

5時間という長い待ち時間ではありましたが、ドレスアップした新郎新婦の本当に幸せそうな笑顔を見た瞬間、それまでの疲れや空腹はどこかへ吹き飛んでしまいました。会場全体がひとつになってお二人を祝福する、あの温かく幸せな瞬間に自分も立ち会うことができて、心から嬉しく、ありがたい気持ちでいっぱいになりました。

まだマウンに来て3か月。文化の違いに戸惑うこともありますが、今回の結婚式を通じて、予想外の展開さえも「みんなで共有する楽しい思い出」にしてしまう人々の心の広さを肌で感じることができました。

きっちりした時間管理も大切ですが、大好きな人たちの門出をみんなで全力でお祝いし、笑い、踊り、最後には美味しいごはんをお腹いっぱい食べて「幸せだったね」と帰路につく。そんな彼らの「今」を肯定する力に、私自身も元気づけられた一日となりました。

マウンの生活は、今日もたくさんの発見と喜びに満ちています。

Ke a leboga!(ありがとうございました)

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