2026/05/19 Tue
活動
私が感じたカンボジアの美術とその現状

ជំរាបសួរ!!
現在コンポンチュナン州の小学校で図工を教えている、近藤と申します。
今回は、普段のカンボジアの生活また子ども達が描く絵から、カンボジアの美術の現状を知ってもらえたらいいなと思います。
ちなみにカンボジアには「クメール美術」というものがあり、6世紀から13世紀ごろにかけてカンボジアで展開されたヒンドゥー教と仏教の美術です。アンコールワットもその一つです。しかし1970年代にポルポト政権によって約300万人の文化人が虐殺されたと言われており、”失われたクメール美術”とも呼ばれています。
そのため、カンボジアの美術教育は遅れている現状があります。2023年に公立の小学校では週一回の芸術教育を入れる方針になりましたが、美術教員が少ない、授業経験が少ない、模写中心で創作教育が弱い、教材がないといった問題を抱えています。JHP・学校をつくる会、JICA,教育省が共同で教科書(音楽と美術が一緒になったもの)を実施していますが、実際に芸術の授業を定期で実施している小学校は少ないです。(現在派遣されている学校も元々ありませんでした)
実際に授業で、「自由に好きな絵を描いて」と言うと、多くの子ども達が、2つの山の間から太陽がのぞいている絵や家の絵を描く子が多く、絵が得意な子どもはもちろん数人いますが、上手い子の絵をそのまま真似してしまう子ども、全く描けない子もいます。
そのため、子ども達に絵を模写するだけではなく、創作などをいれることによって、本来の美術の楽しさや自分の考えを表現できるようになれたらいいなと思っています。

バッタンバン州にある”Phare”は、アートのNGOであり、子どもや若者向けに芸術を通じた教育を支援している団体です。
元々は虐殺の時代後、難民キャンプで戦争のトラウマを抱えた子ども達に絵を教えた活動が始まりのようです。
サーカスが見れたり、6日間の芸術に関するお祭りがあったり(2025年は11月に開催)、バッタンバン州の街中に壁絵が多くあるので、バッタンバン州の街を訪れた際はぜひ探してみてください。
私は一か月の間だけ、Phareで絵を習いました。海外で習い事をするとは思いませんでした!影のつけ方、カンボジアのデザインなどを学びました。(一か月5ドル)

美術は、楽しいことばかりを表現するものではありません。
カンボジアに来てそれを強く感じました。
2025年タイとカンボジアの国境地域で軍事衝突がありました。ちょうどその頃に私たち2025年1次隊は任地に派遣されたので、小学校の多くの子ども達に、「カンボジアとタイどちらが好き?」と聞かれました。またタイの国旗を描いて、私の目の前で×を書く子どももいました。子ども達のノートに国旗が印刷されているのですが、一部の子ども達は×が書かれていました。好きな絵を描く時間に戦車とタイとカンボジアの国旗を描く子もいました。
言葉だけではなく、視覚からも、今のタイとカンボジアの紛争の現実が伝わってきて、それを子どもが表現していることに衝撃を受けました。
しかし悲しいことばかりではありません。タイのパタヤにあるサンクチュアリー・オブ・トゥルースを知っているでしょうか。その建物は、タイの仏教だけではなく、ヒンドゥー教、クメール美術の要素も建築に取り入れています。
いつか”芸術”を通して、時間はかかりますが平和的に繋がるものが増えたらいいなと感じました。
私は残りの任期で、図工×環境教育、図工×平和教育、図工×日本文化といった、図工を通して、カンボジアの子ども達のためになにかできることを模索していきたいと思います。
2025年一次隊 近藤千咲季
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