2026/03/23 Mon
活動
幼児教育/笑顔、あふれてます!

話は35年前に遡る。
私は青年海外協力隊でホンジュラスに派遣される前の派遣前語学訓練でグアテマラにいた。
グアテマラの民族衣装である織物は素晴らしく、私もちょっとやってみたくなり、織物名人だという女性にファッハという帯を習うことにした。
時には公園で、時には彼女の家に行って織物を習った。
彼女の家の周りでは大人も子どもも裸足の人が多かった。
ホンジュラス派遣前に勤めていた高校では、卒業の時、上履きや体育館シューズを多くの子がごみ箱に捨てていくことを思い出した。
体育館シューズなんて、週に2,3回、年間でも何十時間しか履かないので、まだ十分きれいなのに、みんな捨てていく。
一時帰国したとき、その高校を訪ねたら、体育館シューズが大きな段ボール箱ひと箱集まった。
それを彼女に船便で送ったのだが、後日何一つ届いていなかったことを知り、悲しくなった。
その後、子育てしていく中でも同じようなことがあった。
幼稚園では全員がお道具箱を買うのだが、「上の子の物があるのでそれを使います」というと幼稚園はこんなこと言う人初めてだわと言わんばかりの顔をして「あなたの子だけ古いものを使ってかわいそうだと思わないの?」と言われた。私が向こうの立場なら「お姉さんの物を大事に使って偉いね」と言うだろう。まだホンジュラスから帰って数年しか経っていなかったこともあり、「日本って何かおかしい」と強く思った。
日本では一人一台ずつ持っているピアニカやソプラノリコーダーは小学校を卒業すると要らなくなり、処分される。
それ集めて途上国に持っていきたいよ、とずっと思っていたので、コロンビアに来て「世界の笑顔のためのプログラム」を目にした時、「これだ!きっと私と同じ気持ちの人がいるに違いない!」と思った。
私の配属先の保育園では絵を描く時、先生が子どもたちにクレヨンを一本ずつ配る。子どもは自分で色を選ぶこともできないし、いろいろな色を使うこともできない。粘土はピンポン玉一つ分くらいしか渡されない。子どもたちが自由に使える楽器はない。
コロンビア派遣前に勤務していた保育園でお道具箱一式(クレヨン、ノリ、鋏など)一新するので以前の物は全部処分するようにという指令が出たことを思い出した。
70数園のうち、まだどこかに捨てずに残しているかもしれない…と運営部長に相談すると探してみるというお言葉をいただいた。
よし!と気をよくして鍵盤ハーモニカ30台、絵本10冊も欲しいものリストに記入し申請した。

鍵盤ハーモニカは、最近日本もリサイクル意識が浸透してきたのと収集時期がタイミングが悪かったのもあり、知り合いに声をかけてもなかなか集まりそうになかった。
が、ホンジュラス派遣の時の同期隊員が、新品の鍵盤ハーモニカ30台買って寄付してくれた。
持つべきものは同期隊員だ。

前職場では、お道具箱とその中のクレヨン、ノリ、ハサミ、粘土などを全園をあたって探してくれ、30セットにして寄付してくれた。園名が書いてある物もあり、その園や園長先生たちの姿を思い浮かべ、日本の子どもたちが使っていたものがまたここで息を吹き返すんだと思うと何とも言えない気持ちになった。
絵本10冊も寄付してくれた方がいて、私の申請した物品はありがたいことにすべて揃った。
会ったこともない地球の裏側の子どもたちの笑顔を思い浮かべながら、日本でこの物品を集めてくれたのだと思うと胸が熱くなった。集めてくれた前職場の運営部長の温かいコメントにも涙が出そうになった。
そして、捨てられるかもしれなかったモノたちが、海を越えて長い長い旅をしてまた新しい使命を与えられるのだと思うとまた涙・・・。
楽器を触ったことがない子どもたちが初めて楽器を触って音が出たとき時、たくさんの色から自由に好きな色を選んで絵を描く時、見たことのない絵本を見る時、多くの笑顔があふれるに違いない。
このプログラムって、集めてくれた方々、受け取った私、それを使う先生や子どもたち、みんなの笑顔があふれる、本当に世界の笑顔のためのプログラムだ。
私が35年前に習ったファッハは完成せず、織機のまま押し入れの中に入ったままだが、やり残した人生の宿題の一つが終わったような気がしている。
コロンビア、メデジンのマンリケの丘から出たこともない子どもたちもいるが、日本という国を知り、これからもたくさんの物に触れ、たくさんのことを学んで、世界に羽ばたく子どもたちが出てくるといいなと思う。
このプログラムに関わってくれたすべての方に感謝!
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