JICA海外協力隊の世界日記

ジブチ便り

これが俺の青空教室だ!

今回はいま派遣されている青年海外協力隊の濱口翔伍さんに書いてもらいました。

(以下、原稿のまま)

私は今、ジブチの工業高校で教員として働いている。 5月、世界一暑いこの国に、長くて過酷な夏休みがやってきた。

そこで私は、ずっとやりたかった「青空教室」を始めることにした。

私が住んでいる地域のまわりには、学校に通えない子どもたちがたくさんいる。 信号のある交差点で、昼も夜もティッシュを売ったり、靴を磨いたりして、お金を稼いでいる子どもたちだ。

彼らの多くは、ジブチ国籍を持たないエチオピアにルーツを持つ子どもたち。 彼らは学校に通えず、厳しい暮らしの中で日々を過ごしている。

でも彼らに、何か落ち度があったわけじゃない。彼らは物心ついたときからここに存在しただけだ。

私はこれまで様々な国を旅して、似たような物乞いをする子どもたちに出会う度に何もできない自分が悔しかった。 ある国で、物乞いの女の子と出会った日の私の日記を紹介したい。

【素足で歩く髪の毛もボサボサな物乞いの女の子。 私は彼女の何十倍ものお金を持ち、高価なiPhoneやGoProを持って世界を旅しているのに、 彼らに何をしてあげることもできない。お金をあげたら解決することではない。彼らは、物乞いをし、断られ、人に冷たくされる過酷な日々を過ごしている。 その心の痛みを想像できるのに無力ない自分。 どうか自分よ。この世界の子どもたちの幸せを祈ることだけは、絶対にやめないで。 どうか自分よ。この不条理な世界を「しょうがない」で片付けないで。 どうか自分よ。その無力感を忘れないで。 彼女の人生に、苦しいことが一つでも少なく、楽しいことが一つでも多くありますように。】

ジブチに活動に来ているのにエチオピア系の彼らに青空教室を開くという、選択に悩むこともあった。 でも、旅中に感じた自分の無力さを力に変えられるのが今で、学校に通えないこの子たちに自分が今なら救いの手を差し伸べることができる。 そして、私は青空教室を開くことを決めた。

始めると、子供たちは喜んで【学校、学校、学校!】と叫びながら来てくれるようになった。

家の前の空き地に布を広げて、椅子がわりのクーラーボックスとテーブルを並べただけの学校とはほど遠いもの。 でも、やってることは、学校である! 文字の読み書きも計算もわからない10歳ぐらいの子どもたちに、フランス語や、足し算などの基礎を教えていく。

この夏の目標は、「街の看板の文字が読めるようになること」。 アルファベットの読み方、発音、書き方。 全部覚えられたら、彼らにとっては本当に大きな一歩になるだろう。
彼らがジブチで過ごす学べなかった時間は取り戻せないし、彼らが大人になった時、彼らの子供たちは同じように負のスパイラルを歩むかもしれない。 でも、その負のスパイラルを止められるきっかけを作る可能性が1%くらい自分にあるかもしれない。
今現在、お互い共通の言語はないけれど、教えることで共通の言語ができるように。 彼らの知的好奇心をこれからも満たしてあげれるように。

「勉強したいのにできない子を、できるようにしたい」 それは、18の時に国際協力の理想を描いた僕の夢だ。 今、その夢のステージに立っている。 子どもたち、俺についてこい!

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