JICA海外協力隊の世界日記

グアテマラ便り

トト日記⑯ 栄養士として向き合う"慢性栄養不良"の現場から

Hola!こんにちは!

グアテマラ栄養士隊員の嶋津です。

私の活動のひとつに、「栄養不良児のいる家庭への訪問と栄養指導」があります。

みなさんは「開発途上国の栄養不良児」と聞いて、どのような姿を思い浮かべますか?

痩せ細って骨が浮き出た子ども――そんな姿を想像されるかもしれません。そのような状態は「急性栄養不良」と呼ばれ、短期間で急激に栄養が不足した状態を指します。

一方、私が活動するトトニカパン県では、5歳未満児の「慢性栄養不良」が大きな課題です。「慢性栄養不良」とは、極端に痩せているわけではなくても、食事の量が不十分だったり、成長に必要な栄養素が慢性的に不足していたりする状態のことです。この状態が長く続くことで、将来的には知能の発達の遅れや虚弱体質など、子どもの成長・発育に深刻な影響を及ぼします。

実際に農村部の家庭を訪問してみると、家までの道は山道で舗装もされておらず、医療や公的支援へのアクセスの悪さがすぐに分かります。家の中は暗く、衛生状態も良くないなかで、7人、8人の子どもがひとつ屋根の下で暮らしていました。

また、保護者が現地語であるキチェ語しか話せず、公用語であるスペイン語の読み書きができないため、栄養指導の内容や栄養補助食品の説明書きを理解できないという家庭もありました。他にも、土地が乾いて作物が育たない、食料を買うお金がない、そもそも子どもの栄養に関心がない…など、栄養不良児を抱える家庭にはさまざまな課題が山積しています。

こうした状況から、「慢性栄養不良」とは単に「食べるものがない」というだけでなく、医療・農業・教育など、さまざまな分野の問題が複雑に絡み合って生まれていることを改めて実感しました。

私は、「子どもたちの栄養改善に少しでも貢献したい」と思ってグアテマラに来ましたが、山道を歩いて家庭を訪問し、目の前の現実を見たとき、「私に何ができるのだろうか」と大きな無力感に襲われました。たった一人の日本人ボランティアである私が、この2年間でできることには限りがあると痛感したのです。

しかし、グアテマラでの生活も1年半が過ぎた今、たとえできることが多くはなくても、「何もできないわけではない」と感じています。私が活動している配属先のグアテマラ人スタッフにとっても、子どもの栄養不良は大きな問題です。私はそんな仲間たちと一緒に活動しています。決して、私ひとりが奮闘しているわけではありません。

私が日本で学んだ栄養の知識や経験を共有しながら、現地で実践できることに取り組んでいます。2年間の活動で目に見える大きな成果が出るかは分かりません。でも、少しでも配属先の活動や地域の人々に良い影響を残せたら嬉しいです。

JICA海外協力隊として、グアテマラに住み、現状を知り、現地の人と共に活動できることは、本当に価値のある経験だと思います。残り半年、1日1日を大切にしながら、自分にできることを積み重ねていきたいと思います。

それではまた!

IMG_8218.jpeg

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ