2026/06/06 Sat
活動
インドに響いたハーモニー

北インドのDehradunにある大学で日本語を教えている成川しのぶです。
4月末に赴任先の大学の日本語学科で、「ドキドキ」という文化祭が2日間にわたって行われました。ここドゥーン大学の言語学部には、日本語以外にもドイツ語、スペイン語、フランス語、中国語の学科あり、どの学科もお祭りを行っていますが「ドキドキ」ほど盛大なイベントはありません。
1日目はワークショップで、学生たちはそれぞれ浴衣の着付け、風呂敷、折り紙、ゲーム、箸、フェイスペインティング、カタカナの名前書きなどのブースを担当、来場したお客さんに日本文化を体験してもらいます。この日だけで500人以上の来場者がありました。

2日目はステージパフォーマンスで、学生が書き下ろした「妖怪」や「七夕」をテーマにしたドラマ、ソーラン節や阿波踊り、J-POPなどのダンスを披露しました。そして私が担当したのは合唱でした。合唱はインドでやりたかったことのひとつでしたが、こんなに大変だとは想像していませんでした。
というのも、インドに来てからわかったことですが、一般的なインドの学校には音楽の授業がありません。ドレミの音階で歌うこともないし、日本では身近な合唱コンクールも存在しません。そんな経験ゼロ人たちが3パートに分かれてハーモニーで歌うのですから、相当なチャレンジです。
曲は『Believe』『手紙~拝啓 十五の君へ』それから学生の希望でアニメの曲『光るなら』と『ビンクスの酒』に決め、いよいよ練習が始まりましたが、これが頭を抱える日々の始まりでもありました。まず、音程というものを全く理解していない学生が複数いました。それから参加者はいろいろな学年から集まっているので、一緒に練習できない日も多く、レベルの差がどんどん広がっていきました。
そして、パートごとの音源を頼りに練習していた結果、本番1週間前に伴奏のみで歌ってみたら、それまで自信満々で歌っていたソプラノが崩壊しました。ステージを想定して立ってもらうと、パートごとに円を作ってしまいます。パフォーマンスも大学の内外からたくさんのお客さんが見に来るので、ある程度の成果が期待されます。自分のやりたいことを優先して失敗したらどうしよう、合唱なんかじゃなくて、好きなように歌わせた方がうまくいったんじゃないか、と弱気になることもありました。
でも、もう走り出してしまったし、学生たちはがんばって練習している。休み時間にも「拝啓この手紙~♪」と口ずさんでいる。彼らを信じようと思いました。そして、とにかく2つのことだけ伝え続けました。それは、みんなでハーモニーを作り上げることと、それをお客さんに届けること。

そして当日、様々なハプニングはありましたが、ついにホールに歌声が響きました。完璧な出来ではなかったかもしれないけど、「合唱って何?パートって何?」からスタートした彼らがステージで堂々と歌っているのを見て、挑戦してよかったと思いました。この経験を忘れないでいてくれたら嬉しいです。
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