2026/09/16 Wed
私たちの活動を紹介します ~コミュニティ開発 ×3隊員~

サバイディー!皆さんこんにちは。 今回はラオス各地を舞台に、JICA海外協力隊の「コミュニティ開発」職種で活躍する隊員3名の活動をそれぞれ紹介いたします。「コミュニティ開発」と聞いても、どのようなことに取り組んでいるのか、なかなかイメージが湧かないのではないでしょうか。今回ご紹介する3名の隊員は、それぞれの任地・配属先で、それぞれの課題に向き合い、日々の活動に取り組んでいます。今回少しでも、ラオスで活躍するコミュニティ開発の隊員活動をご理解いただければと思います。
1 : 勝俣 彩隊員(シェンクワン県)

サバイディー! 私はシェンクワン県の産業商業局で活動している、勝俣彩です。
【任地、配属先について】 私の任地であるシェンクワン県ですが、ズバリ「ラオスなのに寒い季節がある」が特徴です。理由は標高1,000m以上に位置しているため、年間を通して冷涼な気候で、冬季の朝晩は気温が一桁台になることもあります。 首都ビエンチャンから直線距離で200km弱に位置しており、アクセスは飛行機で山を越えれば30分程度なのですが、長距離バスなら悪路の山越えを12時間です。車酔い必須です(笑)。お隣のThe観光地な県、ルアンパバーンからもバスで来られますが、こちらもヒヤヒヤするような谷底を見ながらの山越えで10時間かかりますので、移動は断然飛行機がおすすめです。またシェンクワンは、ラオス国内でモン族の割合が最も多い県といわれており、モン族のマーケットや、モン族のお正月を祝うための専用の広場もあります。
▲左の写真 :シェンクワンの町を一望できる丘からの風景
▲中央の写真:配属先のラオス人のお姉さま方が、私にモン族の衣装を着せてくれたときのもの
▲右の写真 :世界遺産であるジャール平原のチケット売り場の近くにある、モン族の貸衣装屋さん
モン族の衣装にはラオスの特産品の一つでもある銀細工のアクセサリーが不可欠で、金属もふんだんに縫いつけてあるので、フル装備で着るととても重いです。ラオ族の女性もモン族の衣装を着てみたいと思うらしく、みんなで着付けしあって写真を撮ってはしゃいでいたりするのがほほえましいと感じます。モン族といえば、以前私が首都ビエンチャンの空港でシェンクワン行きの飛行機に乗るのを待っている間に、たまたまトイレで居合わせてお話しする機会のあったおばあさんに「あなた日本人?」と聞かれたことがあります。「そうです。おばあさんは(シェンクワンの)ラオス人ですよね」と言ったら「いいえ、わたしはモン族よ」と返ってきたことがあり、「ラオス人」という言葉ではひとくくりにできない民族のアイデンティティを感じて、ハッとさせられました。

【活動について】 上の写真は、一村一品(ODOP/オドップ)の商品と、配属先であるペック郡の産業商業局のみなさんとの写真です。私の配属先である産業商業局の中小企業振興課は、県内の展示販売会の運営や、ODOP商品の管理を行っている施設であり、シェンクワンには現在30件のODOP登録品があります。ODOPに登録すると、産業商業局が運営しているラオス国内の展示販売会への出店などが優遇されるというメリットがあります。JICA海外協力隊員である私への活動要請は、このODOPプロジェクトや商品をサポートすることです。
現在私が特に力を入れているのは、シェンクワンのODOPのひとつでもある伝統の赤い民族バッグ「トンデン」を、現代風にデザインした商品を作り販売している「タイプアン」というブランドをサポートすることです。
▲左の写真:タイのチェンマイでトンデンの出張販売会を行った時の様子 ▲右の写真:タイプアンのお店でオーナーさんと今後の活動について話している時の様子
トンデンを販売するお店の来店者数を増やす試みや、商品をより良くするための情報提供、商品を県外に売りに行き、商品の知名度や販売数を増やすことに力を入れています。
何をするにしても「予定どおりにはいかない」がラオスあるあるですが、私が普段から商品を身に着けていることで商品に興味を持つ人がいたり、来店者が増えたりして、オーナーさんに「あなたはラッキー(を運んでくる)パーソンね!」と言ってもらえたりするのは、大きな喜びを感じる瞬間です。今後は、もっと商品の背景にいる作り手さんやオーナーさん、そしてシェンクワンの文化なども伝わるような方法で、商品の認知拡大をしていきたいと思います。また、そもそもの「コミュニティ開発」のコンセプトに立ち返り、日ごろから地域の人たちとの何気ない交流を大切にすること、そこから開けてくるご縁や学びがあることを忘れずに、あと1年を大切に活動していきたいと思います。
2 : 新垣 槙梧隊員(ビエンチャン県バンビエン郡)

サバイディー! ビエンチャン県バンビエン郡で活動する新垣槙梧です。私の生活と活動について紹介します。
【任地、配属先について】 私の配属先は、National Forestry Training and Certification Center (NFTC/国立林業研修認証センター)です。NFTCは、首都ビエンチャンから北北西へ約120km離れたナムグム川の畔にあり、山と川に囲まれた、自然がとても豊かな場所です。任地での生活はとてもサバイ(リラックス)で、みんなスワイガン(助け合い)で暮らしており、日常的に仏教文化を感じる場面が多くあります。今回は、仏教思想の「知足」と「自利利他」をキーワードとして、ラオスでの日常を紹介いたします。
▲バンビエン郊外に広がる緑あふれるのどかな風景と、配属先であるNFTC造林センター
「知足:今ある現状に満足して感謝すること」 ラオスに限らず南国の人々はのんびりしていて、あまり働かないというイメージを持っていませんか?確かに、私の体感として多くの人の優先順位は「家族>キンビア(飲み会)>仕事」であり、平日なのに誰も職場にいないということもしばしばです。しかし、それは決して怠惰などではなく、家族や友達が食べるものに困らず、軒下で駄弁り合える日常を維持できれば、それ以上を求めることは彼らにとって欲張りになるのかもしれません。仕事も程々に、疲れたと思ったら横になって休み、一人で仕事を続けている私のところに「一緒に食べよう」と言っておやつを持ってきてくれる姿は、私に知足の心を説いているように思えます。
「自利利他:自分の幸せと他人の幸せは表裏一体であること」 ご飯の時間には「マーキンカオ(ご飯食べに来て)」と手招きされ、持ち寄った食べ物をシェアしながらみんなで一緒に食べます。まだ生活に慣れていない私は、食材を何も持参しない上に会話もろくにできない、無銭飲食木偶の棒のような存在ですが、それでもいつも変わらず呼んでくれて、自然と輪の中に入れてくれます。また、村を歩いていると軒下に集まってキンビアしている光景をよく見かけますが、側を通れば赤の他人である私にもビールを差し出し、一緒に飲もうと声をかけられます。このような無条件の寛容さや温もりに触れる度に、仏教が人々の生活に、そして心に根付いているのだと感じます。
▲配属先でのキンビア(飲み会)の様子と、日々の昼食風景。皆で食事や飲み物をシェアして楽しみます。
【活動について】 私の配属先であるNFTCは、焼畑の風習により荒れ果てた森林を再生させるためのプロジェクト拠点として、1998年にJICAの援助を受けて建設されました。そのプロジェクトの一環で「焼畑農業に代わる収入源」として日本の専門家から紙漉き・紙布織の技術が村人たちに伝えられました。その後、草の根技術協力を通じて、村人たちは竹うちわ作りの技術も習得しました。地域住民を主体とした紙布織・竹うちわ生産団体は「Vang Vieng Posa Handicraft (VANGSA) 」という名前で現在も活動を続けています。
▲うちわ作りの様子
▲紙漉きの様子
生産者の主な収入源は、NFTC敷地内にある直売所での売上です。NFTCはビエンチャンとバンビエンを結ぶ国道沿いにあり、かつては観光客の往来も多かったようですが、高速道路や鉄道ができたことによる交通手段の多様化により、NFTCの訪問客数も減少してしまいました。このような背景があり、私はJICA海外協力隊員として紙布織製品の販路拡大による生産者の所得向上、そしてセンターへの観光客誘致といった課題に取り組んでいます。なお現在は製品の背景にある物語、いわゆる「ブランドストーリー」を消費者に伝える仕組み作りにも取り組んでいます。VANGSAブランドの紙布織は、紙づくりから全て手作業で作られており、1か月以上の手間暇をかけてようやく1つの製品になります。生産者の顔が見える直売所ではこのような背景を直接伝えることができますが、外へと販路を広げるためには商品タグや映像などの視覚素材を活用し、間接的に伝える工夫が必要だと考えています。
▲直売所での製品販売をおこなうとともに(左)、販路拡大のため、他地域のイベント等に出店(右)
ブランドストーリーを伝える対象は、販売ターゲットである観光客だけではなく、地域の人々も含まれます。この取り組みにより、VANGSAの紙布織製品が「地域を代表する特産品」としてバンビエンの人々に広く認知され、定番のお土産品としての地位を確立することを目標にしています。
私はこの2年間で、生産者や地域住民が紙布織製品や竹うちわに対してより誇りを持ち、VANGSAの未来に希望を持てるようになってほしいという思いで活動しています。現状として、不安定な収入や生産者の高齢化、道具の老朽化など、未来に暗い影を落とす課題もあります。一方で、観光産業の急速な成長や、ODOP(一村一品)プロジェクトのような伝統工芸品産業の活性化に対する社会的機運の高まりなど、追い風となる要素もあります。活動を通して生産者と地域コミュニティの繋がりを強め、特に若者たちがVANGSAブランドに魅力を感じ、興味を持って関わってくれることを願っています。
3: 安田 望美隊員(首都ビエンチャン)

サバイディー! 私は首都ビエンチャンのソンパオ障害児者活動団体(XonPhao Working Group for People Living withDisabilities、以下ソンパオと呼びます)にて活動している安田望美です。
【任地、配属先について】
ソンパオは、首都ビエンチャン中心部から13キロ南に位置しています。放し飼いの牛やヤギがぞろぞろと目の前を通ったり、一日中のんびり水辺で釣りをしている人がいたりと、とても穏やかな時間が流れています。
▲首都郊外に位置する配属先周辺には、静かでのどかな風景が広がります
最近、体育隊員とともに「カーレット」というテーブル上で行うパラスポーツアクティビティを行いました。カーレットとは氷上で行うカーリングを卓上で気軽に楽しめるように考案されたニュースポーツで、障がいがある方でも楽しめます。ストーンは約300gと軽く、滑りやすいので力がなくても簡単に動かすことが出来ます。また、的の近くにストーンを置けたチームにポイントが入るという分かりやすいルールということもあり、大盛り上がりでした。ラオスチームと日本チームに分かれて対決を行い、見事ラオスチームの勝利!普段は黙々と仕事をしているスタッフたちもこの時間は手を休め、良いリフレッシュ活動になりました。移動手段が無くセンターから出られないスタッフも多くいるので、隊員の横のつながりを活かしたアクティビティやイベントはまた企画しようと思っています。
▲他隊員の協力を得て、カーレット大会を開催。とても盛り上がりました!
【活動について】 ここソンパオは、障がいを持った方への職業訓練や雇用機会を提供する施設です。ピアスやネックレスなどのアクセサリーを中心とした服飾品の製作・販売を行っています。JICA海外協力隊員の私には、人材育成や売上向上のための取り組みが求められています。これまではソンパオの認知度向上のためにパンフレットやSNSの整備に加えて、商品ラベルやディスプレイの改善などを行ってきました。今回は、ソンパオで特に力を入れているアップサイクルの取り組みと、今後の展望について紹介いたします。
現在、既存のアップサイクルシリーズとして、ビニール袋を土台に再利用した「手まり」や「キーホルダー」、ストローを活用した「シルクピアス・ネックレス」などを展開しています。原料となるプラスチックごみは、支援者から募るほか、作業所の家庭ごみを分別して調達しています。さらに、すべてのパッケージで「ビニールを使用しない」など、徹底したプラスチックごみ削減に貢献しています。

▲手まり(左)と、ストローで作られたシルクピアス(右)
環境への意識がまだ薄いラオスにおいて、ソンパオは数年前からいち早くアップサイクルに着手してきました。ラオスのごみ処理は埋め立てが主流ですが、ビニール袋やストローが土に還るまでには20年〜30年近くかかります。この自然豊かなラオスを守るためにも、アップサイクルをソンパオの唯一無二の強みにしていきたいと考えています。

▲キーホルダー(左)と、「ペットボトルキャップ」を利用したアクセサリー(右)
そこで、今後計画しているのがアップサイクルシリーズの「拡充」です。ソンパオはアクセサリー作りをとても得意としていますので、これまでの経験を活かしつつ、「ペットボトルキャップ」という新しい素材を取り入れたアクセサリー作りを提案しています。製作スタッフ主導のチームで、ターゲットに合わせた商品ラインナップや価格設定、部品の調達からプロモーション方法などを、一緒に考えているところです。現在はまだ試作品の段階ですが、目標はラオ・ハンディクラフト・フェスティバル(年に1度開催されるラオス最大級の手工芸品展示会)での新シリーズの販売です。
配属先の目標である「人材育成」や「収入向上」のための改善活動に取り組んでいますが、改善の必要性を言葉で伝えるだけでは十分ではなく、「実際に良くなった」という結果を示して初めて、人や組織の行動変容につながるのだと感じています。人を動かし、仕組みを定着させることの難しさを日々痛感しています。だからこそ、任期終了までに少しでも多くの「良くなった」という成功体験を残せるよう、これからもスタッフ一人ひとりとじっくり向き合っていきたいと思います。
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いかがでしたでしょうか。 今回は、ラオス各地でコミュニティ開発の職種で日々奮闘している、3名の隊員を紹介いたしました。
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