2026/05/06 Wed
生活
ドミトリーが、大好きだー!

名前:石井 沙知
隊次:2024年度1次隊
職種:看護師
配属先:ムワンザ県病院
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本当に、ドミトリーが、大好きなんです。
今日はそんな大好きなドミトリーについて書かせていただきます。
JICAの派遣国の中には、ドミトリーがない国も多いです。しかし、ありがたいことにマラウイにはJOCV用のドミトリーが首都にあります。JICA事務所まで徒歩とミニバスで30分かからないくらいの場所に位置するドミトリーは、近くにスーパーやローカルマーケットもあり、とても滞在しやすい環境です。大きな一軒家のドミトリーには、二段ベッドが複数置かれた寝室が男女別に何部屋かあり、更にレッドクロスと呼ばれる傷病者用の2人部屋もあります。赴任当初、マラリアに罹ってしまった私は1週間入院し、退院後は約一か月間そのレッドクロスにお世話になりました。
ドミトリーの寝室は、バックパッカーの宿のような雰囲気です。しかし、全てのベッドに蚊帳がかけられており、マラリア対策は万全です。一番大きい部屋は二段ベッドが4台の8人部屋で、男子2名女子8名で赴任してきた我々2024-1次隊の女子たちは、一か月という首都での研修期間、その8人部屋に全員で寝ていました。
二本松訓練所でも共同生活はしてきましたが、その時は皆1人部屋だったので、一人の時間は作りやすく、プライバシーは守られていました。しかし、このドミトリー生活では(共同生活のため)プライバシーはありません。夜は誰かがぎりぎりと歯ぎしりをし、別の誰かがぼりぼりと全身を搔きむしっています。明け方になると一人が寝言でチェワ語を叫び、別の一人は夢遊病で長座体前屈をしています。
そんな愉快な隊員たちの共同生活の一日の流れはこんな感じです。
朝起きて各々朝食をとり、リーダーのスマホでラジオ体操を流して体を動かした後、全員で事務所に向かいます。午後、研修を終えて帰ってきたら輪番で夕食の準備をします。シャワーは男子側にひとつ、女子側にひとつ、そしてレッドクロスにひとつなので、入れる人から順番に入ります。うら若き(?)女子が8人もいると、全員が浴び終わるまで本当に時間がかかるので、夕食の準備をするグループ以外の人間は帰ってきたらなるべく早く入るようにしています。
夕食は全員でいただきます。教育隊員が多い私の同期たち。リーダーの先生隊員が、「みなさん手を合わせてください。いただきます!」と合掌し、さながら小学校の給食時間のような楽しい夕食がスタートします。料理が得意な隊員、苦手な隊員はいますが、グループのメンバーで知恵を出し合い、現地で手に入る食材を使って様々な料理に挑戦しました。
中でも私の印象に残っているのは、とある男性隊員がスパイスから作ってくれたカレーライスです。彼は同期の中で2番目の年長者の隊員でした。10人を3グループに分けて輪番制をとっていたため、夕食の準備をするのは3日に一度で済むようになっています。しかし、彼はこだわりがあったのか前日から仕込みをしたいとのことで、一人で食材を買ってきて当番ではない日にキッチンに立ち、スパイスの調合をしていました。

(写真上:ローカルマーケットのスパイス売り場)
少し意外に思われるかもしれませんが、実はマラウイには豊富な種類のスパイスがあります。スーパーにも売り場がありますが、ローカルマーケットにも怪しい色をした様々な香りのスパイスが安く売られています。マサラなどのポピュラーなものから、「トマトが高くて買えないとき、代わりに使うんだヨ!(byマラウイアン)」という謎のスパイスまで、その種類は数え切れません。彼はそんな数種類のスパイスを組み合わせ、(それはそれは)美味しいカレーライスを作ってくれました。
カレールゥなんていう便利なものはこの国にはありません。日本では手抜きメニューとも呼ばれるカレーが、ここでは前日から準備をする超贅沢メニューになるのです。

(写真上:スパイスから作ったカレーライス)
そんな思い出深いドミトリー生活は、任地に赴任した後も続きます。活動先が首都以外の地方隊員は、約3か月に一度の報告会で上京してきます。その時に泊まるのがドミトリーです。マラウイは世界の中で隊員の累計派遣人数が最も多い国の一つです。時期によってはドミトリーのベッドでは足りず、近くのロッジに宿泊しなければならない隊員も出てきます。そのため、公務の時期のドミトリーは文字通り人で溢れかえり、どの部屋もごった返しています。
しかし、そんなことは気にならないくらい、ドミトリーは素晴らしいものです。その理由はいくつもありますが、中でも私の中のトップ3を紹介しましょう。
一番目は何と言っても、日本人がいる、ということです。JOCVの任地での生活は、基本的には完全に独りで、地元のマラウイアンに交じって過ごします。そのため、日本語を一言も発さずに過ごすことがほとんどで、久しぶりに首都に上がって他の隊員と会うと、母国語で話し合える素晴らしさを実感します。日本語でしか伝えきれないニュアンスや、母国語同士だからこその心地よいテンポ感での会話など、日本にいたら感じられなかった感動に出会えます。
二番目は、美味しい手作りご飯が食べられる、です。私の場合、任地にいるとどうしても食事がおろそかになってしまいます。マラウイアンと食べる食事はほとんど毎回シマ!チキン!野菜!で、味付けは塩!トマト!油!…以上です。もちろん美味しいのですが、素晴らしくバリエーションのある食文化の日本で生きてきた身としては、たまに物足りなく感じてしまうことも多々あります。マラウイの人々、特に地方に住む人は冒険をせず、変化を好まない傾向にある人が多いように感じます。私が出汁や醤油を使った和食風の料理を作っても、隣人はほとんど口にしません。それもあり、任地では最低限の食事しかしない私にとっては、好みの合う日本人と一緒に料理をして一緒に美味しくいただく、それだけでとても大きな幸せを感じます。
最後は、「憩いの場」ということです。どういうことかというと、洗濯機と乾燥機があり、停電しても予備電源があって、ガスコンロも使える、この環境は(マラウイの厳しい生活環境で活動する我々隊員にとって)マラウイにおいてはまるで天国のようだということです。マラウイではほとんどの隊員が洗濯機を持たず、洗濯は手洗いが当たり前です。停電が多く、電気クッカーが使えないため毎日バウラー(日本でいう七輪のようなもの)で調理をしている隊員もいます。断水が酷く、井戸での水汲みが日課となっている隊員もいるほどです。それくらい、マラウイでは生活インフラが整っておらず、皆生活していくだけで大変なのです。それがドミトリーに来れば、ボタンひとつで洗濯も乾燥もでき、バックアップのおかげで停電でもスマホの充電が無くなる心配もなく、更に平日はお父さん的な存在のハウスキーパーさんが来て、ゴミ捨て、お掃除、寝具の洗濯までサポートしてくれます。ハウスキーパーさん、本当にいつも、ジコモ・カンビーリ・タトコーザ!(※現地語(チェワ語)で感謝の意味です。)
以上、私の思うドミトリーの魅力をこの場を借りて綴らせていただきました。こうして文字にしてみると、より、ドミトリーのありがたさが身に染みて感じられます。マラウイ隊員の第二の家であり、苦楽を共にする同士の交流の場でもあるドミトリーでの生活が、協力隊の醍醐味のひとつと言っても過言ではないと思います。
最後に書き忘れましたが、ドミトリーには歴代の先輩隊員たちが残していった大量の本があります。漫画、小説、専門書、参考書などといった幅広い分野の書籍がところせましと並ぶ本棚のある部屋は、まるで図書館のようです。マラウイでの2年間は、決して短いものではありませんし、楽しいことばかりでもありません。そんな隊員生活の心の支えになってくれているのがこのドミトリーであり、またそこでの同士たちとの生活なのです。

ドミトリー、そして隊員のみんな、いつもありがとう!
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