JICA海外協力隊の世界日記

ミクロネシア便り

コスラエタイムと、ときどき時間厳守?

Lenwo!(レンウォー/コスラエ語で「こんにちは」)

コスラエ州で薬剤師として活動している小間です。

前回の投稿から5か月が経ちました。(前回の記事はこちら:薬を使う、その前に――コスラエで考える薬剤師のしごと)

気が付けば、コスラエで暮らし始めて約1年半が経ちました。

コスラエでの生活は、青い海に白い砂浜、眩しすぎる太陽とバナナやヤシの木々。誰もが思い描く「南の島」の風景が広がっています。

ふと日本にいた頃を振り返ると、数分おきにやって来る通勤電車に乗り、時間に追われながら働く生活を送っていました。とはいえ、私はもともとおっとりした性格で、周囲からはいつも遅れて、「のんびり、ぼんやりしている」と思われることもありました。

そんな私ですら、コスラエで流れる時間はまったり、悠々と感じ、なんとも贅沢な生活をしています。

活動先へ向かう道中、平日の日中にもかかわらず、ヤシの木の間でハンモックに揺られる大人もいれば、もっとも、最近ではスマートフォンでひたすらにネットサーフィンをしている子どもたちも見かけます。

そんなコスラエですが、1年半暮らしてみると、意外な一面も見えてきました。

のんびりしているのに、せっかち?

南の島の人々は時間におおらか。そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。

確かに、予定どおりに物事が進まなかったり、待ち合わせの時間が多少(?)前後したりすることはあります。

しかし、だからといって、みんながのんびり待ってくれるとは限りません。

よく耳にするのが、待ち合わせの約束をしたのに、相手が予定より早く来て、約束の時間まで待たずにそのまま帰ってしまったという話。

「いやいや、いつも遅れてくるのに待ってくれてもいいじゃん……!」

思わず、そんなツッコミを入れたくなります。

人を待たせることはあっても、自分が待つことは苦手。そんな場面があります。

一方で、宗教行事や地域のイベントでは、驚くほど時間がきっちり守られることもあります。

どうやら、単純に「時間にルーズ」という言葉だけでは説明できないようです。

コスラエの未来を決める一日

そんなコスラエで、11月3日に州知事と州議会議員の選挙が行われました。

実は、私がお世話になっているホストファザーも今回の選挙に立候補しています。

普段は身近な存在であるホストファザーが政治の舞台に立っていることもあり、私にとって今回の選挙は、いつも以上に身近な出来事になりました。

選挙当日。

私が印象的だったのは、投票終了時刻が ”しっかり” 守られていたことです。

投票所の前で各陣営が場所をとり、私のホストファミリーも最後まで有権者に投票を呼び掛けていました。朝から続いていた投票も、終了30分前になると締め切りを知らせる呼びかけが始まりました。15分前、10分前、5分前、そして1分前…と、カウントダウンが続き、予定された時刻ちょうどに投票は終了しました。

いつものゆったりした時間感覚を知っているだけに、その光景は少し意外でした。

もちろん、選挙は公的なルールに基づいて行われるものですが、日常生活とは違うコスラエの表情を見たような気がしました。

小さな島の、大きな選択

今回の州知事選挙には、現職を含む3人が立候補しました。その中には女性候補者の姿もあります。

かなり接戦した状況が伝えられる中、このままいくと初の女性知事誕生となる可能性があり、政治における女性の参加や代表性について考えるうえでも、注目したい選挙です。

また、現地では州の予算配分についての議論も耳にしました。

医療、教育、道路など、限られた財源をどこに使うのか。これは島の将来だけでなく、住民一人ひとりの日々の暮らしに関わる問題です。噂によると今回の選挙は過去最多の立候補者数だったそうで、住民の政治への関心の高さを感じました。

従来の選挙結果について、家族や親族のつながりが大きく影響することもあったとも聞きます。しかし今回の選挙では、そうしたつながりだけではなく、親族関係を超えて、候補者の政策や人柄、そして島の将来を誰に託したいかを重視して票が集まっているそうです。

もちろん、投票の理由は人それぞれです。それでも、これまでの慣習にとらわれず、自分たちの未来を考えて一票を投じようとする姿勢に、コスラエの変化を感じました。

朗らかでのんびりしたコスラエの人々であっても、冷静・着実に歴史を動かしており、普段の様子からは見えなかったコスラエのもう一つの顔を見た気がします。

コスラエタイム マレン 山2.jpg

「のんびり」とは何だろう?

コスラエでは、日常生活の時間感覚と、仕事や公的な行事で求められる時間感覚が、必ずしも同じではないように感じます。

日本では、すべてにおいて予定どおりに物事が進むことに安心感を覚える人が多いかもしれません。

一方、コスラエでは、決められた予定に生活を合わせるより、その時々の状況や人との関わりに応じて行動することが、自然に感じられる場面もあるのではないかと思います。

もちろん、それがいつも快適というわけではありません。自然災害や事故・病気など、事前の備えや適切な対応によって防ぎえたことを見過ごしていることに疑問を感じることもあります。

それでも、今回の出来事を通じて改めて思いました。

「のんびりしている」というのは、時間を大切にしていないという意味ではないのかもしれません。

時間の使い方にも、いろいろな形がある。大局的で変化に柔軟なコスラエの人々の姿勢に憧れを感じました。

そんなことを考えながら、残りの任期もコスラエタイムで過ごしていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

Kulo ma lulap!(クーロー マ ララップ/コスラエ語で「ありがとうございました」)

SHARE

前 最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ