JICA海外協力隊の世界日記

パラオ便り

今こそ一部初心に

『Alii(アリー)』

皆さん、こんにちは。

エサール州にある農業局畜産課で獣医師としてパラオの畜産の発展のために活動を行っている北山 歩(きたやま あゆみ)と申します。

突然ですが、『慣れ』という言葉を聞いて皆さんはどのようなイメージを持ちますか?

仕事に慣れる、環境に慣れると聞くと良いイメージのように感じますが、その状況が残業ばかりのブラック企業だったり、劣悪な環境であれば一気に悪いイメージになってしまいます。

『慣れ』は、良い一面もあれば悪い一面もあることを思い知らされます。

私もパラオに派遣されて1年以上が過ぎ、色々なことに『慣れ』てきました。

冒頭の写真は自宅から見えるキレイな海と朝日で、最初の頃は南国の景色に散歩するだけで楽しかったのですが、今では日常の景色と化してしまいました。『慣れ』って怖いですね。

ただ、悪いことばかりではありません。

水シャワーや手洗い洗濯、足りない日用品など日本に比べ生活しているとやはり不便だなと思うことは多々ありますが、そういう状況にも『慣れ』ましたし、無いなら工夫するようにもなりました。

意外と何とかなるものだなぁと思うと同時に自分は意外と適応力が高いのかと思うようになりました。(成長ですね)

今回はこの世界日記を機に初心に戻すべきもの、そのまま維持して良いものについて振り返ろうと思います。


まずは、活動について。

私は宮崎県の公務員獣医師として主に家畜の防疫業務に携わってきました。日本の防疫も完璧とは言えませんが、世界で見ると高い水準だと思います。それに比べパラオは当然ですが発展途上なので衛生レベルはとても低いと感じます。

開放的でかろうじて屋根のあるような豚舎であったり、定期的に清掃・消毒を行っていなかったり、豚舎が足りずほぼ放し飼いのようになっていたり、、、

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このような農家さんが多いせいか、徐々に見慣れてしまっている部分があります。

もちろん指摘してすぐに改善してくれれば良いですが、なかなかそう上手くは行きませんし、今まで問題がなければ人は行動を変えようとはしませんよね。私もそうなので気持ちはよくわかります。

今はまだ、何らかの問題があって往診依頼があった農家さんを巡回し指導したり、農家さんの衛生管理に対する意識を変えるためにフライヤーを作成している状況ですが、ゆくゆくは定期的な巡回指導やワークショップなどを行えたらいいなと思います。

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私の配属先である農業局には台湾の支援による飼料工場、豚のと畜場、日本の支援による食鳥処理場、食肉加工場、検査室があります。日本ではたくさんの企業があり、それぞれの役割を担っているのですが、パラオでは省庁の職員がこれらの業務をすべて担っています。(パラオ人はマルチタスクで尊敬します)

飼料工場と豚のと畜場は台湾の技術支援もあって本格的に稼働しており、私も同僚とともに業務を行っています。最初の頃は業務に慣れるのと同僚との関係値を作るのを優先していたため、「郷に入っては、郷に従え」と思い、と畜場の衛生面について気になるところはあったものの口出しはしませんでした。(少し経って一度提案はしました)そのまま時が流れてしまい、最近では特に気にせず業務をしている自分に驚き、今こそ初心に戻らなければと思いました。

具体的には、病原菌を持ち込まない、拡げないために施設のダーティゾーン・クリアゾーンの明確な区分けとその遵守であったり、手袋・長靴・ナイフ・エプロンなどの使用する道具や機械の定期的な清掃・消毒の習慣化です。一応使用後は毎回、機械表面や床面などの清浄・消毒は行っているのですが、よく見ると長年の汚れが蓄積していたり、エプロンなどは汚れたまま置いているので私が塩素消毒を行ったりしている状況です。パラオの衛生レベルを上げるためにも農家さんだけでなく、職員の意識も変えてもらわなければなりません。

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継続していくこととしては往診や既存施設の活用です。

それほど依頼件数は多くありませんが、様々な理由で依頼があります。下痢や発疹、創傷、寄生虫、去勢や人工授精などなど。私は臨床経験があるわけではないので、日々勉強しつつ、台湾の獣医師の助けも借りて対応しています。また、往診は基本的に同僚とともに行くのですが、同僚たちは畜産の基礎知識はあるものの獣医療の知識や技術はありません。(パラオには獣医系大学はないのでパラオ人の獣医師はいません)そのため、往診に同行することによって獣医療の知識や技術を身につけつつ、将来的には職員主導で獣医療の提供を行うことができればと思います。

また、日本の支援により食鳥処理場、食肉加工場、検査室があるのですが、まだまだ本格的には稼働していません。畜産物の生産量が上がらなければ食鳥処理場や食肉加工場を活用していくことは難しいのですが、検査室であれば必要な備品等を補完すれば活用できる!と思い、徐々に準備を進めています。今はまだ必要な備品が揃っておらずイレギュラーな方法で検査を行っているため、備品が揃い次第、同僚に正式な検査方法や機材の使い方についてワークショップを行おうと考えています。

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ここまでだいぶ真面目な話になってしまいましたが、続いて生活について。

私はホームステイではなく、街から離れたバンガローに一人暮らしで目の前はオーシャンビューという素晴らしいロケーションです。停電や断水、水漏れ、家電製品の故障などたまに問題は起きますが、管理人さんがすぐに対応してくれますし、停電中にご飯を作ったりシャワーを浴びたりできるくらい動じなくなりました。

食事は基本的に日本食を作って食べていますが、たまに多めに作ってご近所さんにおすそ分けしています。日本食が好きな人も多く、ご近所のママさんもうどんを作って持ってきてくれたりします。最近はあまりできていないので、いろんな日本食を作って振舞おうと思います。(特に郷土料理のチキン南蛮は布教したい)

街から離れているので、いつでも新鮮な食材が手に入るわけではありません。しかしながら、私の場合、自分で家庭菜園をしていることや近所に農業課の課長夫婦(パパさん、ママさん)が住んでおり、新鮮なお野菜や果物、お魚まで頂いてます。特にお魚に関しては、調理方法のレパートリーが無くなって若干飽きつつあるのですが、街に住む隊員は購入しないとなかなか食べられないので、そういったことを意識しつつ改めて自分は恵まれた環境にいるのだと感謝しなければならないなと思います。

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最近休日は主に自宅の掃除や洗濯、一週間の残った業務などあまり自宅から出ていません。ただ、パラオに来てから魚釣りを始めたので、時間があるときには釣りに出かけ腕を磨いています。同僚も船での魚釣りに誘ってくれるのでとてもありがたいですし、充実した時間を過ごせています。

地元宮崎県も車社会でしたが、パラオも車社会です。歩いている人は基本見ませんし、同僚は農業局の敷地内でさえ車で移動します。そんな環境からか私も歩かなくなってしまっています。たまに最寄りのスーパーまで片道1時間かけて運動がてら歩くことはありますが、圧倒的に運動不足だと思います。それほど長距離でなくても良いので、休日には南国のキレイな景色を見ながら散歩をしようかなと思います。

また、私の住んでいる州と農業局オフィスのある州は異なる州であるため、平日はほとんど州の人たちとの関りがないですし、休日に引きこもっていたら完全に関りが無くなってしまいます。なので、そうならないためにも散歩しつつ、色んな人にもっと積極的に話しかけてもっと地域に馴染めたらいいなと思います。(そもそも日中は人が歩いていないので、第一村人を探すのに苦労しそうですが、、、)

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ここまで長文を読んでいただきありがとうございました!

残りの任期も1年を切ってしまいましたが、国際協力だけでなく、自分の経験や成長のためにも1日1日を大切に過ごしていきたいと思います。

『Mesulang!!』(ありがとうございました)

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