JICA海外協力隊の世界日記

パラオ便り

【番外編】算数ワークショップ【Bridge】―JICAボランティアとパラオの先生たちで築く学びの架け橋―

Alii! 数学教育隊員の横田です。

今日は番外編で先日パラオで行われた算数ワークショップの様子をご紹介します。

929日、コロール小学校のカフェテリアで教育省(MOE)とJICAの共催による算数ワークショップ「Bridge」を開催しました。この「Bridge」というタイトルには、人と人をつなぐ、学びをつなぐ、そして未来へつなぐという思いが込められています。ここでいうとは、JICAボランティアとパラオの先生、そしてパラオの先生同士のこと。
算数の授業づくりを通して、互いの経験や工夫を共有し合いながら、子どもたちの学びをよりよい未来へとつなげたいという願いを表しています。

この日は、パラオ全土の小学校から58名の算数・数学担当の先生が参加しました。午前のセッションでは低学年(Kinder3年生)の教員、午後のセッションでは46年生(高学年)の教員を対象に、「子どもが主語になる授業づくり」をテーマに学び合いました。


ワークショップの冒頭では、「1授業1目標(Today’s Goal) の明確化」と「振り返り(Reflection)」の重要性について理論的な説明を行いました。授業の最初に今日のゴールを設定することで、子どもたちの学びの方向性が明確になり、授業の最後に何を学んだのかを振り返ることで、理解の定着と自己評価の力を育てることができる。そんな理論を、模擬授業を通して先生に体験的に感じてもらう構成にしました。

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模擬授業では、事前に学んだ理論のイメージが湧くように、Today’s GoalReflectionを組み込んだ授業を行い、参加者の先生には児童役として参加してもらいました。絵や図を使いながら考え方を共有し、子どもが自分の言葉で説明する場面を実際に体験。模擬授業後は、グループごとに「良かった点」や「自分ならこうする」というアイデアを出し合い、模造紙にまとめて共有しました。





後半の「Today’s Goalを設定するアクティビティ」では、設定したGoalをもとに、各自が1時間のレッスンプランを作成しました。「どのような具体物があると子どもが興味をもつか」「どのような図や式の書き方をすると理解しやすいか」など、日々の授業に直結する実践的な議論が活発に行われました。その後、自由に他の先生と交換・紹介し合い、良いと思ったアイデアには付箋にメッセージを書いて共有する活動を行いました。先生同士が互いを尊重し合い、積極的に学び合う姿からは、パラオの教育現場の温かさと真剣さが感じられました。

番外編5.png参加後のアンケートでは、 「目標と振り返りを意識することで、授業の流れをより明確に考えられるようになった」、
「他の先生の工夫を直接聞けて、とても刺激になった」、
「次は自分の授業でもGoalReflectionを取り入れてみたい」など、前向きな声が多く寄せられました。一方で、「時間配分や児童の発言を引き出す工夫が課題」という現実的な意見もあり、今後の研修や授業支援に向けた重要な示唆となりました。





ワークショップの最後には、教育省とJICAの連名で参加した先生へ受講証明書を授与。

先生方は「Bridge to children’s future(子どもたちの未来への架け橋)」として、それぞれの学校で実践を広げていく意欲を新たにしていました。このワークショップを通して、人と人がつながり、学びがつながり、未来へつながるという「Bridge」の願いが形になりました。ボランティアと先生、先生同士が支え合い、子どもたちの学びを中心に据える。この「Bridge」で築かれた絆と学びが、パラオの教育の未来へと続く一歩になることを願っています。







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