2025/11/24 Mon
古紙アップサイクルプロジェクト【もったいないをへらしたい!】-最後まで使う・再利用する

Alii! 小学校教育隊員の伊藤です。
パラオではゴミの分別に関する教育が十分に行われておらず、リサイクルできる資源もまとめて廃棄されることが多くあります。そのため、日本の支援で建設された最終処分場が想定よりも早くに満杯になる可能性があるという課題が生じています。
課題の解決に向けては、JICA草の根技術協力事業「バベルダオブ島における分別排出システムの普及と促進事業」によりバベルダオブ島にある小学校を対象とした活動が2025年2月から開始されました。配属先のマルキョク小学校でも、6年生の先生と児童たちが、校内でのゴミの分別および削減に向けた取り組みを推進しています。

担当の先生は過去に日本でゴミに関する研修を受けた経験があり、本事業に対して非常に意欲的に取り組まれています。私が「活動を一緒に手伝わせてほしい」と申し出た際も、快く引き受けてくれました。また、こちらの提案したことにも積極的に取り組もうと協力してくれています。3月には、6~8年生が処分場とリサイクルセンターへの見学へ行き、自分たちが廃棄したゴミがパラオ国内でどのように処理されているかを学びました。4月には、全校生徒が保護者と一緒にニワール州のビーチ清掃を行いました。


パラオでは、教師が一方的に教える授業が多く、児童と一緒に考えたり、体験を通して学んだりする機会は少ないのが現状です。校外学習に行っても、見学や体験で終わることが多く、児童の学びが十分に定着しないことが課題だと感じています。そのため、先生に授業や活動を提案する際は、児童の体験したことを普段の生活でも活かせるよう、授業の内容や進め方を工夫してきました。
分別活動を継続していく中で、学校で廃棄されるゴミの多くは紙類であることが明らかになりました。各クラスで紙のリサイクルBOXを設置して2R(リユース・リディース)、日本で一般的な「裏紙の活用」を促してきました。休み時間に絵を描きたい児童は、リサイクルBOXから紙を取り出して使うことが習慣になってきました。しかし、油断すると紙類が丸めてゴミ箱に捨てられていることもあるため、継続した支援が必要です。

紙を入れたくなるように、図工の時間にリサイクルBOXを飾りつけました。(2年生)
パラオ国内では紙類はリサイクルすることができません。そのため、分別習慣を身につける指導と併せて、紙の使用量を見直す活動も必要だと考え、校内で古紙から新しい紙をつくる取り組みを実施しました。11月6日(木)、11月10日(月)の2日間に1年生~3年生の児童と紙漉きを行いました。これまで自分たちが捨てていた紙を再利用して、メッセージカードに生まれ変わらせました。


リサイクルできる資源もまとめて廃棄されてしまうことが多いこの国で、資源教育の第一歩となる活動ができことがうれしいですし、今後の活動につなげていきたいと思っています。

最後に「古紙を使って子どもたちと紙漉きをしたい」という思いを実現させるためにご尽力くださったJICAパラオ事務所の調整員の皆さま、道具をご提供くださった公益財団法人東芝国際交流財団および特定非営利活動法人沖縄平和協力センター、ならびに技術協力を引き受けてくださった有限会社スープの皆さまに心より感謝申し上げます。
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