JICA海外協力隊の世界日記

パプアニューギニア便り

パプアニューギニアでの道徳教育の可能性。

こんにちは!パプアニューギニア小学校教育隊員の小山拓真です。

先日、以前お世話になった教員養成校で、再び授業をさせていただく機会がありました。

今回は90分。日本文化の紹介に加え、日本の道徳教育の考え方を紹介し、簡単なワークショップと、実際の道徳の授業を体験してもらいました。

きっかけは、前回の講演会でした。日本の道徳教育について多くの質問が寄せられ、学生たちが関心を持ってくれていることを知りました。そこで今回は、もう少し踏み込んで、日本の道徳教育を紹介してみることにしました。

日本の実践を知ることで、学生たちが何かを感じ、自分たちの教育について考えるきっかけになればいい。そんな思いで授業に臨みました。

日本文化を紹介し、折り紙でかぶとを作る。日本の道徳の授業を体験する。自分自身の教育観を見つめ直す。90分という時間はあっという間に過ぎていきました。

授業後、学生たちに感想を書いてもらいました。

学生たちが考えたこと

ある学生は、尊敬、親切、正直さといった道徳的諸価値の意味を考える大切さに気づいたそうです。

例えば、私たちにとっては当たり前ともいえる挨拶。その中にどのような意味があるのかを改めて考えたことで、挨拶の持つ社会的な価値にまで踏み込んで考えられるようになったと言ってくれた学生もいました。

一方で、こんな感想もありました。

「パプアニューギニアでも道徳教育を広げるために、学校で道徳科の授業を設けるべきだと思う」

「今回日本の授業を体験したうえで、PNGでは理論を教えることが多く、実践が足りないのではないかと感じた」

自分たちの学びを振り返り、よりよい教育のあり方を考えようとする姿勢が伝わってきました。

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今回の授業では、もう一つ、学生たちに取り組んでもらったことがあります。

「自分はどんな生徒を育てたいのか。そして、そのために生徒とどう関わっていくのか」という問いと向き合うことです。

ある学生は、道徳教育を通して責任感のある市民を育てたいと書いていました。

別の学生は、道徳教育が、平和で互いを尊重できる社会につながるのではないかと考えていました。

表現は違っても、その根底には、これから教師になる自分が、子どもたちの成長に関わっていきたいという思いがありました。

そして、大学の先生方からも声をかけていただきました。

日本のような道徳教育を目指したい。しかし、具体的にどのように実践すればよいのか分からない。だから、教えてほしい。

その言葉を聞き、改めて考えさせられました。

これから教師になる学生たちも、教員養成に携わる先生方も、子どもたちをどのように育てていくべきか、真剣に考えています。

そもそも道徳教育とは?

日本では、道徳教育は「道徳科」を要として、各教科や学校行事など、学校の教育活動全体を通じて行うものとされています。

つまり、道徳の授業だけでなく、日々の学校生活そのものを通して、子どもたちの道徳性を育んでいくという考え方です。

私が活動する小学校では、子どもたちが元気に挨拶を交わし、先生や友達と関わりながら学校生活を送っています。

一方で、多くの子どもたちが同じ教室で学び、教科書などの教材も十分ではない環境があります。そうした日常の中で、友達と協力すること、相手の話を聞くこと、集団の中で互いを尊重することなど、学校生活そのものが学びの場になっていると感じます。

しかし、思いやりが大切だと知っていることと、実際に行動できることは必ずしも同じではありません。自分に余裕がなく、他者を思いやれないこともあるでしょう。

だからこそ、何が正しいかを教えるだけでなく、自分の迷いや弱さとも向き合いながら、よりよく生きるためにはどうすればよいのかを考え続ける姿勢が必要であり、その姿勢を育む一つの機会が道徳の授業です。

そして、その学びを教室の中だけにとどめず、学校や家庭、地域社会での実践につなげていくことが求められるのだと思います。

日本の道徳教育を、そのまま持ち込めるのか?

ここで考えなければならないのが、パプアニューギニアの教育事情です。

パプアニューギニアにはCCVE(Christian and Citizenship Values Education)という教科があります。キリスト教に関する学びに加え、市民としてのあり方や道徳的な価値などを扱う教科です。つまり、この国に道徳教育が存在しないわけではありません。

むしろ、すでにある教育を生かしながら、子どもたちが自分で考え、よりよく生きる力を育むために、何ができるのか。 そこに目を向ける必要があるのだと思います。

例えば、日本の道徳の授業では、現実世界で直面するであろう様々な道徳的課題について、子どもたちが自分なりに考え、異なる意見に触れながら、価値についての理解を深めていきます。

ただし、何を大切な価値と考えるのか、どのような方法で学ぶのかは、その国の文化や歴史、宗教、地域社会との関わりの中で考える必要があります。

日本の実践を紹介することはできます。授業の進め方を共有することもできます。

しかし、それをどう受け止め、どう生かしていくかを決めるのは、現地の先生方や教育に関わる人たちです。

私には、答えを持ち込むことではなく、一緒に考えるための材料を提供することしかできません。

パプアニューギニアの学校で、道徳的な学びをどのように育んでいけるのか。日本の経験も一つの手がかりにしながら、現地の先生方と一緒に考え、実践を重ねていく。その先に、この国ならではの道徳教育の姿が見えてくるのかもしれません。

道徳教育とは、子どもたちに正しさを教えるだけでなく、一人一人の実践を通して、社会全体の空気を少しずつつくっていく営みなのかもしれません。 そして、その空気をつくる一人は、子どもたちだけではなく、私たち大人自身でもあるのだと思います。

パプアニューギニアでの道徳教育。少なからずニーズはありそうです。これからもその可能性を探り続けていきたいです、

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