2026/04/02 Thu
自然
隊員Gのセントルシア日記_72 〜Climate〜

ハワイの過ごしやすさについて、作家・村上春樹さんが著書の中に書いています。昨今の日本の夏は、危険な暑さと呼ばれるほどの酷暑が続きますので、うらやましく感じながら、彼の本を読んだことを思い出します。北緯20度前後に位置するハワイ諸島は、海洋性の温暖な気候であり、貿易風の影響で湿度が高くても蒸し暑さは緩和され、低緯度なので日照が安定しているのです。どこかで聞いた話ですよね。その通り、私の任国・セントルシアにも、すっかりそのまま当てはまる条件なのです。北緯14度に位置するセントルシアも、海に囲まれた島ですので、カリブ海や大西洋が気温を調整する役割を果たしています。年間の気温差は小さく、極端な暑さや寒さにはなりにくいのです。また、常に東からの貿易風が吹いているので、空気が停滞することはなく、体感温度も下がります。そして、低緯度のため、冬至前後でも日照時間は長く、日の長さの変化が小さいので、生活リズムが安定しやすいのです。従って、セントルシアもとても過ごしやすく、特に、乾季(12月〜5月)は快適です。外国人観光客を乗せたクルーズ船が、入れ替わり立ち替わり、カストリーズ港にやってきます。ここセントルシアも、ハワイと同じく、ホスピタリティーの文化に溢れているのです。

今回の世界日記は、セントルシアと日本の日照時間の違いについて、天球のモデル図を使って、ミニ探究を試みたいと思います。最初のモデル図は、東の空から見た(横から見た)セントルシアの天球の様子です。夏至、秋分の日(春分の日)、冬至の太陽の通り道を赤色で示しています。地軸の傾きは約23.4度ですので、夏至から秋分の日へ、そして冬至へと、太陽の南中高度は、約23.4度ずつ傾いていくことになります。まさに天頂から太陽が照りつけて、影が消え失せるゼロシャドウの瞬間があること。南の空に全く姿を見せず、太陽が一日中北の空を移動していく日が、年間の約4分の1ほどあること。等々、低緯度にあるセントルシアならではの天体現象に、気づいて頂ければ幸いです。
ここで恐縮ですが、数学の授業をさせて頂きます。(苦手な人は、読み飛ばして下さいね。)三角形ABCに注目すると、
角A=23.4°
角C=90−23.4−14=52.6°
角B=180−23.4−52.6=104°
天球(ここでは半球)の半径をRとして、三角形ABCに正弦定理を使うと、
R/sin104°=BC/sin23.4°
従って、BC =Rsin23.4°/sin104°
ここで、sin104°= cos14°だから、
BC =Rsin23.4°/cos14°
さて、冬至の日の出が、真東からx°だけ南側にずれているとすると、BC=Rsin x°だから、
Rsin x°=Rsin23.4°/cos14°
sin x°=sin23.4°/cos14°
この方程式を、関数電卓を使って解くと、x≒24.16°を得ることができます。(お疲れさまでした。)すなわち、冬至の日の出は、秋分の日の日の出の位置(真東)から24.16°だけ南側にずれていることになります。従って、夏至と冬至の日の出の位置を比べると、2倍の48.32°ずれていることになるのです。2つ目のモデル図は、天頂から見下ろした(上から見た)セントルシアの天球になります。先ほど議論した「夏至と冬至の日の出の位置が、48.32°ずれている」ことを示しています。また、夏至、秋分の日(春分の日)、冬至の太陽の通り道を赤色で示しています。横から見た1つ目のモデル図に対して、今回は上から見ていることになります。

ここで、日本の北緯36度地点についても、同様にして、夏至と冬至の日の出の位置を計算すると、58.80°ずれていることが分かります。従って、天頂から見下ろした(上から見た)日本の北緯36度地点の天球のモデル図は3つ目のようになります。夏至、秋分の日(春分の日)、冬至の太陽の通り道を赤色で示していますが、セントルシアと比べると、季節が激しく変化していく様子が、お分かり頂けると思います。1年を通じて日照時間が長く、日の長さの変化が小さく、安定しているセントルシアの気候を好むのか。それとも季節の移り変わりがはっきりとしている日本の気候を好むのか。人それぞれであることでしょう。かくいう私が、派遣先として、セントルシアを希望したのは、寒さが苦手だからなのですが、なぜか今、寒さが恋しくなってしまっています。一時帰国してしまったからでしょうか。

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