JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

隊員Gのセントルシア日記_86 〜National Food〜

 セントルシアの国民料理(National Dish)といえば、Green-Fig. & Saltfish。奴隷制度の時代に、主人から配給されていた未熟バナナや塩漬けタラが、今や子孫たちの国民料理となって、生まれ変わっています。そして、国民食(National Food)といえば、ブレッドフルーツ(パンノキ)。元々は、南太平洋が原産なのですが、植民地時代にカリブ諸国に持ち込まれたようです。レストランでは、食べたことがあったのですが、自分で調理したことはなかったので、一度は調理してみたい、と思っていた食材です。ところが、乾季の間は収穫されませんので、マーケットに並ぶことはありません。6月に入り、雨季を迎えて、ようやく手に入れることが出来るようになりました。バナナと同じく、未熟の間は食材として、熟した後は甘みが増すので果物として、国民に親しまれています。首都・カストリーズの路地ベンダーから、私が購入した産地直送のブレッドフルーツは、5ECD (約300円)で、かなりお得感がありました。熟したところが少しありましたので、半分はスープの素材として、残りの半分は焼いて食べることにしました。

 もうひとつ、路地ベンダーから購入したのが、ホワイト・スイートポテト。白いサツマイモと表現するのが、最もわかりやすいのではないでしょうか。4つで10ECD(約600円)でしたので、もしかすると値切ることができたのかもしれません。元来、私は値切るのが下手くそで、「しまった!」と少し後悔しました。しかし、すぐに気持ちを切り替えて、味に期待することにしました。原産は南米で、大航海時代にスペイン人やポルトガル人が、世界各地に広めたようです。痩せた土地でも強く育ちますので、日本では火山性土壌の薩摩で栽培された紫品種が、サツマイモと名付けられました。セントルシアも火山島で、水はけの良い火山性地質ですので、紫品種、白品種が共に育てられています。甘みは少し劣るようですが、日本人には珍しい白品種の方を、今回スープの具材として使用することにしました。

 そして、シーズニング・ペッパー。激辛のスコッチボネットに似ていますが、ハバネロ級の火を吹く辛さはなく、程よく品種改良されたカリブ系唐辛子のようです。シーズニング初心者の私には、少し多かったのですが、50個ほどがまとめて袋売りされていましたので、5ECD(約300円)で購入しました。スープの香り、辛味を整えるために使用します。

 さて、以上の素材を使って、今回はチキンスープ作りにチャレンジです。ごめんなさい、正直に白状しますが、出汁にはチキン・ブイヨン・キューブを使用しました。煮込むと、半熟だったブレッドフルーツは少し煮崩れしましたが、驚くことに栗のような風味に仕上がりました。ホワイト・スイートポテトも、まるでサツマイモのような懐かしい甘みがあり、不思議な安心感を与えてくれました。そして、脇役のシーズニング・ペッパー。これまでに味わったことのないカリビアンな香りを見事に醸し出してくれました。もちろん、チキンスープですので、主役はチキンなのですが、ブレッドフルーツやホワイト・スイートポテトの主張が強すぎて、仲良くハーモニーを奏でるようなことはありませんでした。料理長の力不足ですね。そして、食レポも苦手ですので、お読み苦しいところがあったかもしれません。どうぞ、寛大に、ご容赦くださいね。

 協力隊のミッションとは別に、海外暮らしの2年間によって、私たちは様々なサバイバル・スキルを身につけることができます。料理のスキルも、その一つです。未だ初級者の域を出ることはありませんが、コンフォート・ゾーン(スーパー・マーケット)に飽き足らず、新たな食材(National Food)を求めて、ストレッチ・ゾーン(路地ベンダー)に足を踏み入れることが出来るようになりました。任期を終えて帰国した後は、再び家内との暮らしが待っているのですが、お陰様で何とか二人楽しく食卓を囲むことができそうです。

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