JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

隊員Gのセントルシア日記_68 〜Independence Day〜

 2026年2月22日、セントルシアは47回目の独立記念日を迎えました。式典やパレードなどの主たるイベントは、例年であれば首都カストリーズで行われるのですが、今年はミクー地区で開催されました。ジュネ・クレオール(クレオールの日)のホスト地区は毎年変わりますが、各地のコミュニティーで、それぞれ盛り上がりが見られます。独立記念日についても、全島的な祝賀ムードを醸成したいという主催者の意図が伝わってきます。特に、事前に行われる17の地区を巡るバトン・リレーには、人々のエネルギーが注がれました。独立記念日のテーマは「Douvan Ansanm (Forward Together 共に前へ)」ですが、国民の一体感を高めるイベントとして、大きく貢献していると思われます。こどもたちのマーチング、笛や太鼓のリズム、セントルシアのナショナル・カラー(青・黄・黒・白)の衣装や装飾など、躍動感あふれる行進が全国各地で繰り広げられました。

 今年の独立記念日の祝賀行事に合わせて、「On the shoulders of Peasants」という書籍が公開・発売されました。この本では、セントルシアの歴史が、「小作人(Peasant)」という視点から語られています。「農民の日々の歩みこそが、国の基盤を築いた」という、著者の主張を感じずにはいられないのです。具体的には、 まず、奴隷制度廃止後、人々がどのように土地を取得し、経済活動に関わっていったかが綴られています。そして、サトウキビからバナナ、ココナッツへという、主要産業の移り変わりを、人々がどのように受け止め、変化に対応していったかが語られています。また、人々は、日々の農作業に勤しみながらも、相互扶助のコミュニティの形成にも貢献しました。口承やインタビューをもとにして、農夫や農婦の皆さんのストーリーが、見事に掘り起こされているのです。もちろん、この書籍が独立記念日に合わせて公開されたのには、理由があることでしょう。「国の経済や文化の基礎を築いた祖先の姿を忘れることなく、我が身のアイデンティティーとして、共に前へと歩んでいこう。」という強いメッセージがあるのではないかと、私は考えています。ここまで、偉そうな書き方をしましたが、かく言う私も、YouTubeで書籍公開記念イベントを観ただけの、薄い知識しかありません。しかし、この書籍は、是非ともカレッジの図書館で手に入れて、読了したいと思っています。読後感想を、また世界日記に綴りますね。

 独立記念日当日、私は仲間の隊員たちと共に、農業省水産局の敷地内で行われたシーフード・フェスティバルに参加しました。普段は外国人観光客のためにホテルや高級レストランに直行するような海産物を、この日ばかりは、身近な食材として味わうことができました。カストリーズで庶民向けに辻売りされているのは、アジなどの小魚が多く、時々、フエダイやハタの類を見かける程度なのです。マーケットには、ソルトフィッシュ(塩漬けタラ)というのもありますが、これはセントルシアの沿岸で採れたものではありません。ニューファンドランドやノルウェーなどの北大西洋産のタラが、植民地時代に大量に持ち込まれたところに、由来があります。熱帯では魚がすぐに腐るのですが、塩漬けなら長期保存できる、しかも安価ということで、プランテーション農業の時代に、奴隷労働者の重要なタンパク源としての役割を果たしたのです。奴隷労働者には、このソルトフィッシュに加えて、グリーンバナナやとうもろこし粉も支給されました。「Green Fig & Saltfish」(グリーンバナナとソルトフィッシュを使った料理)と言えば、今や国民食となり、見事にセントルシアのアイデンティティのひとつとして取り込まれています。観光客向けレストランでも、同じものが提供されていると言いますから、彼らに歴史を紐解いてやりたくなりませんか。

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